リアルイベントで感じた顧客の愛
オンラインを中心に、アニメやゲームなどのグッズを販売する「あみあみ」。1999年の立ち上げ以降、必要な機能を付け加えながら、顧客満足度の高いサービスを提供してきた。2020年から国内外を問わず新規顧客が増加し、売上が大幅に伸長。2023年5月期の売上高は350億円に達し、前年比120%以上の成長を見せている。
岩永氏は、「2020年頃からの巣ごもり需要の高まりに加え、2000年代初頭と比較して“ライトなオタク”が増えたのも事業成長の一因」と話す。
「最近の若い世代は、自分がオタクであることをあまり隠しません。学校でもアニメの話題がよく出ると聞きます。より気軽に楽しめる文化になってきたと思います。一昔前まで、オタクといえばほとんどの関連雑誌やグッズを購入するほどのファンを指しました。今はそこまで熱烈なファンでなくても、オタクと名乗る人が増えています」
EC黎明期に開設されたあみあみは、海外展開にも早い段階から取り組んできた。2010年に越境ECを開始。現在、全体売上の約50%を海外事業が占める。中でも、北米エリアでの売上が高いという。
岩永氏は「海外のリアルイベントも好調」と自信をのぞかせた。2023年は、米国や韓国、中国などのアニメイベントに出展。「実際に現地を訪れた際に、お客様の愛を感じた」と振り返る。
「米国のお客様は、イベントブースにいるあみあみスタッフに、積極的に話しかけてくれます。『車1台買えるほどグッズを購入したよ!』といってくれる方もいました。普段はお互いの顔を見ることがないため、こうしたリアルな場で会うと非常に喜んでくれますね」
世界中の顧客の心をつかんで離さない、あみあみの主力商品がフィギュアだ。キャラクターをデフォルメ化せずにサイズを縮小し再現した「スケールフィギュア」は、価格が2~3万円台と決して安くないが高い人気を誇る。
フィギュアのパッケージまでを「商品」と捉え、開封せずに保存する顧客も少なくない。そのため、あみあみは配送中に箱が潰れないよう四隅に資材を入れて商品を固定したり、海外への配送用に強化ダンボールを使用したりと梱包にこだわる。こうした細かい気配りが、国内外からの信頼獲得につながっているのだ。