GA4は単なる「分析ツール」ではない
ネット広告黎明期よりデジタルマーケティング畑を歩み、現在はアユダンテにて「Googleアナリティクス360」を中心としたコンサルティングや人材育成、執筆・寄稿などの啓蒙活動にも取り組む山浦氏。まずは、EC事業者がGA4を使う前に知っておきたい、「データ活用の3つの基本」を解説した。
「データ活用の基本ステップは、『取る』『見る』『使う』です。『取る』とは『計測設計/実装/設定』、つまりデータ取得の準備を指します。『見る』は『集計/分析』を、『使う』は『施策/アクション』をまとめた言葉です。この3つの要素が揃い、各ステップが円滑に流れるようになると、GA4でのデータ活用がうまく回り始めます」
KPIを掲げ、数字を追い続けるEC担当者はつい「分析」に目を向けがちだが、山浦氏はこの3つの要素の中から「『見る』の中にある『集計』のプロセスが特に重要」だと続ける。
「GA4を分析ツールだと認識している人もいるかもしれませんが、それは誤解です。GA4は、ウェブサイトから計測・取得したデータを『プロパティ』として蓄積します。これを目的に応じて集計した上で、分析をするのは皆さんです。そして、そこには『活用目的』が必要となります。分析は、集計されたデータと活用目的が揃い、初めて成立するものです」
自社の抱える課題を把握した上で、どのような改善をしたいのか。どんなアクションを起こすための判断材料が欲しいのか。こうしたデータの活用目的が明確になっていなければ、必要なデータが何か判別することも、適切な集計レポートの形を定めることも難しいだろう。GA4のポテンシャルを存分に活かすには、この根本思想を理解する必要がある。
「GA4は、チャネルをまたいで様々な情報に触れながらコンバージョンする顧客が増えている現状を踏まえ、アプリとウェブのユーザー行動可視化を実現したツールです。UAとの違いは、『ウェブ上の行動を計測するツール』から『人を計測するツール』に進化したと伝えるとわかりやすいでしょう。実際に管理画面を見ても、マーケティングファネルの進捗理解に重きを置いたメニュー表示になっています。『エンゲージメント』という言葉にもあるように、ウェブサイトやアプリに対するユーザーの操作に目を向け、関係深化をどれだけ実現しているか見られる点がGA4の大きな特徴です」