不穏なTwitterとMeta 揺らぐプラットフォーム
取材当日、ちょうどTwitterのアカウントが本人であることを示す認証済みバッジが有料プランのTwitter Blueに組み込まれ、月額8米ドルの課金制になることが報道された。Twitterについては過去の定点観測でも、イーロン・マスク氏が買収を表明した後撤回するなど先が予測しづらい状況を伝えてきた。取材時点では無事買収が成立して上場廃止が確定しているほか、他の取締役9名を解任しマスク氏がCEOに就任、唯一の取締役となっている。
「マスク氏のTwitterを参照した報道によると、収益源を広告だけに依存せず、ユーザーが課金することで増やそうとする意図があるようです」
Facebook同様アカウント名を実名にする方針や決済の仕組みも備えたエブリシングアプリ「X」の構想など話題は尽きないが、EC事業者としては方針が読みきれないTwitterとどう付き合っていくかを考えなくてはならない。
「本誌刊行の2022年年末まではサービス自体に大きな変化はなく、従来どおりのTwitter運用で問題ないと思います。一方で課金モデルなどライトな一般ユーザーが利用しにくい方向に向かっていくとなると、誰もが自由に発言できる場としてのTwitterは維持できないでしょう。企業側のコミュニケーションも変化せざるを得ず、従来得られていた成果も追求しづらくなる。Twitterが変化した時への準備を整えておくことをおすすめします」
一方で、FacebookやInstagramを運営するMetaにも暗雲が立ち込めている。第3四半期決算は売上高が4.5%減少、その発表を受け一時的に株価は25%も下落した。
「COOのシェリル・サンドバーグ氏が退任しています。9人の取締役が去ったTwitterほどではないかもしれませんが、Metaもマーク・ザッカーバーグ氏の独裁体制に近いのではないでしょうか。他のプラットフォームの収益をメタバース事業につぎ込みながらも赤字が続いている状況で、ザッカーバーグ氏の先見性だけでこの先やっていけるのかとの不安が株価にも現れたと考えられます」
TwitterとMetaはどちらもソーシャルメディア業界を率いるグローバル企業である。その2社に暗雲が立ち込めている状況は、SNSの未来を示唆しているのかもしれないと藤田さんは言う。
「両社の本社があるアメリカでは、リセッションの影響などからIT企業が苦しい状況に追い込まれています。SNSプラットフォームを運営する巨大企業であっても、今後は立ち位置が変わってくるかもしれません。ここ20年ほどでSNSは情報のインフラになり、多くの人にとって欠かせない存在となっていました。それがたとえばTwitterが有料化してユーザーが限定され、Metaが赤字になりFacebookやInstagramを運営できなくなったら。数年前の隆盛を見るととても考えられないことではありますが、それが起きる可能性が出てきたのが2022年末の現状だと思います」