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ECzine Day 2024 June

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世界のトップ企業もサステナブル経営を模索中 SAP Commerce Cloud責任者インタビュー


 SAPジャパンは、2022年10月4日にイベント「SAP CX DAY 2022」を「事例に学ぶ。 新時代の事業成長の鍵、カスタマートランスフォーメーションに伴う顧客起点のDX」をテーマに開催した。オープニングセッションに登壇したSAP Commerce Cloud シニアバイスプレジデント兼グローバル責任者 Balaji Balasubramanian氏にコマース関連の最新動向についてインタビューを行った。

データとインテリジェンスでサステナブル経営を支援するSAP Commerce Cloud

━━まずはBalajiさんのキャリアについてお聞かせください。

Balaji 半年ほど前にSAPに入社しました。それ以前はMicrosoftに20年勤めていました。さまざまな役職を経験させてもらいましたが、その中でもっとも重要なものとしてはコマースシステムの運営を行ったことです。現在は、SAPでコマースシステムを構築しています。オムニチャネルと言われる、さまざまなタッチポイントで対応できるものです。

━━オープニングセッションでもありましたが、とくにコロナ禍をきっかけに消費者はどのように変化したのでしょうか。

Balaji いくつか重要なポイントがあります。ひとつは、お客様の購買スタイルが伝統的なものからデジタルに移行したことが挙げられます。私の両親はオンラインショッピングを経験したことがなかったのですが、コロナ禍でオンラインで買わざるを得なくなりました。企業としても、フレキシブルで拡張可能なコマースプラットフォームを提供する必要があります。そうでなければお客様のニーズに応えきれないからです。

 ふたつめに、オンラインとオフラインでの体験の融合です。コロナ禍をきっかけに安全性から求められたものですが、オンラインで買ってオフラインの店舗の前で受け取るカーブサイドピックアップ(Curbside pickup)が広がりました。お客様もこれに順応し、大きなトレンドとなりました。

 3つめに、スマートフォンやSNSなど、デジタルプラットフォームで購買する機会が増えたことで、企業側はよりお客様を理解する必要に迫られています。お客様を知り、そのニーズを知る。その知識をもとにパーソナライズ化された体験を提供するのが、以前よりもさらに普及しました。この動きはコロナ以前からもありましたが、コロナ禍によって加速しました。

 4つめにデータに関する変化があります。エンドユーザーがデジタルを活用する機会が増えた結果、システム上でさまざまなデータを蓄積できるようになりました。何を見て、どこをクリックして、何を買ったのかといった膨大なデータが積み上がっています。企業はそのデータをもとに行動することが求められています。そのデータをひとつの場所に蓄積し、そこからインサイトを得て、お客様のニーズに一層応えていくこと。コマースにおいてもデータとインテリジェンスの活用が求められています。

 5つめに企業が迅速な変化を求められていることです。コロナ禍で失った機会もあれば新たに生まれた機会もあります。たとえばロックダウン中小売店舗は閉鎖されましたが、代わりにオンラインショッピングが増加しました。販売方式にサブスクリプションモデルを取り入れたり、企業の購買者にもBtoCの消費者のような購買体験が求められています。このような変化は、即座に行われなければ乗り遅れてしまいます。

登壇するBalaji氏

━━イベントのセッションで、SAPのコマースシステムについてヘッドレスコマースであるとのことでした。バックヤード部分は堅固である上で、フロント部分は柔軟に開発ができるわけですよね。このふたつを、SAPさんレベルのシステムで実現するのは難しいことですよね。

Balaji アウトオブザボックス機能をよりリッチにするなど、日々改善に取り組んでいます。フロントの部分を、事業者様がご自身で構築できるようフレキシブルなシステムにしているのが特徴です。セキュリティ、コンプライアンス、クラウドの面でコアでモダンなプラットフォームにしています。

━━企業のビジネスを、今トレンドであるサステナブルにしていくのにヘッドレスコマースのようなシステムが必要なわけですね。

Balaji サステナビリティは企業にとって重要なポイントです。SAPでもコマースシステムに、サステナビリティに関する機能を複数ビルドしています。事業者様にエンドユーザーのお客様に関するさまざまなデータを見ていただけるようにしています。このデータには、どこでどのように製造され、カーボンフットプリントなどの情報も含みます。これらのデータをもとに、お客様は「コンシャス・チョイス」をすることが可能になります。

 もうひとつはリコマースです。従来は買って・利用して・捨てるという流れでしたが、今では捨てる以外に、直して使う、必要としている人に売る、貸すといった選択肢があります。サステナビリティに関する意識の高いユーザーは、サステナビリティに積極的な企業に投資します。サステナビリティな活動に取り組むことでブランドへの愛着やロイヤリティが高まり、より長く利用してもらえるようになると考えられます。

Balaji氏

━━サステナビリティやCXの点でも、データは重要だということですね。

Balaji CXに関してはよりリッチな体験を提供できるよう支援しています。データを用いてお客様を理解し、パーソナライズされた体験の提供が可能になります。パーソナライズはマーケティングだけでなく、製品、価格、支払い手段、配送などにも適応されます。

 ふたつめに、顧客とのつながりかたについてです。買うだけでなく、商品を見つけたり、購買した後などショッピングジャーニー全体においてお客様を支援することに重きをおいています。購入後は、どこでいつ受け取るのか、どう使うのかといったことも含みます。SAPではバックオフィスとフロントオフィス両方に対応していることで支援が可能です。調達、配送、返品に関するデータを網羅しています。

 3つめに、お客様に先んじてアクションを行うことです。たとえばカスタマーサポートについて、従来は受動的だったのですが、データをもとに積極的に先回りする対応が求められます。お客様に考えさせるのではなく、企業側がアクティブになることで、お客様はより簡単にアクションできるようにしていく必要があるわけです。これら3点に重きを置くことで、よりシームレスなカスタマーエクスペリエンスを提供できると考えています。

━━オムニチャネルやDX同様、サステナビリティは企業それぞれの形があるということですよね。

Balaji グローバルに見ても、企業はそれぞれのサステナビリティを模索しています。日本の世界規模の企業様は、お客様やCXについてよく理解されており、私たちもたいへん勉強になっています。

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

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