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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

アパレルEC しくじらないための心得

貢献度はどう測る? 意外と難しい「評価制度」の設計

 店舗主軸のビジネスから、ECシフト・チャネル拡大の動きが見られるアパレル業界。しかし、誤った認識を持ったまま進めてもうまくいくことはありません。本連載では、ECディレクターの深地雅也さんがアパレルのEC化を進める上で注意すべきポイントをご紹介。しくじらないための心得を学びましょう。第2回のテーマは、「評価制度の設計」についてです。 ※本記事は、2022年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.22』に掲載したものです。

評価制度と環境整備が鍵を握る販売員活用

 アパレルブランドにとって、大きな資産である「店舗」やそこで勤務している「販売員」。これらを活用してECの売上アップを目指すのは、昨今よく見かける光景です。販売員のコーディネートやライブ配信などがその代表的なものでしょうか。また、他ブランドのこうした取り組みを見て「同様のことをしたい」と相談をいただくケースも増えていますが、これらはそう容易に実行できるものではありません。なぜなら「評価制度」と「環境整備」の見直しから行う必要があるからです。

 店頭業務は、長い歴史の中で良くも悪くも確立されています。そのため、新たなチャネルの出現やそれらを活用した業務変革に戸惑うのも無理はないでしょう。しかし、問題はそれだけでもないのが難しいところです。

評価制度は店舗の環境への考慮も必要

 今や「O2O」という名の下に、店頭とECを連動させる動きが活発になりつつあります。その肝が販売員活用と言えるでしょう。本部からすれば店舗で売れてもECで売れても同じ「売上」です。そのため、本音を言えば「機会損失せずに全体の売上を伸ばしたい」と考えるケースがほとんどではないでしょうか。

 しかし、販売員からするとすでに在籍店舗の売上目標が設定されているのが実情です。EC送客に貢献しても在籍店舗の売上目標が未達だった場合、自身がどう評価されるのか不明瞭なケースはまだ多く存在します。また、商業施設内の店舗は積極的なEC送客がNGとされていることもあるでしょう。なぜなら、テナントの売上が自社の利益につながるデベロッパーの場合、「EC送客が増える=自社の利益が下がる(デメリットである)」からです。こうした環境下にいると、販売員の意思とは関係なくEC送客が滞る傾向にあります。

 また、販売員がコーディネート経由で売上を上げた際の評価の仕方は、経由売上の数%を販売員に支給するインセンティブ制からコーディネートページのフォロワー数が多い販売員に報奨金を支給するケースまで、ブランドによってさまざまです。しかし、「そのコーディネートが購買決定要因になったのか」という判断は非常に難しいのが実情と言えます。

 たとえば、店舗接客で後押しされたのが直接要因でありながらも、帰宅後にECを見てコーディネート経由で購入する顧客も中にはいるでしょう。また、計測方法によってはコーディネートアイテムとは別のものが売れたとしても、「売上貢献」としてカウントされるケースも存在します。「そのすべてにインセンティブを提供するのが果たして正しいのか」といった議論があるのも実情です。

 なお、次のような店舗ごとの環境の差を踏まえずに評価制度を作ると、さまざまな弊害が生じます。

  • 品揃えの違い(売れ筋アイテムの入荷数)
  • 集客力の違い(スタッフ数、通常業務以外に時間をかける余力の有無)
  • 撮影場所の違い(写真の質の差)

 メンズ・レディースで売上比率が大きく異なるブランドの場合は、男女間で不平等が生まれることもあります。このように容易に是正できない要素が絡んだ結果、評価制度の導入が進んでいないのも各社の実態と言えるでしょう。

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この記事の著者

深地雅也(フカジ マサヤ)

StylePicks代表。アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運用ディレクション、オウンドメディア構築、販促企画などがメイン事業。ラグジュアリーブランドのリテール・ホールセール営業を経て独立。フリーランスとしてアパレルECの運用代行からスタートし、現在まで60ブランド程度の運用に携わる。ODM・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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