ウェブ広告の不正トラフィックを検知し、ブランド失墜の悲劇を防ぐ
イスラエル軍の諜報機関8200部隊出身の技術者を中心に設立されたCHEQ AI Technologies Ltd.。国防のサイバーセキュリティを担うために培われた技術を基にCMOおよびマーケターのためのサイバーセキュリティサービスを提供し、全世界で1万4,000社以上の企業が利用している。2022年にCBインサイツが発表した世界で有望なAIスタートアップ100社を選出する「AI100」に選ばれた点も特徴だ。そんな同社の日本法人として設立されたのがチェク・ジャパンである。
廣瀬氏はまず、不正トラフィックを無視することで起こり得る事象について「ボットなどによるデジタル広告の不正クリック」を挙げる。これは、コンバージョンにつながらないクリックであるにもかかわらず課金が発生する、もしくはボットに対してリターゲティング広告を表示してしまうなど「マーケティング費用の無駄遣い」につながるものだ。
「現代のボットは資料請求をしたり会員登録をしたりと、実際にコンバージョンにつながる行動を起こすため、注意が必要です。MAを用いてコンバージョン後にナーチャリング(顧客育成)や資料送付を行っている場合は、ボットに対して無駄な資源を割くことになってしまいます。また、それらのボットに対してリターゲティングし、分析することで、気づかぬうちに大きな損失をしていることになります」(チェク・ジャパン 廣瀬氏)
不正トラフィックは、このほかにも無駄なリード対応の増加やECサイトにおける偽装予約・購入といった「人・システムの無駄遣い」や、クレジットカード詐欺、顧客情報の流出といった「セキュリティリスクの増加」を招くことが懸念されている。これらはいずれも売上・成長機会の損失及び信頼の失墜につながるため、企業としても無視してはならない領域であると言えよう。
「そこで当社は、不正ユーザーやボットをブロックすることでデジタル広告を守るソリューションを展開しています」(チェク・ジャパン 廣瀬氏)
初月から費用対効果を実感 不正トラフィックによる広告負担の大きさに気づいたバイク王&カンパニー
ここからは、実際にチェク・ジャパンが提供するソリューションを活用するバイク王&カンパニーの大石氏と、同社を支援するSepteni Japanの前田氏に廣瀬氏が質問する形で、鼎談が行われた。
バイク王&カンパニーは、中古バイクの売買やレンタルバイク、バイク修理・整備などを行う企業である。1998年創業で60以上の店舗を有し、チェク・ジャパンのソリューションを導入する以前から広告出稿でセプテーニと取り引きがあったと言う。
チェク・ジャパンのソリューションを選んだ決め手について、大石氏はこう語る。
「ウェブ広告の草創期から、運用型広告やアフィリエイト広告などを導入していました。しかし、恥ずかしながらセプテーニからご提案いただくまでアドフラウドの対策ツールがあることを知らずにいたのです。それまでは不正トラフィックについて対処方法がないもの、仕方のないものだと認識していましたが、ご提案内容を見て初めて不正トラフィックによる広告費負担が大きなものであることに気がつきました。3ヵ月のテスト期間をいただきましたが最初の月にコストに見合う手応えを得ることができ、テスト期間終了時には正式に導入することを決めました」(バイク王&カンパニー 大石氏)
「セプテーニにはソリューションの最新情報を日々収集するチームが存在し、そのチームから打診を受けてバイク王&カンパニーへ提案を進めた」と説明する前田氏。アドフラウドの脅威や対策についての意識が高まる中で、「チェク・ジャパンのソリューションは費用対効果にフォーカスされた設計になっており、提案がしやすい」と続けた。
なお、同ソリューションを活用するには、フラウド検知のために必要なJavaScriptタグを各サイトページに挿入する必要がある。この作業について「Google タグ マネージャー(GTM)をすでに使っていたため、当社の技術担当とセプテーニとのやり取りのみで容易に設定ができた」と大石氏。前田氏は、導入支援を行う立場からこのように補足した。
「Google アナリティクスをすでに活用している企業であれば、チェク・ジャパンのソリューションはスムーズに導入できるでしょう。初期段階でタグの設定、パラメータの整備、アドフラウドをブロックする広告システムの連携をするための工数は必要ですが、これらは広告の設定や多くのツール導入時にも必要なものです。それらと同程度の工数でセキュリティを担保できるのであれば、大きなメリットがあると言えるでしょう」(Septeni Japan 前田氏)
アフィリエイターの不正行為を可視化 フラウドクリック率も約50%減へ
チェク・ジャパンのソリューション導入後の変化について廣瀬氏が尋ねたところ、大石氏は「アフィリエイトによる不正誘導に気づくことができた点は大きい」と説明。実際に、悪質なアフィリエイターが不適切なアフィリエイトタグを仕込み、あるウェブサイトを閲覧したユーザーがオーガニック検索やほかの広告でバイク王&カンパニーへコンバージョンした際にも、成果と見なされるような不正行為をしていることが発覚したと言う。
廣瀬氏によると、こうしたアフィリエイト詐欺とも言える事象による被害は、広告出稿を行う国内企業の多くが経験しているとのこと。「ある企業では、1日あたり1,200件もの被害が発生してました」と警鐘を鳴らした。
チェク・ジャパンのソリューション導入により、バイク王&カンパニーはある検索広告におけるフラウドクリック率を約50%下げることに成功している。前田氏は「フラウドクリック率が下がったことにより、アドフラウドのアクセスに費やされるはずであった広告費を別の有意義な領域へ投資できるようになっている」と評価した上で、このように語った。
「これはチェク・ジャパンから指摘をいただき、初めて顕在化した問題でした。内部のデータを詳しく調査した上で原因を解明していただいたり、解決策のアドバイスもいただいたりと、本事例のようにプッシュ型でコンサルティングをいただいており、非常にありがたく感じています」(Septeni Japan 前田氏)
大石氏は、「同ソリューションの導入が適切な投資であることが可視化でき、社内での説明にも役立った」と語った上で、こう補足した。
「従来成果がともなっていないと判断した広告媒体も、実はその原因がアドフラウドにあったことがわかり、広告施策の見直しを行いました。投資に見合う媒体とその効果を見直すことで、運用の効率化を図ることができています。
注意していただきたいのは、当社は広告費を削減するためにチェク・ジャパンのソリューションを導入したわけではありません。広告の最適化を行い、施策展開の幅をさらに拡大できるのか分析することを目的に採択しました。そのメリットは十分に享受できていると感じています」(バイク王&カンパニー 大石氏)
従来はテレビやラジオなどマスメディアへの広告出稿が多かったバイク王&カンパニーも、近年はウェブ広告の比重が大きくなりつつあると言う。しかし多大な広告費を確保したとしても、投資できる額には当然ながら限界が存在する。大石氏は「不正トラフィックによる広告効率低下を軽減できるメリットは大きい」と述べた。
広告費の最適化で生まれた余力を使い、One to Oneマーケティング強化へ
不正トラフィックへの対策は、広告の安全性の担保や防御の観点だけでなく、費用対効果を最大限に高めることにも貢献する。セプテーニはこの点を評価し、チェク・ジャパンのソリューション導入を代理店の立場から支援していると言う。具体的にどのようなことを行っているのだろうか。
「導入時には広告システムと連携したアドフラウドブロックの設定を行い、その後はフラウドレートのモニタリングや異常値の報告を行っています。フラウドレートの推移やクリック単価から想定される再投資可能な想定額もレポートすることで、継続的に活用することの利点を示していければと考えています。
また、前述のアフィリエイトの事例のように大きな問題が発生した際には、その事象の認識合わせや対策検討のため、3社で協議する機会も設けました」(Septeni Japan 前田氏)
不正トラフィックへの対策は、一度で終わるものではない。廣瀬氏は「新たなキャンペーンを行う度にブロック対象が出現するため、当社が常日頃調査を進め、ソリューションとして提供している」と説明。その上で、セッションの締めくくりとして、バイク王&カンパニーの今後の取り組みと展望について大石氏に尋ねた。
「現状、セプテーニのサポートにより広告運用の最適化は実現できているため、今後は1人ひとりのお客様に適したクリエイティブやサービスをご提案するOne to Oneマーケティングを強化したいと考えています。この領域は成果を出すまでに時間を要するため投資の意味合いも強いですが、広告費の最適化を続けることで投資を行う余力が生まれ、より相乗効果を発揮できるはずです。アドフラウドの対策を行い、無駄をなくしながら全体最適を図ることで、より大きな成果につなげていければと思っています」(バイク王&カンパニー 大石氏)
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