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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

クロコダイルはなぜ動画制作をインハウス化したのか スタイリング提案の重要性と安定運用の秘訣を語る


 2022年4月から、自社EC内でスタイリングムービーの展開を行うアパレルブランド「クロコダイル」。同ブランドを運営するヤマト インターナショナル株式会社は、動画施策に注力すべくインハウスでの動画制作環境を整えるなど、組織改革から手を加えている。なぜ同社は動画という表現手法に着目したのか。施策を軌道に乗せるまでの経緯と挑戦から得た発見、 学びを他ブランドへ横展開する際の注意点などについて、同社 マーケティング・コミュニケーション部長の長尾享諭さんに話を聞いた。

スマートフォンユーザーに動画でエモーショナルなアプローチを

 60代前後の男女をターゲットとしたアパレル展開を行うクロコダイル。2020年6月にリリースした自社アプリは、約2年で30万ダウンロードを突破。スマートフォンからのEC購入比率は70%を超えるなど、「シニア層はEC化が難しい」といった先入観を覆す数字を次々と記録している。

 「顧客起点」での施策展開を意識する同ブランドは、定期的にNPS(Net Promoter Score)を計測したり、アンケートを聴取したりする中で「洋服をどう着こなしたら良いのか」といった悩みが顧客から多く寄せられる点に着目した。実店舗では販売員がこうした悩みに直接寄り添うことができるが、ECで買い物をする顧客に対してはどういったコンテンツ訴求が効果的なのか。検討の末、「縦型ショート動画でのスタイリング提案に行き着いた」と長尾さんは語る。

ヤマト インターナショナル株式会社 マーケティングコミュニケーション部長 長尾享諭さん

「顧客の課題を的確に解決し、かつエモーショナルに訴求するには動画が最適だろうと考え、2020年からさまざまな施策に着手しました。2021年4月に実施したインタラクティブ動画コマースは、顧客にも馴染み深いテレビ通販を意識したUI/UX、横長の画角で配信しましたが、蓋を開けてみると7割がスマートフォンをわざわざ横向きにして視聴していたのです。

 もちろん、インタラクティブ動画コマース自体も反響があり、課題解決型のコンテンツのひとつとして有用性を感じました。しかし、さまざまな顧客の課題に寄り添いながら自社の成果につなげるには、訴求内容のバリエーションを増やす必要があります。多くの顧客が利用しているスマートフォンで効果的な訴求をする方法と自社ドメインでの実運用を踏まえた結果、Fireworkを活用した縦型ショート動画の活用に至りました」

 こうして、2022年4月に「クロコダイル(CROCODILE)公式通販サイト」内に設けられた動画コンテンツの「スタイリングムービー」では、ひとつの動画内で3商品をピックアップ。30秒で全身コーディネートを紹介しており、動画からダイレクトに購入することが可能となっている。

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「現在、動画は月に10本公開しています。2020年から2021年にかけて動画施策をトライアルで実施した際に、アップロードから4週間ほどで再生数が鈍化し始めることがわかりました。そのため掲載期間は4週間と決め、2週間に一度、5本ずつ動画を入れ替えるようにしています。

 動画から商品ページへの遷移率は4%超、掲載期間内の商品総受注割合は約15%となっており、反響もまずまずです。動画を見てすぐに購入いただけなかった場合も、リターゲティングやMAなどの仕組みを裏側で整えているため、長期的に売上を押し上げる施策になると考えています。こうした仕組みを構築できる点も、ストック動画の良いところです」

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/11558 2023/07/07 16:45

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