前回の記事では、越境ECの「決済」について、海外のお客様に安心してご利用いただくためのポイントをお伝えしました。今回は「配送・物流」について、日本国内との違いや留意すべき点などを解説いたします。
海外から日本商品を購入する際の懸念点は送料 金額提示が鍵に
越境ECを利用するにあたって、海外のお客様がもっとも気にされるのは送料です。次の円グラフは、Buyeeにてお客様に行ったアンケートです。ご覧のとおり、商品購入をする際に気にする点として、送料と回答した人がもっとも多くなっています。
また、経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」の調査でも、越境ECの配送について「購入前における配送料金の情報提示」「一定以上購入時の配送料金の無料化」を「とても重要」と回答する割合は高く、越境ECを利用する海外のお客様が国際配送料を気にしていることがわかります。
海外からの配送は、国内配送と比べるとどうしても料金が高くなってしまいます。そのため、越境ECで購入したい商品があっても、送料で二の足を踏んでしまうお客様は少なくありません。購入の機会損失を減らすためにも、送料の課題に向き合うことは欠かせません。
日本から海外に商品を出荷する際、信頼性などの観点から日本郵便を選ぶケースは多く存在しますす。しかし配送コストを抑える観点から考えた際には、複数の配送事業者から料金やサービス内容を比較検討し、自社にベストな委託先を見つけることをお薦めしています。配送事業者や配送国によっては配送可能な商品が限定されており、たとえば「中古品が運べない」といったケースもありますので注意しましょう。
配送可能な品目と料金以外には、「配送事業者独自で配送のクオリティチェックを行っているか」といった点も検討材料となります。その理由は、商品を発送するまでは自社で商品の扱いについて責任を持つことができますが、発送後は配送事業者のクオリティーに左右されてしまうためです。
なお、送料の価格については、自社でコストを負担するのか、配送事業者と交渉を行うかなど複合的な要因が絡み合うため、調整は容易ではありません。しかし、Buyeeでは2021年に北米への送料を値下げした結果、アメリカへの流通が大幅に伸長したという結果が出ており、送料と購入率には相関関係があると言えます。
では、送料を抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。たとえば、嗜好性の高い商品や大型の商品など、ものによっては海外のお客様が到着までに時間がかかっても問題ないと判断するケースもあるでしょう。急ぎでないお客様が自身で航空便ではなく船便を選べるような仕組みになっていれば、送料負担を軽減することができます。送料そのものの値下げが難しい場合でも、配送手段の選択肢が複数あればお客様自身が選べる状態になるため、要望に応えることが可能です。
Buyeeでは、一部の商品について送料・関税を含むトータルの金額を購入時に提示していますが、これを実現するには商品のサイズや重量などの情報を把握する必要があります。海外のお客様の不安を払拭し、購入を後押しするには配送のコストを抑えることと、配送の選択肢の提供、購入前の金額提示は欠かせません。ぜひこれらを実践して、国際配送の壁を乗り越えていきましょう。