インバウンドでも顧客データが鍵に 海外販路拡大に必須なOMO視点
2020年について、「2019年までビジネスの主軸を店舗、かつインバウンドに重きを置いていた企業・ブランドのオンライン化や、越境ECへの挑戦が目立った」と振り返る徳田さん。徳田さんへの相談も増えており、中でもOmni HubのようなShopifyとPOSレジを活用した店舗・ECの連動に興味を持っているケースが多いと言う。
「コロナ禍を契機に、『インバウンドが好調だった際に顧客データをきちんと取得すべきだった』と気づいた方も多かったようです。今からでもまだ間に合います。すぐにコロナ禍以前の水準にまで需要が回復することは難しいですが、下準備さえしておけば、世の中の動きに合わせていつでも動き出すことが可能です。私は『空中戦』と呼んでいますが、気軽に国境をまたぐことができるECで、顧客とのつながりを作りましょう」
インバウンド比率が高かったビジネスと越境ECの相性の良さは想像に容易いが、徳田さんは「BtoB流通が盛んな企業・ブランドこそ、越境ECで成功する可能性をおおいに秘めている」と続ける。
「自社ECで海外へ販路を広げる際に、『すでに商品の卸先があるのに大丈夫だろうか』と心配される方もいますが、店舗とECの連動、つまりOMOを意識すれば互いにメリットを享受できる可能性が高まります。ECに商品情報を詳しく記載した上で、商品を取り扱っている店舗の情報を検索できるようにしておけば、実物を触ってみたい人は卸先へ来店してくれます。
また、商品の同梱物などで友人紹介やSNS投稿を促すのも良いでしょう。海外で販路を拡大するには、顧客1人ひとりからのクチコミ、つまりUGCの創出が非常に重要です。市場への流通、街中や身のまわりで『良いな』と思ってもらうきっかけを増やす視点で、何ができるか考えることをお薦めします。順調そうに見える競合企業・ブランドの商品を実際に買ってみて、どのような工夫がされているか目を向けるのも有効です」