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【事例紹介】OMOとは?O2O・オムニチャネルとの違い


 スマホの普及によって、消費者の購買行動に変化が見られています。そのため、実店舗やECサイトといったオフラインかオンラインかの枠組みにとらわれない発想が必要になっていると言えるでしょう。今回はOMOとは何かの基本的な点に触れ、具体的な成功事例を紹介します。

 OMOとはオンラインとオフラインを融合させた考え方であり、インターネットと実店舗の垣根を取り払って、ユーザーの購買意欲を高めていくためのマーケティング手法です。スマホの普及によって、ネットから注文をしてモバイル決済を行うといったスタイルも定着しつつあります。実店舗とECサイトがそれぞれ発展するのではなく、デジタル技術の進歩によって垣根がなくなってきています。この記事では、OMOの基本的な特徴や具体的な事例について解説します。

OMOとは?

 OMOとは、オンラインとオフラインの融合を意味する言葉であり、多くの企業に注目されています。OMOという言葉の定義や注目される理由について解説します。

オンラインとオフラインの融合

 OMOは「Online Merges with Offline」の略称であり、オンラインとオフラインの融合を意味しています。ネットとネット以外の垣根を超えたマーケティングの概念であり、オンラインとオフラインを分けずに一緒のものとして捉えるところに特徴があります。

  具体的な事例としては、シェアリング自動車やタクシー配車、デリバリーフードビジネスや無人スーパーなどといったサービスが展開されています。スマホからサービスを注文し、決済もスマホ上で行うといった傾向があるのが特徴です。

  デジタル技術の発達や人々のライフスタイルの変化によって、ビジネスやプライベートでもあらゆるものがWebを通じてやりとりされています。オンラインに軸足を置きつつも、ネット内外で提供されるサービスを包括的に捉えていくOMOの考え方は、今後も注目されるマーケティング手法だと言えるでしょう。

OMOが注目される理由

 OMOが多くの企業や業種で注目されるのは、顧客の購買行動の変化が影響しています。特に世界的な新型コロナウイルスの流行によって、人々の暮らしや仕事に大きな変化が生まれました。

 デジタルを通じたサービスの展開がさらに加速しており、これまでになかったサービスも続々と誕生しています。企業としては顧客目線に沿った形で商品やサービスを提供していく必要性に迫られており、そのような状況下でOMOは新たなマーケティング手法として注目されているのです。

 また、顧客はシームレスな購買体験を求める傾向も見られます。シームレスとは「継ぎ目がない」ことを意味しており、例えばスマホアプリ内で注文から決済までが完結するといったように、手間をかけずにショッピングを楽しみたいという欲求があります。

 企業側は顧客が求める形でサービスを提供していかなければ、競合他社との争いに打ち勝つことができなくなってきており、さまざまな形で工夫が試みられています。

O2Oやオムニチャネルとの違い

 OMOについて考える際に、O2Oオムニチャネルと違いを押さえておくことが大切です。それぞれの特徴とOMOとの違いを見ていきましょう。

O2Oとの違い

 O2Oとは「Online to Offline」(オンライン・トゥー・オフライン)の略称であり、オンラインからオフラインへ顧客を誘導する販売促進施策のすべてを指します。インターネットでは情報提供を行い、購入は実店舗で行ってもらうという取り組みです。

  具体的な施策としては、Web上で発行した割引クーポンを実店舗で利用できるようにしたり、Webサイトで店舗情報のページを作成して場所がすぐに分かるようにしたりするパターンが挙げられます。他にもアプリやメルマガなどを通じて、実店舗への集客を図る方法があるでしょう。

  O2Oではこのように、ネットとネット以外を明確に住み分けて考えるもので、あくまでネットから実店舗に足を向けてもらうことを目的としているのです。

  このような特徴から、O2Oは顧客の行動を分析しやすいといったメリットがあります。例えば、Web上で発行した割引クーポンは実店舗で使用されることになるので、使われた回数を数えれば施策の効果をすぐに把握できます。

  O2Oが企業目線でマーケティングを捉えるのに対して、OMOでは顧客目線でマーケティングを捉えていくといった違いがあると言えるでしょう。顧客行動に寄り添う形で施策を展開していくことがOMOでは求められます。

オムニチャネルとの違い

  オムニチャネルとは、あらゆるチャネル(販売網)を通じて顧客との接点を増やそうとするマーケティング手法です。実店舗での販売に留まらず、Webサイト・スマホアプリ・SNS・EC・コールセンターなどが挙げられます。

  一見して、オンラインとオフラインにこだわりがないように見えますが、オムニチャネルでは顧客がどこからアクセスしても同じ体験ができるように配慮をします。そのため、オンラインやオフラインといったものを初めから意識しているわけではなく、企業にとって一貫した販売姿勢を示すものだと言えるでしょう。

 OMOの場合はあくまで顧客目線に軸足を置いているため、オムニチャネルの考え方とは本質的に異なるのです。

OMOマーケティングを実現するための3つのポイント

 OMOを実現するためには、主に3つのポイントを押さえた上で取り組みを進めていく必要があります。具体的にどのようなことに取り組むべきかを解説します。

1.データベースの構築・一元管理

 OMOを具体的な施策として落とし込んでいくためには、まず顧客データや商品データなどを一元的に管理する必要があります。実店舗やECサイトなどさまざまなチャネルにおいて、常にリアルタイムで情報が反映される環境を整備することが大事です。

 現場の担当者レベルできちんと情報が共有され、サービス間の連携に支障が出ないようにする取り組みが求められます。

2.マルチチャネル化

 これまでO2Oオムニチャネルといった施策を実行していれば、複数のチャネルで商品やサービスを販売することに違和感はないでしょう。OMOにおいてもネット内外に複数のチャネルを展開して、顧客との接点をできるだけ多く確保しておく必要があります。

 OMOを有効な施策として実行していくには、顧客行動に関するデータは豊富なほうが良く、マルチチャネル化できていればそれだけ多くの情報を集められます。自社の顧客が普段どのような行動をしているかという視点で情報を集めることが大事であり、顧客について理解を深めるほど販売のチャンスを得ていけるようになります。

3.システムの整備が必要

 OMOでは複数チャネルの展開が前提となるため、膨大なデータを収集したり、データ同士の連携を図ったりするためにシステムを整備する必要があります。単に顧客情報を集めているだけでは、具体的な施策の実行には結びついていかないでしょう。

 OMOにおいては個々のデータをうまく紐付けていき、どのような角度から分析を行っていくかが大切です。各チャネルのデータを連携させ、機動的に対応していけるシステムの整備を目指してみましょう。

OMOの成功事例を紹介

 OMOの導入を検討する際は、具体的な成功事例を把握しておくとイメージが湧きやすくなるでしょう。中国・アメリカ・日本の企業について、具体的な事例を紹介します。

1.Alibaba

 「Alibaba」の傘下にあるスポーツ用品店のINTERSPORTでは、店内に設置された2メートルほどのモニターの前に顧客が立つと、画面上からさまざまな服の試着が行える仕組みを整えています。顧客にとっては試着室を利用せずに、自分に似合うかどうかを確かめられるので、とても便利なシステムです。

  さらに、店舗内に設置されているスマートスクリーンをタッチすれば、顧客に合うおすすめの商品情報を表示してくれます。表示される情報は顧客データの解析によって得られるもので、店員がおすすめするよりも顧客の好みに合った商品を提示できるメリットがあるのです。

  さらに、スマートスクリーンに表示されているQRコードをスマホで読み取れば、そのまま商品を購入することができます。OMOの概念を存分に取り入れたサービスを展開していると言えるでしょう。

2.Tencent

 「Tencent」では、加工食品店と支払いサービスであるWeChatPayを連携させた取り組みを行っています。顧客は最初に来店したときにWeChat上でアカウントを取得し、顔認証を済ませておくことで、それ以降の支払いを顔認証だけで自動的に済ませられるようになりました。

  会計時にレジで現金を取り出す必要はなく、スマホをかざす必要すらありません。顔認証によって決済ができることで、顧客は面倒なプロセスを経ずに買い物を楽しめます。

3.Amazon GO

 「Amazon GO」はECサイトであるAmazonの実店舗であり、ウォークスルー型の無人レジを導入したことで大きな注目を集めました。通常の店舗であれば商品の会計を行う必要がありますが、Amazon GOでは顧客は棚から好きな商品を取った後に、出入り口のゲートを通過するだけで商品を購入できます。

 ウォークスルー型の会計が成り立っているのは、店内に複数台設置されたカメラやマイク、Amazon GOアプリが連携しているからです。顧客の購買体験に基づいた価値提供を行っていく姿勢がAmazonから学べます。

4.BEAMS(ビームス)

 「BEAMS」では、オフィシャルサイトとECサイトを融合させ、ネット内外の垣根を取り払う取り組みを行っています。実店舗とオンラインショップの顧客データを一元化したり、基幹システムの整備に取り組んだりするなど、積極的にOMOの概念を取り入れる施策を実行しています。

 顧客満足度の向上につなげるだけでなく、業務を効率化することでコストの削減や作業負担の軽減にもつながっていると言えるでしょう。全社的な取り組みを行っていくことで、スピード感を持って施策を実行できています。

まとめ:OMOの特性を理解して顧客との接点を増やそう

 OMOは従来のビジネスの形にとらわれない新しい発想であり、より顧客の視点に沿ったマーケティング手法だと言えます。オンラインとオフラインの融合によって、事業者にとっては商機となっており、さまざまな企業がOMOに取り組んでいます。OMOが持つ基本的な特性を理解して、自社がどのような形で取り組めるのかを考えてみましょう。顧客行動に合わせた取り組みを行っていくことが、結果的に売上アップにつながるはずです。

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EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

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