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ZOZOも参戦!日本アパレル業界におけるOMOサービスの実態とは?導入事例3つを解説


 近年、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、アパレル業界ではOMO(Online Merges with Offline)という言葉をよく聞くようになりました。このOMOはオンラインとオフラインの融合を指し、実店舗やECサイトの片方だけでなく、両方を組み合わせたマーケティング戦略が主流になっています。そこで今回は、日本アパレル業界におけるOMOサービスの重要性や導入事例を解説します。最後まで読むことで、アパレル業界におけるOMOサービスの全体像を理解できるはずです。

日本アパレル業界におけるOMOサービスの現状

 コロナ禍における休業・時短要請に伴い、アパレル業界ではOMOサービスを導入するブランドが増えています。新型コロナウイルス感染症の影響で外出する人が減ってはいるものの、アパレル自体の需要は落ちておらず、各ブランドが販売戦略の試行錯誤を重ねているのです。

  アパレル業界にOMOサービスを導入することにより、実店舗が休業・時短営業になったとしても、ECサイトと連携させて売上を確保できます。外出する人が減れば必然的にECサイトを利用する人が増加するため、ECサイトで蓄積した顧客情報やSNSを活用し、実店舗に誘導することが可能です。

靴のECサイトで購入する女性のイメージ

日本アパレル業界におけるOMOサービスの重要性

 アパレル業界に限った話ではありませんが、OMOサービスの重要性が年々増しています。これは、顧客の消費行動の激しい変化に伴い、多様な顧客ニーズに対応する必要があるためです。

  いままではテレビCMや雑誌での広告が実店舗の販売につながっていましたが、インターネットが浸透したことで情報収集が容易となり、消費者のニーズが多様化しています。それに伴い、大衆に向けたマーケティング戦略では大きな効果が見込めません。

  そこで必要になるのがOMOサービスです。オンラインとオフラインを融合させるOMOサービスを導入すれば、顧客に合わせた情報提供が行え、新たな販売戦略を実現可能です。結果として顧客体験の向上につながり、店舗利益の拡大に期待できます。

  このように、日本アパレル業界ではOMOサービスが重要視されるほか、さまざまなDX(デジタルトランスフォーメーション)の拡大が注目されています。単なるデジタルの活用ではなく、顧客ニーズに合わせた変革が求められているのです。

アパレルの実店舗でスマートフォンのECサイトで購入するイメージ

日本アパレル業界におけるOMOサービスの導入事例3つ

 アパレル業界におけるOMOサービスの重要性がわかったところで、OMOサービスの導入事例を3つみていきましょう。OMOサービスのイメージが明確になるはずです。

オンワード樫山による「オンワード・クローゼット・ストア」の展開

「ONWARD CROSSET STORE」ららぽーとTOKYO-BAY ストアイメージ
「ONWARD CROSSET STORE」ららぽーとTOKYO-BAY ストアイメージ

 オンワードホールディングスの傘下であるオンワード樫山は、新業態店の「オンワード・クローゼット・ストア」を2021年4月より展開中です。本店舗では実店舗とECサイトの利点を融合しており、さまざまな顧客体験を提供しています。具体例としては、以下3つの取り組みがあげられます。

  1. パーソナルスタイリング:実店舗とオンラインの両方で指名スタッフからアドバイスを受けられる
  2. スタイリングライブ:ライブ配信で紹介された商品をECサイトで購入できる
  3. カスタマイズ:店頭のタブレットで身長を入力し、オンライン上で試着イメージを確認できる

 このように本店舗ではOMOサービスを導入し、顧客ニーズに合わせたサービスを実現しました。さらに、オンワードは2030年に向けた新ビジョンの1つとして、アパレル事業におけるOMOサービスの推進強化を掲げています。

ビームスによるOMOサービスを使った次世代デジタル戦略

 国内外に約150もの実店舗を構えるビームスは、これまでオフィシャルサイトと自社ECサイトの2つを別々で運営していました。これ自体は一般的な運営ではあったものの、煩雑な運用が社内で課題となっていたのです。

 そこでビームスは自社ECサイトのリニューアルと、オフィシャルサイトの統合企画を立案しました。一見、単なるサイト統合に思えますが、実際の目的は実店舗における販売経路の拡大を見据えた新たなデジタル戦略のプラットフォーム化の実現です。

 しかし、自社ECサイトのリニューアルとオフィシャルサイトの統合を、ほぼ同時期に実施するのは決して容易ではありません。それぞれの開発やデータ移行が重なるスケジュール期間もあり、プロジェクトの難所となる峠が幾度となく訪れたのです。これら想像を絶する苦労を乗り越え、ビームスはOMOサービスを使った次世代のデジタル戦略を実現しています。

スマートフォンとパソコン両方のECサイトを使う女性

HelpJessによるOMOマーケティング戦略

 アメリカに本社があるHelpJessは、OMOサービスを用いた新たなマーケティング戦略を実現しています。その発端はHelpJessが提供する専用アプリであり、アプリを用いることで世界中の提携店舗での買い物を可能にしました。

 また、専用アプリ上でみつけた商品がわかりにくい場合、実店舗のスタイリストやデザイナーとオンラインで会話をしながら商品を選択できます。つまり、オンラインでも実店舗と同じような商品選びを行えるのです。

 専用アプリを介してオンライン上で商品の魅力を伝えることにより、オンラインショッピングに不慣れな顧客の利用を増やしています。それに伴い、店舗スタッフは店舗に顧客が来なくても接客ができるようになり、顧客と店舗スタッフの両方に利点がある新たなマーケティング戦略を創り出しました。

T-shirt store in smartphone on friday night

ZOZOのOMOプラットフォーム「ZOZOMO」とは

 2021年10月28日、ZOZOは、ZOZOTOWNとブランド実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO」(ゾゾモ)を、11月1日(月)より始動すると発表しました。ローンチ時のZOZOMOは、次の3つのサービスをZOZOMOとして展開するとしており、OMOの仕組みとして、オンライン・オフラインお商品の在庫を融合することが、最初のステップであることがわかります。

①ZOZOTOWN上での「ブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置き」

 ZOZOTOWN上で「ブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置き」ができるサービス。ブランドは、ZOZOTOWNのユーザーに実店舗の在庫情報を知らせることで、実店舗への集客と、実店舗における別商品のあわせ買いが期待できます。

②ショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」

 ZOZOTOWNが持つECでの販売ノウハウと、ショップスタッフが持つ実店舗での販売ノウハウを掛け合わせ、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ新たな販売方法を実現する、ショップスタッフ専用ツールです。ローンチ時のFAANSでは、ZOZOTOWN上で実店舗の在庫取り置きを希望したユーザーへの対応を、ショップスタッフがFAANS上の簡単操作で完結できる機能を導入。この機能により、ショップスタッフは店舗での接客の隙間時間に、スムーズに在庫取り置きの対応をすることが可能となります。

③ブランド自社ECとZOZOTOWNの在庫シェアリング「Fulfillment by ZOZO」

 ZOZOTOWNの在庫とブランド自社ECの在庫を一元管理することで、各チャネルにおける商品欠品による販売機会の損失を最小化するサービスで、こちらは2019年5月より提供しています。ZOZOが運営する物流倉庫「ZOZOBASE」がブランドの自社ECの物流機能も担う仕組みです。

日本アパレル業界におけるOMOサービスの今後

 前項ではOMOサービスの導入事例を解説しました。最後に、日本アパレル業界におけるOMOサービスの今後をみていきましょう。

 アパレル業界では各ブランドがOMOサービスを導入し始め、新たな顧客体験を模索中です。また、多様化する顧客ニーズに対応するためにも、OMOサービスだけでなくさまざまなDX化が進んでおり、ビジネスモデルの再構築が行われています。

 今後、日本のアパレル業界におけるOMOサービスは、OMOを戦略の1つとして立案するのではなく、企業全体の戦略として考える必要があります。さらに顧客ニーズが多様化した現在では、企業は顧客の消費行動に最適化しなければなりません。

 このように、OMOを用いて実店舗とオンラインの融合を図ることで、顧客の消費行動が明確化し、顧客に寄り添ったマーケティング戦略が可能です。つまり、アパレル業界で企業の成長を実現するためには、OMOサービスを含めたDXが今後さらに重要になると予想されます。

オンラインとオフラインを考えるイメージ

OMOサービスを活用して日本アパレル業界の未来を切り開こう

 ここまで、日本アパレル業界におけるOMOサービスの現状、重要性や導入事例を解説しました。

 新型コロナウイルス感染症の影響やインターネットの普及に伴い、顧客の消費行動が激しく変化しています。それら多様化する顧客ニーズに対応するためにも、企業はオンラインとオフラインを融合させるOMOサービスの導入の検討が不可欠でしょう。

 このOMOサービスは顧客の消費行動に最適化できるだけでなく、利益拡大のための新たなマーケティング戦略が実現可能です。すでに多くの企業がOMOサービスを導入し、さまざまな顧客体験を提供しています。

  OMOサービスの導入を検討している方は、ぜひ本記事の内容を参考にし、アパレル業界の未来を切り開いていきましょう。

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EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

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