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オムニチャネルとは顧客とつながる販売戦略!メリットや実行方法を解説


 オムニチャネルとは、チャネルの連携により企業と顧客をつなぐマーケティング戦略です。オンライン・オフラインを問わずデータを統合させて販売を促進する手法で、多くの企業から注目を集めています。 本記事では、オムニチャネルの意味やメリット・デメリット、実行方法について紹介しましょう。

オムニチャネルとは?

スマートフォンを見ている日本人女性

 オムニチャネルの「オムニ」とは「すべて」という意味で、チャネルは企業が消費者に商品を届ける「流入経路」という意味のマーケティング用語です。

 これらの言葉を合わせたオムニチャネルは、ウェブサイトなどのオンラインから実店舗などのオフラインまで、幅広いチャネルを統合する販売戦略を表しています。チャネル同士が連携し、顧客情報を一元管理して顧客満足度を向上させる手法です。

 ここでは、オムニチャネルとほかのチャネルの違いやオムニチャネルが注目される背景、必要性などを紹介しましょう。

マルチチャネルやクロスチャネル、O2Oとの違い

 複数のチャネルを利用する販売戦略としては、オムニチャネルのほかにもマルチチャネルやクロスチャネル、O2Oがあります。

  マルチチャネルとは、オムニチャネルと同じく複数のチャネルで顧客とつながる販売戦略です。しかし、各チャネルは独立しており、顧客情報や問い合わせ状況などは共有されていません。顧客はチャネルごとに登録しなければならず、同じ企業なのに別のサービスを利用している印象を持ってしまいます。

  このようなマルチチャネルの課題を解消するように登場したのが、クロスチャネルです。部分的にチャネルが連携している体制で、つながっているチャネル同士で情報を共有できます。たとえば、チャットボットで対応できない案件を電話へとつなげ、オペレーター

 このクロスチャネルをさらに進化させたものが、オムニチャネルです。オムニチャネルはすべてのチャネルを連携させることで買い物ができる環境をシームレスに提供し、顧客満足度を飛躍的に高めています。

また、O2Oとは「Online to Offline」の略で、オンラインとオフラインが連携した販売戦略です。ウェブサイトから実店舗へと誘導し、購買につなげます。たとえば、サイト上に店舗で使える割引クーポンを掲載し、実店舗での利用を促す方法です。

O2Oは実店舗への来店に特化した戦略で、新規顧客の獲得など短期的な売上の向上に効果的です。一方、オムニチャネルは、顧客満足度の向上を目的にリピーターの獲得を主な目的としており、中長期的な売上の向上に効果的な戦略と言えるでしょう。

注目される背景

 オムニチャネルが注目されるようになった背景には、スマホの普及により消費者の購買行動が変化したという事情があります。総務省の調査「インターネットの利用状況」によれば、2019年のインターネット利用率は89.8%で、そのうち63.3%がスマホを利用しているという現状です。

 スマホさえあれば、ユーザーはいつでも商品・サービスを検索し、口コミを確認して購入するという一連の手続きを行えます。消費者の情報の収集や購買行動にはインターネットが密接に関わり、SNSなどの口コミ情報が重視されているのが特徴です。企業には、このような消費行動の変化に合わせた戦略が求められています。

 また、2020年から続くコロナ禍により、さらに消費者の購買行動はオンライン化が進んでいます。店舗の集客も、オンラインとの連携強化が必要になっています。オムニチャネルへの注目は、より高まっていると言えるでしょう。

オムニチャネルの必要性

 顧客との接点が多様化するに伴い、顧客満足度向上のためにはチャネルを横断してアプローチをする手法が必要になります。オムニチャネルでは、さまざまな顧客体験を提供し、満足度を高めることが可能です。

 たとえば、「ウェブサイトで注文してからコールセンターで注文内容を変更する」「サイトで購入した商品の引き取りは店舗にする」「店舗に行く前に、店舗にどのような商品があるのかがわかる」など、購入に際して幅広い体験を可能にします。

オムニチャネルのメリット

インターネットショッピングのイメージ

 オムニチャネルを導入することで、多くのメリットが得られます。まず、チャネルの連携により、顧客満足度が上がります。また、より細やかな顧客分析ができ、一貫性のあるマーケティングが可能です。

チャネルの連携により顧客が欲しいタイミングで商品の在庫を確保できるため、販売機会も逃しません。ここでは、オムニチャネルがもたらす3つのメリットについて紹介します。

顧客満足度を高める

 オムニチャネル最大のメリットは、顧客満足度の向上です。チャネルの連携により、これまでにない購入体験を実現します。たとえば、「ネットで注文し、送料の負担なく実店舗で受け取る」「店舗の在庫を確かめてから買い物に行く」といった方法が可能です。

  また、実店舗は商品を見て触れるショールームのような場所として利用し、購入はECサイトで行うといった方法も選べます。

顧客満足度が高まることで購入の機会が増え、高い売上アップが期待できるでしょう。

細かいデータ分析が可能になる

 オムニチャネルでは、これまで各チャネルが個別に取得していた顧客データを一元化できます。蓄積したデータをすばやく分析できるのも、メリットのひとつと言えるでしょう。

  データをもとに顧客へのレコメンド(好みに合う商品やサービスの提案)ができ、購買頻度に合わせた施策などもスピーディーに展開できます。

 施策の効果測定も簡単にできるため、改善策も迅速に行うことが可能です。

販売機会の損失を減らす

 チャネルの連携により、販売機会の損失を減らすこともできます。在庫管理を一元化できるため、顧客が店舗で商品がほしいと思ったときに在庫がないということがありません。

 ウェブサイトや店舗の在庫状況をすばやく確認できることで、自宅配送や店舗受け取りなど選択肢の提供が可能です。販売機会を逃さず、売上へとつなぐことができます。

オムニチャネルのデメリット

節約のイメージ

 メリットの多いオムニチャネルですが、デメリットもあります。まず、導入にはコストがかかることを把握しておかなければなりません。また、チャネル同士が競合して成果を奪い合うという可能性があります。

  さらに、目に見えた効果が出てくるまでには、ある程度の時間がかかることも知っておきましょう。オムニチャネルのデメリットを紹介します。

導入にコストがかかる

 オムニチャネルの導入にはコストがかかります。販売チャネルがひとつの会社では、チャネルを増やすための費用が必要です。たとえば実店舗のみで展開してきた会社であれば、オンライン上で複数のチャネルを立ち上げなければなりません。

 また、複数のチャネルがある場合でも、連携させるためのシステム開発やデータベースの管理にコストがかかります。

 そのため、オムニチャネルを導入する際は、その後の運用において初期費用を回収できる見込みがあるかも確認しておかなければなりません。

各チャネルが競合する

 各チャネルが競合する場合、新規顧客の獲得ではなく、顧客がオンラインに流れてしまうという可能性もあります。実店舗はただ商品を確認するだけになり、購入は安いウェブサイトにするといったことも考えられるでしょう。チャネル同士が成果を奪い合うのであれば、オムニチャネルにする意味がなくなってしまいます。

 このような不都合を解消するためには、実店舗で購入した場合だけ受け取れる特典をつけるなど、競合により顧客が流れるといった事態への対策が必要です。

成果が出るまで時間がかかる

 オムニチャネルを導入したからといって、ただちに効果が出るわけではありません。すぐ売上に結びつけたいのであれば、O2Oの手法をとる方が確かな成果を得られるでしょう。

オムニチャネルは顧客満足度をあげながら、企業のブランディングや信頼を獲得していく戦略です。効果が出るまで、ある程度のリソースを確保できることが導入の条件になるでしょう。

オムニチャネルを実行する方法

ゴールを設定するイメージ

 オムニチャネルを成功させるためには、いくつかのステップを踏まなければなりません。ビジネスの成功にはまず明確な目標の設定が必要ですが、オムニチャネルでも同様です。

 また、各チャネルがオムニチャネルについて共通の認識を持つことも、重要なポイントと言えるでしょう。ここでは、オムニチャネルを実行する方法について紹介します。

目標を設定する

 オムニチャネルは全社をあげて行う大掛かりなプロジェクトです。すべてのチャネルを統合する施策を行うためには、明確な目標を設定しなければなりません。

 オムニチャネルによって何を実現したいのか、最終的にどのような成果を目指しているかを明らかにします。そのために何が必要で、いつまでに導入をするかなどを決めましょう。スケジュールや役割分担などを具体的に設定し、計画的に進めていくことが大切です。

顧客体験を設計する

 次に、顧客体験の設計を行います。顧客が企業を認知して購買行動に出るまでの過程「カスタマージャーニー」の作成です。

 見込み客から初回の購入、リピーターなど、会社との関係性に合わせて顧客をステージ分けして考えてみてください。それぞれの顧客がチャネルを利用して具体的にどのように商品を購入するのか明らかにし、各ステップで最適なアプローチができるための施策を考えます。

 現状の顧客行動と改善すべき点を分析し、どうすればより満足度の高い購買体験を提供できるかを考えることが必要です。

各チャネルが連携する

 オムニチャネルは各チャネルが協力し合い、企業の売上を伸ばすための全社的な取り組みです。スムーズな連携が行えるよう、統一した認識を持たなければなりません。

通常、企業はマーケティング部や店舗、ネット販売部門など縦割りの組織形態になっており、​​それぞれが競争意識を持つことも少なくありません。しかし、オムニチャネルを運用するうえでは、認識を共有し、各チャネルの位置づけや役割分担にもとづいて行動することが大切です。

PDCAサイクルを回して運用する

 オムニチャネルで目的通りの成果をおさめるには、適切な運用も大切です。得られたデータをもとに、PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)を回して運用の質を高めてください。

  定期的に戦略を見直すことが、オムニチャネルの成功につながります。日々変化する顧客のニーズも把握しながら、より効果的な施策を考えていきましょう。

オムニチャネルでサービスの向上を図ろう

パソコンを使うカップルのイメージ

 オムニチャネルはすべてのチャネルが連携したマーケティング手法です。スマホやSNSの普及により消費者の購買行動は変化し、企業との接点も多様化しています。初期費用がかかるなどのハードルはありますが、これからの時代に求められる販売戦略として検討してみるのもよいでしょう。

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EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

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