楽天グループは9月2日、オンラインセミナー「楽天EXPO 2021」を開催。同社の代表取締役会長兼社長 最高執行役員を務める三木谷浩史氏が登壇し、2021年度における楽天市場の成長動向や、同社の今後の戦略について話をした。
2021年度上半期における、同社の国内EC流通総額は約2兆3,000億円となっており、コロナ禍で需要の高まりがあった2020年度の同期比で17%上昇。また、過去2年間におけるショッピングECの平均成長率が23.6%上昇していることや、コロナ禍で増加した楽天市場ユーザーの定着率が約76%となっていることなどから、同社は2021年度の年間目標を5兆円に設定している。また、2021年6月に取得した楽天市場のNPSスコアは、2020年1月と比較して9ポイント上昇。日経BPコンサルティングが提供する「Webブランド調査」では2021年春夏における1位を楽天市場が獲得した。
今後の展開として三木谷氏は、総合的なサービスを提供することでショッピングの需要を増加させる計画、とくに楽天モバイルと楽天市場のシナジー効果による事業拡大を目指すと言う。
楽天モバイルは現在、MNOとMVNOを合わせた契約数が500万回線以上となっており、サービス提供開始からのユーザー獲得ペースは楽天カードの4.8倍の速度。今後はユーザー数を2,000~3,000万人に伸長させることを目指す。また、2021年6月の楽天グループ全体のサービスにおいて、新規ユーザーの約20%は楽天モバイル経由であることなどから、他サービスとのシナジー効果を見込んでいる。
楽天モバイルと楽天市場の関連性については、楽天モバイルユーザーの62.9%が楽天市場で買い物をしていることや、楽天市場におけるユーザーの年間流通総額が楽天モバイル加入後に約77%増加することなどを挙げた。続いて楽天市場での現在の取り組みについて三木谷氏は、「送料込みラインの導入店舗拡大」「配送効率化」「楽天ポイントの利用拡大」の3つに注力していると紹介した。
送料込みラインは、楽天市場の対応ショップ内同一注文の購入合計金額が税込3,980円以上の場合に、送料が無料となるサービス。楽天市場における同サービスの導入店舗は現在90%を超えている。またセミナー内では、同サービスの導入店舗は未導入店舗に比べて流通総額成長率が25%高いという結果も示された。
配送効率化については、楽天グループが日本郵便と業務提携を行い、2021年に新たに設立したJP楽天ロジスティクスでの取り組みを挙げた。物流拠点の増加や自動化を推進し、北海道や沖縄県も含めた全国で統一されたサービスの提供を目指していくとのこと。
楽天ポイントの利用拡大については、楽天グループが提供する楽天ポイントの倍率を挙げるサービス「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の浸透によって、同社が提供する他サービスの多重利用が促進されていることを挙げた。また、楽天市場におけるポイント利用額は、発行額に比べて1.6倍となっていることから、楽天ポイントの利用拡大による楽天市場のメリットは大きいと説明した。
最後に三木谷氏は、今後の目標として2030年における同社の国内EC流通総額を10兆円まで拡大するという話や、同社の新型コロナウイルス感染症ワクチン接種への協力体制について述べ、セミナーを締めくくった。