矢野経済研究所は、全国の主要なショピングセンター(SC)デベロッパーや運営事業者の現状・戦略・将来展望、ならびにテナント企業によるSCデベロッパー・運営事業者の評価、消費者のSC利用実態を調査した。ここでは、全国主要SC50施設における消費者利用満足度調査の分析結果を公表した。
調査結果
同調査(消費者利用満足度調査)では売上高、面積、話題性から任意に抽出した全国主要ショッピングセンター(以下、SC)50施設(郊外・準郊外型26施設/駅・都心部立地24施設)について当該SCを月1回以上利用している全国在住の20代から50代女性4,857名にアンケート調査を実施し、利用した際の評価項目(5段階評価)と重視・期待する項目(3段階評価)から現在の満足度を指数(得点)化し、それを総合満足度として高い順にランキングした。
同調査結果から、総合満足度ランキングのトップは「玉川高島屋SC」で、2016年、2018年とも「阪急西宮ガーデンズ」の後塵を拝していたが、同調査では僅差だがトップになった。2位は「阪急西宮ガーデンズ」、3位「テラスモール湘南」、4位「天王寺ミオ」、5位「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」で、「テラスモール湘南」は前回9位、「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」は29位であった。
注目トピック
ウィズコロナ・アフターコロナ時代で、地域貢献のための床活用が生き残りに不可欠
消費者利用満足度調査総合ランキング上位のSCは施設面積の広さと立地に恵まれている。優位性のあるSCとは、公共交通機関を利用してアクセスできる駅の近くや利便性の高い立地にあり、かつ一定の施設面積の広さを有する。しかしこれほど恵まれた商環境、立地環境条件が揃っているSCは田国でもそう多くはない。消費者がSCを利用する最重要項目は「利用したい店が入っているかどうか」だという。ここにはエンドユーザーのニーズに対応する側面と、需要を創り出す提案の側面のふたつがある。このうち後者は潜在的な需要を掘り起こし、市場創造をしていくための戦略であり、独自性が生まれ、差別化が生じる。
ウィズコロナの今を経て、アフターコロナの時代にデベロッパー、運営事業者はテナントからの賃料収入だけで事業を安定化させることは容易ではない。地域に貢献するために、SCが持つ床をどう活用していくのかの視点が今後不可欠である。エンドユーザー自らが気づいていない需要や変化に対応する柔軟性が問われている。
調査概要
- 調査期間:2020年10月
- 調査対象:全国在住の20代から50代女性4,857名
- 調査方法:インターネットアンケート調査