「セール品を見つけることが楽しい」全世界の59%
「ニールセン グローバル小売成長戦略調査」は、小売業者がどのくらい消費者のニーズを満たしているか、消費者はなぜ他の店舗でなく特定の店舗を選ぶのかなどを調査するもので、61か国30,000人のオンライン回答者を対象に行われた。また、19の商品カテゴリを分析し、商品の特質で重要な点の特定を行い、付帯的な店内サービスに関する消費者の意識なども調査している。
買い物の楽しみのひとつは“狩り”に似たワクワク感のようだ。全世界の回答者の59%が、時間をかけてセール品を見つけることを楽しんでいる、と回答しており、特に北米(68%)と南米(64%)で高くなっている。
しかし、「小売業者や製造業者の熱心な販促活動が消費者に“低価格が標準だ”という期待を作り出す一方、一部の消費者は出費を見直しはじめ、徐々に“最安値だけが価値ではない”と考えるようになってきている」とニールセンは分析。「消費者はしばしば、便益が価格を上回るならばより多く支払ってもよい、と考えており、売り手側は、買い物客に何度も来店してもらいたければ、彼らの期待を上回り、高価格が真に正当であると説得力をもって証明できなくてはならない」と指摘している。
低価格と高価格、それぞれに価値を見出す消費者
多くの地域で、成功を収めている小売業者は価格帯の両端に位置している。消費者の多くは価格を重視し続けているが、一部の消費者はさらなる価値と品質を見出せる商品に乗り換えている。
米国でのスーパーマーケットに関するニールセンのある分析では、「ディスカウントストア」と「自然/高級食品スーパーマーケットチェーン」が、ともに店舗数を伸ばして主流のスーパーマーケット群からシェアを奪っていることが明らかになった。2015年から2020年の間、これらニッチ分野の成長(それぞれ年間2.6%、6.8%の予測)は主流スーパーマーケットの成長(年間1.4%の予測)を上回ると予想され、この傾向は大規模小売業者にプレッシャーを与えている。
ニールセンの小売販売分析によれば、東南アジアでは6つの市場の16のカテゴリにおいて、2012年10月~2014年10月の間に、高級セグメントにおけるドル売上高が、バリュー層とメインストリーム層(それぞれ10%、8%)の2倍の速さで(21%)成長。中国も同様の傾向を見せており、高級層の成長(23%)はさらに高くなっている。
食品と飲料では、ローカルブランドが有利
生鮮食品では、明らかにローカルの製品のほうが好まれる傾向にある。このカテゴリーで買い物をした世界の回答者の多くは、グローバル・ブランドよりも地域のブランドを選ぶと回答している。
ローカル製品のグローバル製品に対する割合は、野菜で68%対11%、精肉で66%対13%、果物で64%対12%、魚介類で57%対18%、ヨーグルトで52%対22%。すべての地域におけるほぼすべての生鮮食品カテゴリーで、ローカル・ブランドが優勢となっている。
地域のブランドは、腐敗が心配されたり、地域により好みが異なる飲料のカテゴリーでも好まれており、すべての地域の回答者は、果汁飲料、水、牛乳について、ローカル製品を好むと答えている。炭酸飲料を購入した回答者のうち、ヨーロッパ以外のすべての地域でグローバルな製品がより好まれている。ヨーロッパは、ブランド原産国は重要でないと答える回答者の割合が最も高い地域である。
包装食品や菓子では、地域の味の好みが最も重要となっている。地域のブランドがグローバル・ブランドより好まれる商品は、アイスクリーム(44%対27%)、クッキー・ビスケット(40%対28%)、スナック菓子・クラッカー(40%対28%)、朝食用シリアル(44%対29%)、インスタント麺(47%対24%)、そして野菜の缶詰(53%対20%)などとなっている。
日用品の買い物には時間をかけたくない
お買い得品をつかむスリルを感じつつも、世界の回答者の約半数(46%)が、日用品の買い物にはできるだけ時間をかけないようにしていると答えている。買い物体験のどの部分が特に楽しくないのだろうか。
多くの消費者は、小売業者が彼らを理解せずニーズを満たしていないと考えており、主要な日用品の小売業者が「常に」または「ほぼ常に」自分たちを正しく理解していると感じているのは回答者の半数未満(49%)に留まっている。
半数よりやや多い回答者が、小売業者は「常に」または「ほぼ常に」消費者の日用品に対する要求を理解しており(53%)、また消費者が好み重視する商品を提供している(52%)と回答している。
あれば訪れる「店内サービス」とは
変化する顧客の要求に対する正しい理解を維持するには、満たされていない需要の空白を見つけ、顧客を満足させ、たびたび戻ってくるよう商品とサービスを提供することが大切になる。世界で最も広く提供され利用されている店内サービスは、活動的なライフスタイルに応える便利な選択肢だ。
世界の回答者のうち10人中約4人が、店内併設の銀行(42%)、ファストフード(40%)、調理済み食品(40%)、または薬局(39%)サービスを利用していると回答し、約5分の1が可能であれば利用すると答えている。まだあまり提供されていない、または利用されていないサービス、例えば料理教室(17%)、病院(27%)、美容室(27%)、郵便(29%)なども見込みがありそうだ。回答者の4分の1が、可能であればこれらのサービスを利用すると答えている。
ニールセンは「実店舗の役割が増すにつれ、新しい店内サービスを追加することは、消費者を呼びこみ、滞在時間を増やし、再来店を促す可能性がある」としつつも、「これらサービスの提供を考える際は自社のみで行うのではなく、専門家と協力するほうがよいかもしれない」と示唆している。