楽天グループは2024年10月7日、「楽天市場」の広告関連事業に関する記者向け説明会を実施した。説明会には、同社のコマース&マーケティングカンパニー 市場広告部 ジェネラルマネージャー 春山宜輝氏、アカウントイノベーションオフィス ジェネラルマネージャー 堀川直裕氏の2名が登壇。「楽天市場」における広告戦略や広告プロダクトなどを紹介した。
春山氏は、広告関連事業の取り組みについて、特に楽天市場におけるリテールメディア戦略をオンラインとオフラインの両面から説明した。
オンラインの戦略として、楽天市場では「検索連動型広告(RPP)」「ターゲティングディスプレイ広告(TDA)」に加え、2024年5月に「検索連動型広告-エクスパンション(RPP-EXP)」、2023年11月に「ターゲティングディスプレイ広告-エクスパンション(TDA-EXP)」の提供を開始した。具体的な内容は次のとおり。
検索連動型広告-エクスパンション(RPP-EXP)
楽天グループのシステムを経由して「Google ショッピング広告」に直接広告を出稿できる。商品名や価格といった基本情報だけでなく、商品画像の掲載も可能となっている。
ターゲティングディスプレイ広告-エクスパンション(TDA-EXP)
楽天グループのシステムを経由して、FacebookやInstagramなどMetaが提供するプラットフォームに広告を出稿できる。各ユーザーの行動データに基づき、商品を自動的に組み合わせて広告を配信する仕組み。
加えて、楽天グループは楽天市場に出店していないメーカー向けの販促支援を強化する考えを示している。そのための施策として、次の二つが挙げられた。
RMP - Brand Gateway/RMP - Showroom
楽天市場の出店有無にかかわらず、楽天市場内に自社サイトを構築できるサービス。これにより、各メーカーは世界観を表現したコンテンツをユーザーに発信できる。
ブランド広告主向け検索連動型広告(RMP - Sales Expansion)
楽天市場に出店していないメーカーが、自社商品を販売しているリテーラーに対して広告を活用した販促支援を行えるもの。メーカー負担で楽天市場の検索結果に広告を表示し、該当商品を販売しているリテーラーのページへユーザーを誘導する。
また、春山氏はオフラインにおける戦略として「楽天ポイントカード」「楽天ペイ」といった楽天エコシステムの活用とともに「Rakuten Pasha」に言及した。これは、事前にクーポンを配布し、ユーザーが対象商品を購入すると楽天ポイントを付与するサービス。ユーザーは、アプリを通じて撮影したレシート画像の申請でも楽天ポイントを得られる。
そのほか、流通のID-POSを活用して広告配信・効果測定ができる「Instore Tracking」、店頭連動販促施策「リテール販促キャンペーン」も存在しており、春山氏は「オンライン・オフラインで売上を最大化するソリューションを提供している」と語った。
続いて、堀川氏がナショナルブランドのデジタルコマースを支援する組織「アカウントイノベーションオフィス(AIO)」の概要と具体的な事例を共有した。組織の設立背景について、同氏は次のように述べる。
「eコマースが一般的な買い物手段として普及する中、既に消費者の生活に浸透している商品を開発する大手メーカーやブランドへのサポートが必要となっています」(堀川氏)
本説明会では、AIOの取り組みとして次の二つの支援事例が紹介された。なお、同事例を紹介するのは今回が初めてとのこと。
資生堂
「ELIXIR」の新商品発売にあたって、楽天市場内にブランドページを設置し、ユーザーの認知やブランド理解を促進。また、サンプリングによって事前にリードを獲得した上で、商品発売のタイミングで販促キャンペーンを実施し、垂直立ち上げに成功した。これにより、楽天市場のランキング上位に表示される効果も得られた。
レゴジャパン
レゴジャパンは、楽天市場のユーザーが子どもへのプレゼントを探す際に自社が候補として挙がるよう、ブランディングを強化した。具体的には「Rakuten GirlsAward」におけるブース出展、東北楽天ゴールデンイーグルスへの協賛、「楽天ブックス」でのタイアップ施策など、楽天グループのアセットを活用して顧客接点の創出と認知拡大に取り組んでいる。