小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業を展開するデジクルは、全国スーパーマーケットのネイティブアプリ・LINEミニアプリ活用における調査をまとめた結果を発表した。
同調査は、業界のアプリ・LINEミニアプリ活用の現状把握を目的とし、全国スーパーマーケット協会 会員名簿2022(食品スーパー)における年間売上高記載上位50社のネイティブアプリ/LINEミニアプリに搭載されている8つの機能(会員証、クーポン、チラシ、ポイント、独自決済、宅配・EC連携、キャンペーン、レシピ)を同社独自の基準で分析した。同調査結果の詳細は、次のとおり。
調査対象の半数以上がアプリを活用
対象企業の半数以上である27社がすでにネイティブアプリまたはLINEミニアプリ(以下、アプリ)を活用していることがわかった。新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、小売業のデジタル化は加速しており、今後もアプリ活用は進んでいくことが予想される。小売企業が顧客とのデジタル接点を構築することで、購買履歴、利用履歴などのユーザーデータを取得できるようになり、属性に応じたクーポン活用やキャンペーンなど、実店舗だけでは実施が難しかったデジタルマーケティング施策が可能に。また、自社アプリの強化により、リテールメディアとしての新たな収益機会の創出を目指す動きも高まっている。
アプリにもっとも搭載されている機能
もっとも搭載されていた機能は、チラシ(26/27社)となり、2位クーポン(24/27社)、3位会員証(20/27社)がこれに続いた。
アプリ・LINEミニアプリを展開する27社中、26社がチラシ機能を導入しており、集客の大きな柱として位置付けていることを印象付ける結果となった。紙チラシデータをPDF化し、展開する企業が多い一方で、独自のUIで見やすく掲示したり、アプリ起動時に情報を表示する企業も見受けられた。
クーポン機能では、多くの企業が、ポイントクーポンや会員限定のクーポンを配信しており、アナログでのクーポン配布だけでは実現が難しいアプローチを行っていることがうかがえる。
また、会員証を搭載するアプリの75%は、カード会員向けに設計されており、今回の調査で確認した多くのアプリが、カード会員に向けて提供されていることが判明。利用するにあたり、非カード会員の店舗カウンターでの会員証作成を求める企業が多いなか、アプリ内でデジタル会員証発行を実現する企業もあった。会員証機能が搭載されていないアプリは、店舗からのお知らせなど、コンテンツ発信に主に使われる一方、カード会員向けアプリでは、アプリ内決済や、ポイント機能などよりリッチな機能が展開されており、デジタル会員証への移行を促すアプリも多く見られた。
アプリ・LINEミニアプリ活用が進んでいる会社
アプリ活用企業の各機能を同社独自の指標で分析した結果、もっとも優れたアプリ活用を行なっていたのは、ライフコーポレーション(以下、ライフ)、 2位イトーヨーカ堂・フレスタとなった。
ライフの公式アプリでは、幅広い機能を搭載しながらも、初めて使用するユーザーにも優しいナビゲーション設定が取り入れられている。また、カード会員でなくともアプリ経由での会員登録が可能かつ、アプリ内完結の支払いやネットスーパー機能、ターゲティングされたクーポン配信など、どの項目でも平均を上回る結果となった。
上位にランクインした企業では、そのにも、属性に応じたサービスの提供や、レシピなどの情報・コンテンツの充実、ユーザビリティを考慮した機能設計がなされており、サービスアップデートの頻度も高いことがわかった。
各種ランキングは次のとおり。
アプリ・LINEミニアプリ活用ランキング
- 1位:ライフコーポレーション(21点)
- 2位:イトーヨーカ堂 (19点)
- 2位:フレスタ (19点)
- 4位:アークス (15点)
- 4位:東武ストア(15点)
搭載機能ランキング
- 1位:チラシ
- 2位:クーポン
- 3位:会員証/ポイント
- 4位:レシピ
- 5位:キャンペーン
- 6位:宅配・EC
- 7位:独自決済
調査概要
- 調査期間:2022年10月27日時点
- 調査方法:対象企業のネイティブアプリ/LINEミニアプリで搭載されている8つの機能(会員証、クーポン、チラシ、ポイント、独自決済、宅配・EC連携、キャンペーン、レシピ)をデジクル独自の基準で5段階評価
- 調査対象:全国スーパーマーケット協会 会員名簿2022(食品スーパー)における年間売上高記載上位50社(※同一ネイティブアプリ利用企業はグループ1社として調査)