矢野経済研究所は、国内のホームファッション市場を調査し、現況、製品セグメント別の動向、将来展望を明らかにした。
市場概況
2021年の国内ホームファッション小売市場規模は、小売金額ベースで前年比102.0%の3兆4,140億円と推計。コロナ禍によるテレワーク・在宅勤務の増加により、おうち時間で活躍するアイテムが市場をけん引した。特に、部屋で快適に過ごすための「ナイトウェア・ホームウェア」や、自炊の増加にともない「キッチン・テーブルウェア」市場が好調に推移した。
販売チャネルでは、営業機会が大幅に減少した百貨店が苦戦し、それを補完したECチャネルが好調に。EC専業企業はもちろん大手小売チェーンがデジタルシフトを推進したことで大きく売上を伸ばした。
注目トピック
立ち上がるスマート家具マーケット
近年、IT技術を活用したスマート家具のマーケットが形成されつつある。たとえば、音楽を奏でるテーブルや、設定時間に自動開閉できるカーテン、スマートフォンで点灯・消灯、明るさ、色などをコントロール可能なスマートLED照明、睡眠スコア機能を搭載した健康配慮型ベッドなど、さまざまな商品への展開が広がっている。まだ一般的には普及していないケースもあるが、今後伸長することが期待される。
将来展望
2022年の国内ホームファッション小売市場規模は、小売金額ベースで前年比100.2%の3兆4,220億円と予測する。コロナ禍による需要増によりプラスとなったが、今後数年は寡占化の影響により中小企業を中心に、業績低迷を余儀なくされる企業の撤退や再編などが加速するものと考えられる。加えてアパレル企業など異業種からの新規参入もあり、競争激化は必至である。同時に、サブスクリプションやレンタル、新しい形態の店舗などサービスや売り場が次々に生まれており、今後はその新しい事業の成否による市場の拡大か縮小かが分かれると予測される。
調査概要
- 調査期間:2022年8月~10月
- 調査対象:ホームファッション関連企業(メーカー・卸売業・小売業)
- 調査方法:同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに郵送アンケート調査併用