大分県中津市は、2022年4月1日から3年間、「ふるさとなかつ応援寄附金」の管理に関わる業務をヤマト運輸に委託することを決定した。
中津市とヤマト運輸は、地元中小事業者の本制度への積極的な参画を促すとともに、各自治体がふるさと納税指定制度を活用するなかで発生している運営上の課題を解決し、地域産業全体の活性化を目的とした制度の運営を目指す。
ふるさと納税は、2008年に創設されて以来13年が経過。総務省の発表では、ふるさと納税の寄附者は毎年増加傾向にあり、2020年の全国受入額は約6,725億円と過去最高となっている。
その一方で、返礼品競争が発生し、一部の地元事業者のみに返礼品の発注が集中してしまい地域産業全体の活性化につながらないなど、本来の主旨とは異なる事態が発生。また、寄附額に準じた返礼品の準備と在庫管理が難しく、返礼品の発注に対して在庫が足りなくなるなど、運営にあたりさまざまな問題も発生している。
今回、本来の主旨に立ち戻り、地域産業の活性化と地域の魅力発信に向け、ヤマトグループがこれまで培ってきた地域とのつながりや多様な経営資源を活用し、中津市および地元事業者と一体となった制度の運営を行う。
具体的には、個人向けの荷物の発送経験が無い地元事業者でも、気軽に返礼品の提供に参画するための業務支援はもとより、政府が指定する返礼品の基準である、返礼割合を寄附額の3割以下に維持するために、返礼品提供事業者ごとのキャパシティの把握や返礼品の生産 出荷状況の確認など、自治体・地元事業者・ヤマトグループが一体となり、「ふるさとなかつ応援寄附金」の制度を通じて中津市の地域産業活性化に貢献する。
ふるさと納税運用の全体フロー
ヤマト運輸が提供する主な業務
- 返礼品提供事業者の出荷キャパシティの把握
- 返礼品の生産 出荷準備状況の確認
- 新規参画企業への物流面での各種サポート
- 新たな返礼品を提供してくれる地元事業者の開拓のための情報提供
- 中津市ふるさと納税特設サイトの運営・管理・プロモーション
- 寄附納入に関わる受領・決済・とりまとめ業務
同運用によるメリット
- 返礼品申込状況や生産状況に応じたキャパシティを調整し、過剰な寄附の未然の防止が可能
- 返礼品提供事業者の開拓のための情報提供により、特定の返礼品提供事業者に寄附が偏らないよう調整
- 新規返礼品提供事業者に対し、制度説明から返礼率を加味した返礼品準備までサポート
- 地元事業者が積極的に返礼品の提供に参画できる仕掛けづくりを行うことにより、地域産業全体の活性化が可能
- 従来のウェブプロモーションに加え、宅急便の荷物を活用した専用送り状や資材により、中津市の魅力を全国に発信することが可能
- ヤマト運輸が一括で運営することで寄附者の窓口が1本化され、返礼品に関する問い合せにスムーズに対応することが可能
受託期間
- 令和4年4月1日から令和7年3月31日まで
今後は、両者が連携することで、ふるさと納税に係る指定制度の運営上のさまざまな課題を解決し、地元企業と一体となった地域産業の発展を目指す。
また、ヤマト運輸は、ふるさと納税に限らず、各自治体が抱える固有の課題やニーズを把握し、ヤマトグループの経営資源を活用し最適な解決策を提案することで、地域産業のさらなる発展や魅力の発信を行っていくとのこと。