ストラタシスは、デンマークの靴メーカーECCOがStratasys Origin One 3Dプリンティング技術を採用し、製品開発を迅速化したことを発表。Henkel Loctiteの樹脂材料で3Dプリンティングした金型と靴木型(足の形をした形状)を使用し、開発サイクルの初期段階でのコンセプト・フットウェア・サンプルの検討が可能になった。
製靴プロセスには手作業が非常に多い中で、ECCOは製靴へ革新的な技術を導入することで、自動化の拡大や開発プロセスの合理化を実現してきた。そうしたイノベーションの1つが、ダイレクトインジェクション製法(DIP)。このプロセスによりECCOにとって、靴のアッパーをミッドソールに固定する高効率で信頼性の高い方法など、多くのメリットが生まれた。
製靴とDIPの技術革新をさらに推進するため、ECCOはストラタシスの特許取得済みP3技術を採用したOrigin One 3Dプリンタによるアディティブ・マニュファクチャリングを選択。ECCOはポルトガルとデンマークの製品開発拠点で、このプリンタを使用して開発用の金型と靴木型を3Dプリンティングしている。この靴木型は、CNC加工されたアルミニウム製のものと同等の品質要件を備える。Henkel Loctiteのフォトポリマーを使用してプリンティングした金型と靴木型は製造時間が短縮され、この新しいプロセスでは、アルミニウムをCNC加工するよりも大幅にコストを抑えることができるとのこと。
ストラタシスは材料メーカーと協力し、ECCOのニーズを満たすさまざまな樹脂をテストし、ヘンケルのLoctite 3D Printingから、DIP特有の要件に適合するよう調合されたものを選択した。Stratasys Origin One 3Dプリンティング技術とHenkelのカスタム材料の組み合わせにより、ECCOは目に見える劣化のない状態で数千ショットに耐える靴型の製造が可能に。さらに、アディティブ・マニュファクチャリング技術を使用して製造された靴は、従来のCNC加工されたアルミニウムの金型により製造された靴と同等の品質を提供する。
DIP金型を機械加工ではなく3Dプリンティングすることにより、1足の金型インサートを一晩でプリンティングできるようになり、社内でのCNC加工による1足の金型と比較し、大幅にコストを削減することができry。これにより、デザイナーや開発者は開発サイクルの初期の段階で、機能性を要求される靴のテストを行えるようになり、製品チームは新スタイルのフィッティングや快適性の確認が可能になる。さらに、ブランド・メーカーは製靴プロセスの早い段階でのフィードバックや先行販売のために、潜在的なユーザーの手元に、実際に製造した靴をより多くの種類を容易に届けることが可能に。また、ECCOは必要とされる場所で金型インサートを迅速に製造できることから、従来行っていた重い金属製の金型を輸送する必要がなくなり、コストが削減され、輸送の遅れや関税のリスクも最小限に抑えることができる。