勝ち組通販企業は今、何してる? 加藤公一レオさんに聞く
――御社のクライアントである、大手通販企業さんが最近取り組んでいるのは?
大きく2つあります。まず1つはネット広告の効果に対する変化で、以前はレスポンス中心型でした。クリック率を上げる、CPA(顧客獲得単価)を下げるといった取り組みで、私も自分のことを『レスポンスの魔術師』なんて言っていました。それがだいぶ変わってきて、今の勝ち組はLTV至上主義になってきています。Life Time Value、私たちは顧客1人あたりの年間購入単価という意味で使っています。
当社のクライアントは、ヤフーのバナー広告の約5分の1を埋めるくらい、めちゃめちゃ広告を投下しています。あまりにも投下しすぎたせいもあって、必然的にCPAは普通レベルなのですが、一方でLTVが通常の企業の3~4倍はあるんです。まずは無料サンプルを試して、次に本商品を購入、さらにリピートして、最終的にクロスセルしてもらう、という施策でLTVを最大化することに注力しています。
LTVが高ければ、広告出稿に企業規模は関係ありません。中小でも、LTVが2万5,000円あれば、CPAが1万5,000円でも採算がとれるじゃないですか。ヤフーのブラパネ(ヤフーのトップページの枠。国内最大のネット広告枠)に出しても問題ないですよ。うちは中小だからヤフーに出せないという考えかたは間違っていて、まずLTVを最大化させて、そこから逆算して、採算とれる広告媒体がどれかを探すんです。
もう1つはオフラインの施策。当社はネットでコンサルに入ったら、確実に費用対効果を上げます。でも、通販企業さんの媒体投下量もお客様への影響度も、オフラインが7~8割なんですよ。オフラインであるテレビインフォマーシャル、チラシ、新聞を上げていかないと、事業として大きくならないんですね。だから当社はネットのコンサルティング会社なのに、最終的にはオフラインの相談が来ます。
そこでこの前リリースしたのが、『売れる TVCM クリエイティブテスター』と『売れる 新聞・チラシ クリエイティブテスター』というツールです。ネットの良いところをオフラインに逆輸入して、オフラインの広告クリエイティブをネット上でA/Bテストしようというコンセプトです。やっとオフラインもA/Bテストできると、通販企業から問い合わせが殺到しましたし、ソーシャルメディアでもかなりバズりました。
広告はもちろん、商品パッケージやネーミングのテストにも使っていただけます。フランチャイズからも、たくさん問い合わせが来ましたので、今後は通販企業だけでなく、すべての業界のクリエイティブにA/Bテストが行われていくのかなと。