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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.16特集「Future in EC Success~LTV向上を叶える顧客始点とCX~」

D2C エコシステムで新顧客体験を共創 共感でつながり出会いを広げるD2C&Co.が目指す豊かな社会

 丸井グループが既存アセットをフル活用。実店舗との融合でD2C の可能性をさらに引き出す。 ※本記事は、2021年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.16』に掲載したものです。

 小売店や代理店を介さず、消費者とブランドが直接つながるビジネスモデルとして注目を集める「D2C(Direct to Consumer)」。直接収集した購買・顧客データを戦略的に活用するだけでなく、顧客を起点とした製品作りや満足度の高い購買体験の実現が、成長の鍵を握ると言われている。D2C&Co. 株式会社は、そうしたD2Cエコシステムの支援を行うことを目的に2020年1月に設立した、株式会社丸井グループの子会社だ。同グループが持つ小売・不動産・金融・物流など既存事業のアセットを活用し、資金面でのサポートを行うだけでなく、パートナーと手を組み、実店舗の出店・運営、クレジットカードによる決済、商品の製造や流通、ブランディングやメディア露出まで、多面的な支援を行っている。今回は、16のブランドを支援する中で培った知見を基に、支援者の目線から見たD2Cブランドの「顧客始点」や「顧客体験(CX)」のありかたと、既存企業やブランドにも活かせるポイントについて中島さん、金村さん、竹内さんに話を聞いた。

(写真左上)D2C&Co. 株式会社 共創投資担当(Investment team) 中島優介さん
(写真右上)共創投資担当(Co-creation team) 金村弘之さん
(写真中央)共創メディア担当 竹内琢也さん

多面的なつながりでD2Cエコシステムを創出

 「D2Cと仲間たち」の意を持つ「D2C&Co.」。その名の通り、さまざまなパートナーと連携して、魅力あるD2Cブランドを創出するエコシステムの創造・発展を目指している。共創投資担当の中島さんは「『ニッチなビジネスだけれども、素敵な世界観や価値観に基づいた事業を行う』、こうした姿勢を体現しているのがD2Cと言えます。その発展を支援することで、丸井グループが目指す『すべての人が幸せを感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現』に寄与すると考えています」と語る。

 以前より丸井グループでは、製品の背景や物語への共感が購買につながるという実感から、購買という「点のつながり」ではなく、共通の価値観や世界観を持つ“コミュニティ”という「多面的なつながり」への転換を構想してきた。2019年には「デジタル・ネイティブ・ストア戦略」を掲げてD2Cブランドへの出資を開始しており、その発展型として設立されたのがD2C&Co.というわけだ。同社設立後は、D2Cブランドのみならず、ネットショップ開設支援を行うBASEやブランディング支援を行うフラクタ、新しい「発見と体験」を届ける場の提供を行うベータ・ジャパンなどといった多彩なパートナーと連携することで、D2Cエコシステムを構築。このようにして、D2Cのビジネスサイクル全体へと支援を広げている。パートナーをオープンに募集している点についても、丸井グループとしては新たな試みと言える。

 D2C&Co.が現時点で行っている施策としては、主に3点が挙げられる。ひとつめは、丸井グループのオープンイノベーションによる事業価値の創造を目的に、2023年3月までに300億円の投資計画を立案。D2Cブランドのほか、eコマースプラットフォームを手掛けるBASEなどパートナーを対象とした投資も実施している。ふたつめは、同グループが長年既存事業で培ってきたノウハウや財産を活かして行う実店舗の運営支援だ。D2Cブランドが実店舗を出店する際に販売場所を提供するのみならず、什器の提供や店頭でのコミュニケーション設計、物流・保管手段の確保や接客人員の貸与、700万人超のエポスカード会員に向けた告知など、送客の働きかけも行っている。実店舗支援を手がける金村さんは、「必要に応じて、実店舗作りについての知見を多面的に提供できるのが当社の強み」と胸を張る。

 3つめの施策は、2020年11月より開始しているウェブメディア「5PM Journal」の運営だ。同メディアでは、さまざまなブランドの価値観や世界観などを紹介。個性あふれる哲学やスタイルを伝えるメディアとして機能している。メディア運営を担当する竹内さんは、「ものが溢れる中で、購買動機としてウエイトが上がってきているのが、製品の裏側にある価値観・世界観への共感です。これまで、偶然に委ねられていた消費者と製品、そしてその価値観や世界観との出会いを創出し、製品が持つ物語をしっかりと伝えることでファン化していきたい」と意欲を語る。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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