サプライヤー依存に潜むリスク EC事業者が持つべき視点とは
コロナを乗り越えたEC事業者が、これから意識すべきである共通点についてお話するこの連載。前回の記事では、「プラットフォーム依存からの脱却」について触れましたが、今回は「サプライヤー依存からの脱却」について解説します。
そもそも「サプライヤーに依存している」とはどういった状態でしょうか。これまでは「サプライヤーに依存している」といった意識を持つEC事業者自体がそこまで多くなかったので、馴染みがないかもしれません。あまり浸透していない言葉ですが、簡単に言うと「供給元が倒産したら共倒れするような状態」です。商品の供給をメーカーや問屋に依存していると、共倒れや競合の増加など、さまざまなリスクが発生してきます。
この状態から脱却する方法は、ひとつしかありません。自社ブランド比率を上げていくことです。
とは言え、いきなり「自社ブランドの商品を作ろう!」といっても難しいですよね。まずはそれを理解するために、そもそもサプライヤー依存に潜むリスクがどういったものなのか、噛み砕いておく必要があります。
「自社ブランド」を確立する意味
まず第一に、サプライヤーに依存していると他社ブランド製品を取り扱っている以上、メーカーや問屋からの供給が突然途絶える可能性があります。ここでいう「供給が突然途絶える」というのは、「問答無用で供給停止」という意味です。
たとえばメーカーが倒産すると、もちろん商品の仕入れができなくなりますよね。問屋が倒産しても、別の仕入れルートが確保できない限りは同様です。とくに他社ブランド製品を、そのブランド力に頼って売っていれば売っているほど、その商品の替えはききません。
こうお伝えすると、自社ブランド製品の場合でも、外部工場に製造を委託したらリスクは同じだと考えられがちですが、その認識は間違っています。工場は替えがきくのです。工場が倒産しても、委託先を別の工場に変更することは可能です。他社のブランドが潰れてしまうと、そもそもの「ブランド力」を失ってしまうためどうしようもありませんが、委託先工場が倒産しても自社のブランドはなくなりません。生産力を失うだけなので、別工場に委託することで販売を継続することができます。