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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

[ECzine Press 2020 Summer]ECで困ったらこの1冊!CX編(AD)

巣ごもり消費でチャット利用約3倍、EC売上150%に! 空色に聞く、加速するデジタル接客のCXとは

 AIチャットボットと有人接客のハイブリッドで、ハイクオリティなデジタル接客を実現する「OK SKY/WhatYa」運営会社の空色。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止に向けた外出自粛で、ビジネスモデルの転換を求められた企業から、問い合わせが相次いでいると言う。先進企業とともに実績を積み重ねてきた空色 代表取締役 中嶋洋巳さんに、ニューノーマル時代のデジタル接客について話を聞いた。

コロナ禍でビジネスモデルに変革 デジタル接客の問い合わせ相次ぐ

株式会社空色 代表取締役 中嶋洋巳さん

――緊急事態宣言が発令された4月7日に、AIチャットボット「WhatYa free」の無償提供を発表され、迅速なご対応でした。御社へのお問い合わせや既存ユーザー企業の状況から読み解ける動向について教えてください。

 無償提供を発表した「WhatYa free」はもちろん、有人接客ツール「OK SKY」についても多数のお問い合わせをいただいており、ビフォアコロナ(2020年2月と3月の比較)の2.7倍、ツールの導入は5倍にも伸びています。以前から導入を検討いただいていた企業様が、当初の導入スケジュールを短縮されたことが大きな要因です。また巣ごもり消費の影響で、既存ユーザー企業様のECサイトにおけるチャット利用は平均2.7倍に、あるインテリア企業様では4倍というデータも出ています。既存ユーザー企業様のECサイト売上は、平均して前年同月比の1.5倍となっています。

 ご存じのとおり、日本のEC化率は6.22%(BtoC-EC、経済産業省 2019年5月発表)でひと桁台と、海外と比較しても低く、購買行動のほとんどがリアルで行われています。一方で、当社のサービスをご利用いただいているナノ・ユニバース様のように、一貫してECサイトの役割を重要視し、注力して来られた企業様のEC化率は40%を超えています。企業によってECへの注力度合いにバラつきがあるというのがビフォアコロナの状況でした。

 しかしながら実店舗が休業に入ってしまったことで、実店舗のみに大きく依存した販売チャネルを組むことは大きなリスクであると再認識された方が多かったのではないかと思います。だからこそ、ここからECをチャネルとして強くしていくために、すでに注力されていた企業様はさらに投資を進め、既存流通との兼ね合い等から注力が難しかったメーカー様もD2Cを強く意識され、ECを始めるスケジュールを半年以上前倒しするなど行動に変化が現れています。

 ECの強化、D2Cという流れから、チャットを中心としたデジタル接客についての注目度合いが高まっています。通常、たとえばアパレルであれば、商品の組み合わせかたやトレンドなど、商品そのもの以外の情報については、リアルな人対人で行われる口頭ベースのコミュニケーションで補われ、購入に結びついていました。そこには人間関係があり、実際に商品に触れて確かめるという行為はもちろんのこと、「あなただから買う」という人軸での消費が実店舗では起きていました。

 それがデジタルにおいては、商品情報、クチコミ、メディアから発信される情報など、人が処理できる量を超えた圧倒的な情報に触れながら、購入の意思決定をしなくてはならなくなっています。情報が多いことはデジタルのメリットでもありましたが、あまりに多くなり処理できないというデメリットも大きくなっています。その結果、一般的に実店舗では来店者の購入率が5~7%あるところ、ECでは0.5~1%程度という事態に陥っています。その差が「接客」にあるだろうと考え、デジタル上でも接客をしていきたい、その手段としてチャットをツールとして選ぶという流れが起きています。

――ビフォアコロナでは、チャットなどのデジタル接客はあくまで先進企業のものというイメージでした。コロナ禍で裾野が広がっているのでしょうか。

 意思決定が早い・遅いの違いではなく、ビジネスモデルが大きな要因でした。ECの売上高が全体の2~3%しかない状況下では、EC上でのお客様との接点もなかなか生まれません。ならば、ECよりも実店舗に投資するという判断になるでしょう。それが実店舗の休業により、そのビジネスモデルにも変化が迫られました。

 たとえばアパレルにおいては、緊急事態宣言が解除されれば実店舗も営業を再開しますが、客足が従来どおりまで戻るには少なくとも半年~1年はかかるだろうというのが、当社のクライアントやお問い合わせをいただく企業様のお見立てです。いかにこれまでの売上を維持していくかの視点から、デジタル接客を行い、ECサイトの売上をしっかり上げていきたいとお考えなのでしょう。

 もうひとつは雇用確保です。販売員の方が実店舗のみでしかお仕事ができない状態では、実店舗が休業になれば、店舗閉鎖や雇用調整という選択も採らざるを得ないと思います。そうならないよう、活躍できる範囲を実店舗からデジタルまで広げていきたいというお考えがあるのでしょう。当社ではビフォアコロナから有人でのデジタル接客を在宅で行う「在宅WEB接客」ニーズの高まりを受けて、さまざまなサポートを提供しています。もともとは働きかたの多様化や女性のライフイベントの変化に適した新しい働きかたとして開始しました。売上と雇用の両面から、アフターコロナは意思決定を早め、デジタル接客を取り入れようとする企業様が増えていると捉えています。

顕在化していないニーズに対し有人チャット接客で感情を昂ぶらせる

――チャット接客について、CXの視点も混じえて詳しく説明いただけますか。自動応答するAIチャットボットが注目を浴びたこともあり、有人のデジタル接客ツールと混同している読者もいるのではと思います。

 いわゆるチャットツールについて、当社の調べでは国内だけでも100社程度が提供しています。多数あるチャットツールは開発目的により、ふたつに分類できると考えています。ひとつは、単純にお問い合わせへの対応を自動化し、仕事を効率化しようというもの。9割のツールはこちらに類すると言っていいでしょう。もうひとつは、お客様との接点をリアル・デジタル問わずに持ち、1人ひとりのお客様に継続してお買い上げいただけるよう関係構築していくことを目的にしたもので、当社のサービスは後者に当たります。

 「(なんとなく)ジャケットが欲しい」「(なんとなく)カーテン替えようかなあ」と、ニーズが顕在化していないお客様も多い中、チャット接客の会話の中で感情を昂ぶらせていき、最終的に購入の背中を押すことができるのが、有人チャット接客の良いところです。当社はその考えのもと、AIチャットボットを提供する前段階で、実店舗で3年以上接客を経 験した人材を雇用し、有人のチャットセンターを作りました。カスタマーサポートでなく、セールスの視点で有人チャットセンターを始めているのが特徴です。

 有人チャットセンターを運営する中で、リアルでの接客とチャット接客では、お客様が購入の意思決定を行う流れが大きく異なることがわかってきました。そこでの学びを反映し、購入につながる有人チャット接客ツールをまず作り、その工程の中で自動化できる部分を担当するAIチャットボット作った、というのが当社のサービス提供の流れです。

 当社ではお客様接点の視点から、購入後に発生するカスタマーサポートと、購入前に対応するセールスを切り分けて考えていません。ここを切り分けてしまうことで、新たな 売上獲得の機会を失するのを何度も目にしてきました。カスタマーサポートへのお問い合わせの後は、顕在化していないニーズへの応対の機会が生まれるだろうという考えのもと、AIチャットボットと有人チャットを組み合わせ、最終的に企業としてお客様満足度を高め、LTVの向上につながるようサービスをご提供してきました。業界別におさえるべきポイントに特徴はありますが、お客様との根本的なコミュニケーションのありかたについては、この考えで大きく差異はないと考えています。

AIチャットボットと有人チャットの対応領域

――AIチャットボットと有人チャット接客との分岐など、お客様とのコミュニケーションのシナリオについてはこれまでのご実績からアドバイスいただけるのでしょうか。

 AIチャットボットについて、導入企業様でシナリオを作られなくともすでに当社が構築済みのものをご提供することもあれば、導入企業様独自の目的を実現するための会話を自動化したい場合であっても、シナリオ構築からAIのチューニングまで総合的に請け負っています。有人チャット接客については、コロナ禍により、実店舗の販売員によるチャットセンターの構築を急がれたい企業様も増えています。単純にツールを導入するだけでは実現が難しいため、どのような有人チャットセンターであるべきかを定義したうえで、チャット接客に不慣れな販売員に向けたトレーニングも含めて立ち上げを支援しています。

――SNSやオンライン会議システムを使った販売員のデジタル接客も注目を浴びています。実行の注意点はありますか?

 個々の販売員がデジタル接客で提供する体験(CX)を、企業側が管理していることが重要だと考えます。デジタル接客の場で起きるクレームや商品の瑕疵に関する責任などは、最終的には企業が負うものです。接客の管理ができていない事例が散見していますが、その場合はまだ十分に認知されていないリスクが潜在していると言えます。企業の取り組みの中で、いかに個人の販売員の方が安全に活躍できるかという視点で考えていただくべきだと思います。

 個人のアカウントで接客するのか、企業が発行した個人のアカウントで接客するのかの違いは、情報管理が行えるか否かです。たとえば営業時間外にお客様から問い合わせがあり、個人アカウントで応対した場合、応対内容を管理できないだけではなく、申請されていない時間外労働に対する未払いが蓄積していくという2つのリスクが発生している状態です。

 企業が発行した個人アカウントであれば、応対内容や労働時間の管理はもちろん、チャット接客、実店舗、コールセンターなど明確な役割分担のもと、自分の権限で許された範囲内で自由に接客をすることができるようになります。効率が上がるのはもちろん、CXやOMOを実現するための会社としての思想を接客に反映することができ、会社全体としての成果を上げることにもつながります。また、ログデータも蓄積されるためマーケティングデータとして活用することも、次のステップとして期待できます。今行われている、取り急ぎ個人のアカウントで接客するという事態は、リスクも大きく、企業として知見を貯めていくという意味でもったいないことだととらえています。デジタル接客のログデータを全体のCX向上に活かすことがLTVを伸ばす体験を実現する上で非常に重要です。

――デジタル接客へのニーズの増加を踏まえ、今後のCXについてのお考えをお聞かせください。

 コロナ禍で、実店舗販売員による有人チャットセンターの立ち上げを立て続けにご支援することになりました。ビフォアコロナでは少し先の課題としてとらえていたのが、直 近の課題として取り組まざるを得なくなっているのが大きなトレンドだと感じています。こうした状況から、実店舗で提供する体験とはどのようなものか、そこにデジタルをどう組み合わせていくかについては、今後さらに重要になっていくでしょう。

 実店舗・ECのどちらかだけを利用したいというお客様はそう多くありません。デジタル接客の会話から、今回は実店舗orECで購入しようと、使い分ける流れになっています。チャットをご利用いただいていないお客様であっても、ほかのお客様とのチャット接客のログデータを分析し、サイト全体のUI・UXを改善することで、より満足いただける購買体 験を提供いただくことも可能です。

 デジタル接客における体験を設計し、スタッフをトレーニングし、優良なログデータを蓄積、それを解析することで、チャットのみならずほかのチャネルのUI・UX改善にも活かすことができます。社内ではコミュニケーションジャーニーと言い始めていますが、接客のCXを整えることでお客様になってくださる方を増やすことができます。チャットだけではなく、店舗やコールセンター等のコミュニケーションジャーニー全体を見渡すことができるのが当社の強みです。

 企業では、EC、カスタマーサポート、販売員のチャネルは組織上分断されていることが多いと思います。しかしお客様から見れば、ひとつの企業・ブランドです。いかに部門間の横串を刺しながら、発生したお問い合わせからLTVの高いお客様へとつながるような体験を全体として提供できるかが重要です。良質な体験を各チャネルで提供するには、分断された組織構造が課題であることに気づかれる方が増えています。これからは組織間の垣根を超えた取り組みが進むだろうと感じています。

――今後の展望をお聞かせください。

 導入企業様の商品提案をオンラインで行う「WhatYa LITE Pack(ワチャライトパック)」を空色が豊富な実績をもつアパレル・インテリア業界に特化し、サービス提供開始します。その他の業界対応も順次開始する予定です。これは、AIチャットボット「WhatYa 」が空色に蓄積されたログデータを学習した結果、出来上がったサービスです。構築・運用に課題がある従来のAIチャットボット とは異なり、空色が提供するシナリオを活用いただくことで、簡単にチャットコマースを開始いただけます。さらに有人チャットセンターをセットでご提供することで、チャット接客を行えるスタッフが不足されている企業様にとっても、チャット接客経験が豊富なスタッフが導入企業様の代わりに接客を担わせていただきます。初期費用0円、月額5万円からご利用いただけるリーズナブルな価格も魅力に感じていただけると考えています。

 また、オペレーターの方に向けた、リアルタイムに変化するお客様との会話において、会話を誘引することに困られた時に支援するAIチャットボットもリリース予定です。そして今秋以降には、チャット接客を行う1人ひとりの販売員の方をAI化し、販売員の方をサポートする「販売員AI」もご提供できると思います。販売員AIは販売員本人と協力しながら、販売員が働ける時間は販売員本人が接客し、働けない時間は販売員AIが対応することが可能です。

 コロナ禍により、とにかく早くデジタル接客を始めなくてはというお急ぎの企業様には、有人チャットセンターの構築を迅速に支援いたします。運営に伴走しながら、中長期的な戦略も一緒に考えさせていただいています。 皆様のCX向上に今まで以上に貢献できる企業を目指し、サービス開発を加速していきますので、今後ともご期待ください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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