2018年の決済を振り返る 印象に残っている出来事とは
「2018年リテール界隈で話題になったものといえば?」という問いに対し、「キャッシュレス」と答える人も多いのではないだろうか。経済産業省が、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に高める方針を打ち出したことを受け、その機運は日に日に高まっている。今では、様々な決済サービスも登場している。
本セッションではPAY・高野さんとコイニー・佐俣さんのおふたりをむかえ、2018年の決済関連のトピックの振り返るとともに、今後の決済についての見解を伺った。
―――はじめに自己紹介をお願いします。
高野 PAYの高野と申します。PAY株式会社では、PAY.JPというオンライン決済サービスと、PAY IDというID型の決済サービスを提供しています。PAY.JPは簡単で安くて敷居が低いことが特徴となっているため、スモール系のスタートアップ企業や個人の方に幅広く利用していただいています。
佐俣 コイニーの佐俣です。Coineyは、スマホやタブレットと専用の決済端末を使用したオフライン決済のサービスをメインに、オンライン決済のサービスなども提供しています。2018年2月にはECショップ構築サービスを提供する「ストアーズ・ドット・ジェーピー」と経営統合し、ホールディングスとしては、キャッシュレス決済サービスとオンラインストア運営サービスを開発・提供する「hey」の経営もしています。
―――まずは、「2018年の決済関連の話題で印象に残っている出来事」について伺っていこうと思います。高野さんは、なにが印象的でしたか?
高野 ひとつめは、ECの成長率を上回るほどの不正決済の増加です。下記の経済産業省のデータを見てみると、ECの成長と同時に不正決済も増加しているのがわかります。2018年には「クレジットカードの非保持化」など、経済産業省からのセキュリティに関する施策が各事業者さんに通達されるなど、国としてもセキュリティに関する様々な施策を打っています。こういった不正にどう対応していくかは、EC事業者さんとしても今後さらに重要になっていくと思います。
もうひとつは、本人確認の緩和により、オンラインで決済が完結可能になったことです。キャッシュレスというより金融全般の話になりますが、2018年11月に犯罪収益移転防止法の施行規則を改正が改正され、本人確認の方法が緩和されました。オンライン上で免許証や銀行口座を紐付けて本人確認が完了できるようになったことで、特にリテール界隈から様々なサービスが生まれてくるのではないでしょうか。
佐俣 オフラインの視点でこの1年を振り返ったとき、新規のウォレットプレイヤーがすごく増えたことと、100億円単位の投資などもあり、キャッシュレスの認知度が一気に進んできたというのが、大きなトピックスだったのではないかと感じています。
これまではクレジットカードと電子マネー、ふたつのどちらかを用意しておけばキャッシュレスにほぼ対応できていましたが、キャッシュレスの普及にともない、今後はそこにコード決済も間違いなく入ってくるでしょう。EC事業者さんに関しても、これまでの決済方法に加えて、コード決済への対応が、今後取り組むべき課題のひとつになると思います。