最初から読むと挫折する可能性大
洋書が読みづらい最大の原因は、本題までが遠いことにあります。最初から順番に読んでいって、これは重要なのかな?後から関連してくるはず!と思っていると、ほとんど関係なくてずっと後の文章だけ読めばいいじゃん!となります。
とくに、ジョーとかシェリーとかの事例がよく出てくるんですが、耳慣れないのでジョンなのかジェリーなのかわからなくなりますし、そもそもジョーって運が悪すぎるだけじゃないの?って思うこともあって、読まなくてよかった感が出てくるポイントでもあります。結果としてここで嫌になって挫折するわけです。
解決方法としては章や節の冒頭と終わりだけをサラッと読んでみることです。洋書であっても和書であってもここにまとめが書いてあることが多いですからね。さらっと読んで全体の流れをつかんでから詳細を読んでいきましょう。そうすれば読み飛ばして問題ない部分がわかるので、挫折せずに読み切ることができます。
カスタマーサクセスの場合は116ページ目にある、第Ⅱ部の最初から読んでみてください。引用します。
第Ⅰ部では、カスタマーサクセスの基本を確認した。まず、サブスクリプション・エコノミーやSaaSの歴史、そしてこの新たなモデルの当然の帰結としてカスタマーサクセスという概念が生まれた経緯を扱った。次に、カスタマーサクセスの理念を体系立ててまとめた後で、カスタマーサクセスという名前の(または似た名前の)組織に関する現実的な話に移り、その組織がどのように他のあらゆる組織に影響して企業全体を変えていくかについても触れた。それから、カスタマーサクセスは企業向けのSaaS会社にしか当てはまらないという定説に挑んだ。
第Ⅰ部がスッキリまとまっています。最初にこれを書いてくれれば……と思いますが、そうはいかないのが洋書。まずはこういったまとめ文がどこにあるかを探してみましょう。それを読んで概要を把握して、詳細を埋めていくという作業をすると不要な部分を読み飛ばせます。
それでも詳細を読むが面倒だという人のために、まえがき~第Ⅰ部のサマリーを書いておきます。
消費者行動は所有から利用へ-サブスクリプション化
- 使いたい時に使いたいだけ
- いつ使うか分からないもののために高い金を払わない
- サブスクリプションはどんな業種、業態にも訪れる(雑誌、音楽、ソフトウェア、食事、交通、など)
- 実際の例はAmazonプライム、Spotify、オイシックス、コマツなど
BtoBでもBtoCでもパワーは顧客側にシフト-カスタマーサクセスの必要性
- 成功(満足)につながる企業、製品、サービスを選ぶ
- 根回しや囲い込みが効果を発揮しない
2005年のセールスフォースの事例
- 月当たりのチャーンレート(解約率)が8%
- つまり毎年ほぼ全員の顧客がいなくなる状況
- 新規顧客の獲得、高いリテンション率、アップセルが事業を伸ばすポイント
- 高いリテンション率、アップセルのためには心理ロイヤルティ(ブランドや商品が好き)を生み出すこと
- ティエン・ツォの言葉:「従来のビジネスでは、顧客との終着点は購入でした。サブスクリプションビジネスでは、購入は顧客との関係の始まりなのです」
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カスタマーサクセスの考え方が生まれる
カスタマーサクセスではないもの
- カスタマーエクスペリエンス(CX)、カスタマーサポート、顧客関係管理(CRM)、カスタマーアドボカシー
- 似たような名前で略称も同じで混同しやすい、カスタマーサポートとの違いはP.69の表を参照
カスタマーサクセスとは
- 収益ドライバー(契約更新、アップセル)、能動的、成功重視型、分析中心、予測性
カスタマーサクセスの提供は顧客価値の階層モデルで
- P.95の顧客価値の階層モデルで3つに分けて考える
- ハイタッチ:最も人出が必要だが、かかった費用は顧客が製品に支払う金額で元が取れる(1vs1)
- ロータッチ:ハイタッチとテックタッチの中間
- テックタッチ:すべての顧客との接点がテクノロジー主導で行われる(1vs複数)
所有から利用になると継続率が重要になってきて、そのためには満足してもらわないといけないので、受け身なカスタマーサポートではなくて能動的なカスタマーサクセスが重要になる。ということです。