運営側がルール厳格化 あやしい提案に注意
Amazon、楽天市場ともに共通する傾向として「質の向上」に務めていると高木さんは言う。これまでも各モールの取り組みを紹介してきたが、高木さんによれば「ご協力お願いします」という姿勢から、「対応しなければ販売停止もあり得る」という姿勢になったのが大きな変化だとのこと。
楽天で目立つのは、商品画像のガイドラインだ。目的は商品の探しやすさの追求だが、ソーシャルメディアでシェアされた際に映えるようにしたいという狙いもある。2018年7月に、出店者向け楽天のカンファレンス型イベント「楽天EXPO2018」にて、「画像に対してテキスト要素は20%以内」「背景は白、もしくは写真」「帯なし」という条件が発表された。未対応の画像が発見された場合は、減点となる。10月から実施予定だったが、対策期間が延長され、2019年3月からの実施となっている。
楽天の商品画像は、トップページがグレー基調にリニューアルされても、楽天らしさが表現された独特のものだ。たとえば、「カニ」で検索してみれば、各店舗がより目立とうとさまざまな工夫を凝らしていることがわかる。高木さんによれば、デザインにはトレンドがあり、競合店舗が新しい工夫をしてくるとその要素を取り入れたり、アイディアを真似されたらまた別の切り口で工夫するなど、日々改善が行われている。ガイドラインに対応しながらも、工夫を凝らした商品画像が出てきているとのこと。「商品の探しやすさ」を目的にしたガイドラインだが、これからも店舗の商品画像へのこだわりは続きそうだ。
一方のAmazonは、レビューのルールの厳守について通達があったとのこと。そもそもAmazonのレビューに関しては、金銭的利害関係を持つ商品について出品者がカスタマーレビューを書くこと、カスタマーレビューに対して報酬を提供すること、肯定的なカスタマーレビューだけを書くよう求めたり、報酬を提案したりするような依頼、購入者にレビューを変更または削除するよう依頼することなどが、禁止事項としてある。
「Amazonから、長文のメールで連絡が来ました。禁止事項は、出品者がカスタマーのふりをして書いたり、対価を支払って書いてもらったりといった従来どおりですが、厳守しない場合には、出品権限の永久取り消し、レビューを消す、法的手段に訴えるといったようにAmazon側の対応が厳しくなっています。アメリカの企業なので裁判へのハードルが低いのかもしれませんが、日本企業はなかなかそこまでやらないですよね」
楽天、Amazonともに厳格化しているのは、質の向上を徹底しているという背景もあるが、悪質な外部事業者の存在があるのではないかと、高木さんは推測する。楽天で言えば商品画像、Amazonで言えばレビューへの対策を強化することで、売上アップに貢献する可能性が大きいことは確かで、高木さんはじめ店舗をサポートするプロたちも明言している。しかしそれが明確になるほど、本当に店舗のためになるかを考えずに商売にしようという人たちも出てくるのも、残念ながら事実なのだ。
「モール側から、『外部業者から不正な提案があったら報告してください』という連絡が来ています。想像するに、売上が上がらないスランプに陥っているときに、『商品画像を工夫しましょう』『レビューを増やしましょう』というアドバイスを受けたら、気持ちが揺らぎますよね。それ自体はまっとうなアドバイスだったけれど、実施手法がガイドラインに反していた、ということが起きているのではないでしょうか。各モールのガイドラインをしっかり読み、あやしい業者に依頼しないよう気をつけていただきたいと思います」