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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

EC関連企業の財務状況をきまぐれにチェック

目標1,000億円が夢ではない理由 「SHOPLIST」の経営状況を数字でチェック!


 ゲーム事業から事実上撤退し、ファッションECサイトの運営に注力しているクルーズ(2138)のビジネスモデル、成長戦略に注目してみた。

SHOPLIST運営企業クルーズは、ゲーム会社だった

 ファストファッション通販サイトの「SHOPLIST.com by CROOZ」を運営しているクルーズの最大の特徴は、主力事業を次々と変えてきたことだ。

 会社設立は01年。社歴は20年に満たないが、「モバイルコンテンツ受託開発事業」「アドネットワーク事業」「ソーシャルゲーム事業」などを手がけては、その後、それら事業からの撤退・売却を進めてきた。変化する企業――。あえていえば、メイン事業の入れ替えがクルーズのビジネスモデルである。

 マイネット(3928)にゲーム事業の大半を売却したのは16年10月。「ゲーム事業は高収益を望めるが、不確実性が高いビジネスでもある」というのが理由だったが、ゲーム事業に参入したことで急成長を実現しただけに、大きな決断だった。

 ゲーム事業の数値を確認しておこう。売却前の16年3月期の売上高は130億円、営業利益は21億円(営業利益率16%)だった。もうひとつの主力業務であるネット通販の「SHOPLIST事業」との比較では、売上高こそ15億円ほど下回っていたものの、営業利益は5.6倍規模。グループ全体の営業利益の85%を叩き出していた。18年3月期のゲーム事業は売上高27億円、営業利益5.2億円。撤退を進めてきたことで、16年3月期との比較では売上高が80%減、営業利益は75%減である。

 主力業務を変えながら黒字経営を続けているのも同社の特徴だ。創業以来の利益の蓄積を示す利益剰余金、いわゆる内部留保は100億円を突破。毎年、6億円強の利益を積み上げてきた計算だ。それもほぼ現金での保有である。

 「一定規模(グループ総取扱高1,000億円)を突破するまでは、すべての利益を売上拡大に投資する」と宣言しているように、同社の成長戦略の柱は売上・取扱高の拡大である。

 オンライントラベル事業を次の有力事業候補と位置付け、格安航空券販売・比較サイトの企業を買収したように、今後もM&A(買収・合併)を視野に入れているようだが、保有している現金は大きな武器。ベンチャー企業などへの投資も本格化させるために、ファンドも立ち上げた。

 会社設立から11年、2012年にスタートさせた通販サイトの「SHOPLIST.com by CROOZ」では、幅広いジャンルのアイテムをまとめて購入・受取ができるという利便性もあり、顧客の支持を得てきたといっていいだろう。現在、約700ブランド・75万点超の商品を扱う。

 スピード便(商品購入当日13時までの注文確定)の保管量をおよそ3倍にするなど、さらなる配送日数の短縮に取り組むために、18年冬には新物流センターを本格稼働させる。手数料を支払って通信キャリアや決済代行業者に委託しているように、商品代金の決済・回収については差別化が難しいだけに、取扱ブランドの拡大や配達面などでアピールして販売の拡大を目指すということ。体型採寸ボディースーツ「ZOZOSUIT」の無料配布などで話題を集めているZOZO(3092)のように派手さはないが、着実に歩を進めるのがクルーズ流のようだ。

 通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ」によるSHOPLIST事業の内訳を確認しておこう。

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この記事の著者

ビジネスリサーチ・ジャパン(ビジネスリサーチ・ジャパン)

1995年設立。代表・鎌田正文。週刊誌や月刊誌、経済誌などを中心に、金融・流通・サービス・メーカーなどの各分野から経済全般まで、幅広く取材・執筆。著者に『図解! 業界地図 2023年版』(プレジデント社)、『図解 これから伸びる企業が面白いほどわかる本 2012年版』(新人物往来社)、『図解 人気外食店の利益の出し方』(講談社+α文庫)、『[図解]儲けの秘密がよくわかる本』(PHP研究所)、『[図解]気になるあの会社の給料がわかる本』(PHP研究所)『取締役の値段 6: 社会インフラ関連業界 [Kindle版] 』『数字でわかる! あの企業・店舗が儲けている仕組み』など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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