ECで日本の若年層と韓国ブランドをつなぐ架け橋を目指す「ツーネーション」
貿易会社「ツーネーション」を運営する金・ドクヒョンCEOは、日本の若年層に向け韓国人気ブランドのEC販売を手がけています。
金CEOは7年間日本で過ごした際に、K-POPアイドルやファッションへ関心が高い日本の若年層が多いことに注目しました。それを受け、韓国の芸能人やアイドルが着用したアパレル商品の販売を手がけるツーネーションを2015年設立しました。
事業開始当初にツーネーションは、日本展開を検討していたスニーカーブランド「アキクラシック」と提携を行いました。金CEOは、日本向けの販売権を得る代わりに、アキクラシックの商品をすべて仕入れるという思いきった決断をしています。これは、在庫を確保することでパートナー企業と円滑なビジネス関係を築き、迅速な配送や顧客対応などのメリットを享受できると判断したからだそうです。
実際、アキクラシックは「韓国アイドルが履いたスニーカー」として口コミが広がり、独特で背が高く見えるデザインなどがあいまって、日本の若年層を中心に注目を集めました。注文が多い時期の売上は、1ヵ月で数千万円を越えました。
セレクトショップから海外でも通じるブランドを発掘
これを皮切りに、金CEOはグローバルECプラットフォーム「cafe24」でセレクトショップのECサイト「コラボネーション」の構築、運営をスタートしました。コラボネーションは「COLLABORATION」と「NATION」を組み合わせた造語で、日韓のコンテンツやファッションをコラボレーションすることを目指しています。
日本の若年層のニーズに応えるため、さまざまなブランドを扱うセレクトECショップとして、多くのブランドの魅力を伝えることに力を入れています。現在コラボネーションは韓国のファッション紹介が中心ですが、今後は日本ならではのコンテンツやブランドを韓国市場に提供することも計画しています。
ここからは、コラボネーションの金CEOとの一問一答をお届けします。
――韓国と日本の2ヵ国で展開することを決めたきっかけや理由を教えてください。
K-POPの人気に伴い、コンサートやネット上でアイドルが着用した韓国ファッションや商品に対する若年層の関心がますます高まっています。同時に韓国でも、日本ファッションや商品への関心が非常に高い状況です。そこでファッションを通して日韓交流を活発にする架け橋になれればと思い、事業をスタートすることにしました。
――運営側の韓国人スタッフと日本人スタッフの割合など、運営はどのような体制で行っていますか?
現在、韓国人4名と日本人6名、合計10人体制で運営しています。韓国人社員は、全員日本留学の経験があるため日本語での対応が可能で、日本人社員も韓国語で業務にあたることができます。国籍は異なっても、お互いを気遣う雰囲気で仕事をする文化を構築できたので、業務効率も高いです。特に、日本人社員を通じて、日本の話題やトレンドなどを迅速にキャッチできることは、大きな武器だと思います。
目指すはお客様と共感し合えるコミュニティサイト
――韓国と日本でユーザー層や人気商品に違いはありますか?
弊社が扱う商品の場合、韓国で人気があれば日本でもよく売れるケースが多いです。たとえば韓国のアイドルが着用して韓国で人気を集めると、韓国やファッションに関心のある日本人がネットやSNSなどで情報を共有します。これにより、自然と口コミが広がり日本でもヒットする流れです。
――力を入れている販促施策はありますか?
日韓の顧客を満足させるため、良質なアパレルアイテムやコンテンツの提供に力を入れています。人気商品の紹介など、韓国ファッションに関するコンテンツや情報をSNSで発信したり、ユーザーがよりわかりやすく閲覧できるようなサイトづくりにも注力しています。
――サイトのコンテンツや商品画像の見せ方など、サイト上で工夫している点について教えてください。
単なるECショップではなく、ファッション情報、スタッフの着用レビュー、コーディネートの提案など、さまざまな情報を発信しています。お客様と共感し合えるコミュニティサイトを目指すことで、アクセス数の増加とリピーターの確保にもつながればと思っています。
――複数のブランドの商品を扱う上で苦労している点、心がけていることはありますか?
さまざまなブランドを扱うため、より在庫管理には気を配らなければいけないと感じています。そのため、新商品をサイトで公開する際には、ブランドデザイナーとの打ち合わせを行うようにしています。これは日本でヒットするのか、若年層に響くのか、などを話し合いながら、商品の選定を行っています。