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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

[トップの本気を実現する経営幹部向け]小売業のためのEC入門

第4回:「実店舗と同じものを売るか否か」など正解がない、ECビジネスを構想する際のヒント

 新規事業をいくつも立ち上げ、ジュピターショップチャンネル、三越伊勢丹グループ等大手企業にてECの責任者を務めた中島郁さんに、トップの本気を実現する経営幹部に向けて、「小売業のためのEC入門」ノウハウを解説していただきます。第4回は、ECビジネスの構想についてです。

正解がない、ECビジネスを構想・検討するなら

 構想やコンセプト、方向性は、この後のすべてのプロセスに関連するもっとも大切なことです。しかし、ECは新規ビジネスゆえに事例もほとんどなく、何が正しい構想かもありません。また、どう構想を作るのかにも正解はありません、思い付きであまり準備がなくても成功する場合も、時間をかけてもほどほどの成功しか得られないこともあります。

 しかし、構想・検討は、企業として始めるうえで、やる意味のあるビジネスを生み出し、成功する可能性を高める、または、より失敗しない可能性を高めるために必要です。より確実でスケジュール通りに、コストをかけずに実現するためにも大事でもあります。

 既存事業を持つ企業の構想とは、大雑把に、これから「ECでかかわっていく市場の構造を解き明かし」、それにあった「顧客に対するECビジネスのバリューをどう生み出すか」を基本に、それに「既存事業での特徴、強みをどう活かせるか、活かすか」といってもいいかもしれません。

 EC市場の成長やいくつかの会社の事例から、「ECは単独で大きく伸びる事業である」という勘違いがありますが、既存の実店舗や商品のブランドなどと独立して、求める規模でうまくいっているケースはほとんどありません。オムニチャネル化の際は、既存事業の関与は必須となってきます。せっかくの既存リソースは使うべきです。

 今回の記事は、これを読めばECビジネスの構想が作れるというものではなく、あくまで構想・検討する際のヒントを提案するというものです。具体的には、すでにEC・オムニチャネルに取り組んでいる企業の考えかたの一部や、社内で進める整理のお手伝いの内容として、いくつかのポイントを説明していきます。

 筆者からの、ECビジネスの構想・検討の際の最低限のアドバイスは以下のとおりです。

ECビジネスの構想・検討の際の最低限のアドバイス

  • 通常のビジネス構想の段取り、ステップは行う。
  • 本当のヒント、アイディアの源泉は、外部ではなく、内部にある。そして、自分の頭で考える。
  • 自社の制限事項は一度忘れてみる。
  • 中途半端な段階で、整理整頓型のコンサル手法を使うと、ありきたりのもの、やせ細ったもの、やらないほうがよいレベルになることもある。
  • 期限を決め、それまではとにかく1秒でも長く考え、継続的にディスカッションする。
  • 完成度や確実度にこだわりすぎず、とにかくたくさん考え、一旦まとめる。そして期限まで、さらに考え、検討し、まとめるを繰り返す。

 新規ビジネスを長年立ち上げてきた身からすると、あまり考えずに(考えたつもりで)構想を作ったり、考えること・計画作成を外注するのは信じられません。

 考え・検討の手法はさまざまで、多くは整理整頓型で既存案件に適したものです。新規の場合もそれらを利用しますが、考えを広げるという観点を忘れずに、最終的には1秒でも長く、自分の頭で考えます。幸福の女神は準備できている者にしか微笑まないという表現がありますが、本当のアイディアは常に考えている人にしか降ってきません。

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この記事の著者

ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁(ナカシマ カオル)

新規事業立上げ、急成長事業マネジメントのプロフェッショナル。ベンチャー、外資、老舗、それぞれで事業立上げ、急成長事業の責任者を歴任。関与分野は、小売、EC、インターネット、メディア、アウトソーシングを含むサービス業等。トイザらスではマーケティング部門立上げ、EC専業法人設立。ジュピターショップチャン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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