「ECはサイズ選びが困る」をデータで解決!
――サービス立ち上げの経緯を教えてください。
「僕、背が185cmあって、細身で、腕が長いんです。自分に合うスーツには巡り会えないんだって、諦めていたんですよね。ところがある日、同じような体型の友人がとてもかっこよくスーツを着こなしていました。どこで買ったのか聞いたら、『オーダーメイドしたんだ』と。そこで自分でも試してみたら、すごく気に入ったんです。僕と同じような悩みを持っている人はたくさんいるはずだ、オンラインでスーツをオーダーメイドできるサービスがあったら人気が出るだろうと思ったのがきっかけです。
競合調査をしてみたところ、海外にはいくつかあるんですが、国内ではそれほど見つからなかったので、1番をとれるだろうなと。今はメンズの紳士服だけですが、カジュアルやレディースにも展開していけたらおもしろいでしょうね」
――アパレルECの難しいところは、サイズかなと思いますが。
「それを解決するのに、『フィットアルゴリズム』があります。ECでのサイズ選びの難しさは課題だと考えていて、提携している縫製工場さんに相談したところ、これまでスーツをオーダーメイドした約12万件の体型データをお持ちでした。それを僕たちが分析して、身長・体重・年齢、そして体型に対する7つの質問に答えていただくことで、適したサイズを提案するという仕組みをつくったんです。もちろん、万人に当てはまるものではありませんが、基本的な体型はカバーしていますし、それぞれの部位はオプションで調整できます。僕のように腕が長ければ、そこを調整するといった使いかたができます。
ただ、老舗なだけあって、かなり古い日本人体型のデータも含まれます。それをそのまま若者に提案すると、アームホールが大きかったり、ダボッとしてしまう部分もあります。フィットアルゴリズムはそのあたりも調整していますが、さらに精度を上げていくのがサービスの重要なミッションですね」老舗工場と信頼関係を築き、「一緒にいいモノを作る」
――森さんのところはWebサービス、提携先として実際にスーツを作る縫製工場さんがある、ということですね?
「サービスのアイディアを思いついた時に、国内の縫製工場さんのリストを作って、1ヵ所ずつテレアポしました。はじめは、インターネットはあんまり歓迎してらっしゃらないかな?と思ったんですけど、今では可能性を感じてくださってますね。毎日、電話でコミュニケーションをとってます。
発注は郵送で受け付けているようなところで、最近ようやくメールをしてくださるようになりましたけど(笑)、縫製技術は国内トップレベルです。僕たちは完全にインターネット世代で、紙に落としこんで発注したり、商品管理することに慣れていない。そういう両社が協力しあうことで、お互い強みを活かせるだろうと考えています」