20万アカウント突破!実は決済だけじゃない「SPIKE」
月額売上100万円まで手数料0%で世を賑わせた決済サービス「SPIKE」が、20万アカウントを突破した。2014年3月にβ版の提供を開始、2015年7月の10万アカウント突破はECzineでも取り上げた。
それから20万アカウントに至るまで、約半年。早い、のはもちろんだが、立て続けに機能が追加されたのにも驚いた。無料カート、Web接客ツール、広告配信サービスなど、それぞれが独立サービスとして提供されてもおかしくない、トレンドのEC支援ツールである。
2015年8月には、マザーズに上場も果たした、SPIKE運営会社のメタップスが目指すこれからのECとは。同社代表の佐藤さん、SPIKE事業統括責任者の荻原さんにお話をうかがった。
決済手数料0%のSPIKEは、FinTechまで見据えたサービス
――20万アカウントというと、大台に乗った感があります。10万アカウント以降、何か変化はありましたか?
荻原 まず、プリペイド型の電子マネー「SPIKE コイン」をはじめ、後払い、コンビニ決済、Pay-easyといった決済方法を追加しています。無料で使えるECカート機能、自動販促ツール 「SPIKEオートメーション」、広告配信とサイト内販促を同時に行う 「SPIKEエンゲージメントアド」といったEC事業者様向けのサービスもリリースしました。
10万アカウントまでは、物販の企業様、いわゆるEC事業者さんが多かったのですが、最近はモノのやりとりをしないサービス提供企業様が増えてきました。リフォームやセミナー料金の支払いとかですね。物販とサービスの比率が、7:3だったのが5:5になり、サービスが追い越す勢いです。
BtoBや、越境EC、一次産業をされている方もいますし、老舗企業から個人事業者まで幅広いです。以前は80%が東京だったのですが、徐々に広まりつつあります。
佐藤 これからもアカウントは、無限に増え続けていくでしょう。当社としては、取引額に上限のないビジネスプレミアムプランの決済手法が、クレジットカードのみということもあって、大規模な企業様に入り込めていないのが課題です。今後は、決済手法を増やすなどして、KPIもそちらのほうに舵を切っていくことになると思います。
――最近の決済のトピックスで言うと、Apple Pay、LINE Payなどのモバイル決済、後払い決済でしょうか。決済サービス提供会社として、どう見ていますか?
佐藤 分散している印象です。決済手法も、ポイントも異常に増えてきていますよね。そんななかでSPIKEとしては、「お金の価値の交換」という軸は、ブラさないでいきたいと思います。あとは、もともと金融をやりたいので、そこですかね。
――流行りのFinTechですね。その心は。
佐藤 もともと、消費から投資までの経済の仕組みを、自分たちで完結したいと考えていました。今後は、それを1社1社の企業がやっていかないと、苦しくなる。Amazonのように、お金の流れを握っている企業が、すごく強くなってきていますよね。
Googleもそこを取りたがっているし、Appleもそれがやりたくて、Apple Payを作ったわけです。楽天も小さなモデルからですが、もう始めている。情報とお金をどこまでコントロールするかが、インターネット企業が生きるか死ぬかの境目だと思います。でも、きちんと理論化してパッケージ化できている企業はまだないので、そこをやりたいと考えているんです。
――SPIKEはそこまで踏まえたうえで、EC事業者を支援する決済サービスというわけですね。
佐藤 今は、決済手数料が安いのが特徴ですが、今後はいっそう、付加価値のサービスに力を入れていきたいと考えています。EC事業者様がお困りのことを、すべて解決したい。多くのEC事業者様の共通の悩みに、「販促」「広告」「分析」がありますが、「SPIKEオートメーション」や「SPIKEエンゲージメントアド」はそれを解決するためのサービスです。
荻原 先ほど佐藤が申し上げた、経済の仕組みを自社で完結するという話で言うと、まずは決済サービスを入れていただいて、販促や広告運用を支援させていただくことで、売上を上げていただく。その売上をSPIKEコインに替え、「SPIKEマーケット」で仕入れをするという、当社は「SPIKE エコシステム」と呼んでいるのですが、その中で、コストをおさえて売上を伸ばす企業様の事例も出てきています。
佐藤 今後考えられるサービスとしては、EC事業者様への融資や資産運用でしょうか。与信データが溜まってきているので、次に融資ができるかなと。B向けの融資ができれば、いずれC向けのローンといったことも、展開できるでしょうし。