データフィードを活用した広告、EC事業者はPLAへの対応を
データフィードを活用した広告配信は、大きく分けて2つ。「ディスプレイ広告」と「サーチ広告」である。
まず、ディスプレイ広告では、リターゲティングやオーディエンスターゲティング、アフィリエイトに活用されている。
「ダイナミックリターゲティングは、ユーザーがウェブサイトである商品を見ると、その閲覧情報をレコメンドエンジンに送り、レコメンドエンジンが溜まった情報をデータフィードに送り、ユーザーが見た商品以外もレコメンドして配信されるという仕組みです。各レコメンド事業者ごと配信する仕組みは異なりますが、『この商品を見た人は、こちらの商品も見ています』といったような、オススメ商品も配信されるのが特徴です」
次にサーチ広告だが、検索ワードに対して関連する商品を直接、検索結果で見せるというもの。代表的な広告に、Googleの商品リスト広告(PLA)がある。商品を検索すると、フィードを管理している「マーチャントセンター」から画像付きの広告がユーザーに対して配信されるというものだ。
ここで、ゲストスピーカーとしてグーグルの寺崎テレサさんが登壇。PLAについて詳しく解説した。
寺崎さんによれば、小売関連のGoogle検索数は、年間平均成長率30%で伸びており、PLAのクリック数は2年で2倍に。とくに、モバイルでのクリックが拡大していると言う。
「消費者が何かを知りたい、購入したい、と思った時に、瞬間的にスマホやパソコンを利用する習慣のことを『マイクロモーメント』と言います。この瞬間をいかにとらえるかが、ビジネスの鍵となっているわけです」
マイクロモーメントは大きく3つに分類でき、「知りたい」「行きたい」「買いたい」となる。とくに最後の「買いたい」に応えるのがPLAで、最近では商品レビューを追加することで、事前にユーザーの期待値をある程度コントロールすることで、さらに購買率がアップしているとのことだ。
「PLAを出稿するには、Googleのマーチャントセンターにフィードをアップロードしていただく必要があるのですが、その情報と検索クエリの関連性によって、PLAが表示されるか否かが決まります。この最適化に非常に手間がかかります。EC事業者様には、本業の『商売』に集中していただくためにも、ぜひマイクロアド様のような専門家に協力していただくことをオススメします」
寺崎さんの講演を受け、井上さんは「データフィードを活用したサーチ広告はこれから伸びていく領域。EC事業者様は、なるべく早くデータフィードを整え、フィード広告を配信していくことで、広告効果が得られるはず」と述べた。
フィード広告の未来「ユーザー情報×商品情報」
これまで、フィード広告で現時点において実現可能なことを見てきたが、井上さんは「今後重要になってくるのは、ユーザー情報と商品情報の掛け合わせだ」と言う。というのも、井上さんが広告主から寄せられる悩みに「新規ユーザーの獲得が難しい」があるが、その課題は、リターゲティング広告など、一度来訪・購入したことがあるユーザーを対象にした広告商品では解決が難しいからだ。
ユーザー情報と商品情報を掛けあわせることで、まだサイトに来訪していないユーザーにアプローチする。それを可能にするのが、「ダイナミックオーディエンスターゲティング」だ。
「マイクロアドでは、ユーザーがどんなサイトにどんなワードで訪れているかといったことから、興味、エリア、年代などを日々分析しています。それをもとに、ユーザーの趣味嗜好にあわせた商品リストを自動生成し、広告を配信することができます。これにより、他サイトの来訪履歴等を元に、未来訪だけれども興味を持ちそうな新規ユーザーを、サイトに呼ぶことができるわけです」
ダイナミックオーディエンスリターゲティングは、2015年7月にリリース。広告主の「新規ユーザーの獲得が難しい」に応えるサービスだけあって、同社のDSP『MicroAd BLADE』の配信のうち、2割を占めるに至っている。