ID決済で新しいショッピング体験を ヤマダウェブコムの事例
ペイパルが目下取り組んでいる「新しいショッピング体験」のひとつが、「ID決済」の活用である。ペイパル等のIDでログインすると、配送先等の個人情報が別サイトでも利用できるというもの。ソーシャルメディアや、大手ショッピングモールのID決済がよく知られるところだ。
ペイペルのID決済を導入した事例として、ヤマダ電機のECサイト「ヤマダウェブコム」がある。商品検索から、IDログイン、決済までが3ステップで進み、ユーザーが希望すれば会員登録も同一ページ内で行える。
「各商品詳細ページのカートボタンの下に、ペイパルボタンがあります。そこからログインしていただくと、ペイパルに登録している情報が自動で入力され、かなり手間が省けます。ヤマダウェブコム様の場合は、注文確定と同一ページに会員登録ボタンも設置しています。会員になりたい場合は、パスワードを設定するだけです。
会員登録をせずに購入できるというのも、素晴らしいと思います。たとえば、パッとケーブル1本買いたいというお客様にも、それが可能なユーザー体験を提供されているわけです。最近は、個人情報を登録することにためらいを覚える消費者の方も少なくありませんから、EC事業者様は、いかにお客様に選択肢を与えるかを考える必要があります。
ヤマダウェブコム様の場合は、『会員登録して購入する』『会員登録しないで購入する』『ペイパルのような決済手段を使って購入する』と、3つの選択肢を与えていらっしゃるのが素晴らしいお取り組みではないでしょうか。導入したばかりで成果はこれからですが、コンバージョンも含めて、非常にいい結果が出るのではと期待しています」
スマホ普及で目立つ「カゴ落ち」 購入体験に選択肢を
新しいショッピング体験が求められるもうひとつの理由は、ECにおけるスマホ利用の拡大だ。日本では2015年に、ネットショッピングのモバイル利用率が過半数を占めている。その結果として持ち上がってきた課題のひとつが、カゴ落ちである。
「カゴ落ちの理由はさまざまありますが、注目すべきは『アカウントを登録する必要があった』『購入手続きが面倒だった』です。日本は、売上ランキングの上位100サイトのうち約7割が会員登録をしないと購入できない、一方でアメリカは、トップ100のうち75%が会員登録不要で購入ができるという調査もあります。
会員登録のすべてがダメだと言っているわけではないのですが、一度だけ買いたいというお客様の意思も尊重すべきではないでしょうか。ヤマダウェブコム様のように、会員登録してもしなくても買えるといったように、お客様に選択肢を与え、バランスを見ていく。こういった姿勢が、利益に直結していくのではないかと考えます」
なるほど、ペイパルをうまく活用すれば、変化を続けるユーザーの期待にも応えられそうだ。だが、ペイパルはそうした「利便性」にとどまらず、さらに新しいショッピングの未来を見ている。