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【オンライン】ECzine Day 2026 February (2026.02.13)

ECビジネス・スタンダードの再定義

KPIを「部分最適指標」にしていないか?「階段図」でEC売上の構造を可視化する。

 「KPIは改善してるのに事業が成長しない……」なんてことありませんか? 本記事では、時間軸で顧客の積み上げを可視化する「階段図」を軸に、売上や顧客増加に効くKPI設計を解説。短期的なフロー指標(CPAなど)に惑わされず、売上の構造を正しく把握し共通言語化することで、ECの中長期的な成長を実現するための本質的な考え方を提示します。

KPIは達成しているのに生まれる違和感の正体

 ECグロース支援を行うPALA株式会社の兒嶋仁視です。ECビジネスのスタンダードを整理し直して、WHY・WHAT・WHOの議論をしていく連載の第2回です。(初回の記事はこちら)

 今回は、EC事業の健康状態を一発で可視化できる「階段図」というフレームワークを起点に、なぜ組織のKPIが部分最適になってしまうのか、その構造的欠陥を解き明かしていきます。

 ECzine読者の皆さんは、以下のような奇妙な停滞感を感じたことがあるのではないでしょうか。

・CPAは目標内、CVRも改善傾向なのに「事業が伸びている感覚」がない。

・打ち手は増え続けているのに、翌年のベースアップに繋がっている手応えが薄い。

 私は、この違和感の正体が『売上を「点」で見ていて、「時間軸の構造」で見られていないこと』だと考えています。そして、そうなってしまう主な原因はKPI設計にあります。

「売上=顧客数×客単価」が全ての基本

 ECビジネスにおける「基礎」となるKPIとは具体的に何なのか。それを理解するために、まずはビジネスの構造を最もシンプルな形に分解してみます。

売上=顧客数×客単価

 売上はこのシンプルな数式で表すことができます。

 「なんだ、そんなことか」と思った人も多いでしょう。でもこれが一番大事な構造です。ここで読むのをやめずにもう少し付き合ってください。

 顧客数とは「購入者数」そのもの。客単価とは「LTV(顧客生涯価値)」、つまり単価×回数です。

 D2Cはもちろん、どんなに複雑なECでも、どんなに高度なテクノロジーを活用しているサイトでも、原則はこの構造です。 だからこそ、この「あたりまえの式」を正しく理解し、自社のKPIや施策をすべてここに接続させることが重要です。

 この構造をブレイクダウンするともっと現場感のある話になっていきます。

 購入者数は、「新規獲得」と「既存顧客の再購入」に分かれます。特に初期フェーズで最も影響が大きいのが新規獲得です。新規獲得数を分解すると、下記の式になります。

新規獲得数=ECサイトの新規流入数×CVR(購入率)

 たとえば、100,000円の広告費で10,000人に広告を表示し、そのうち1%がクリック(CTR=1%)、そのうち2%が購入(CVR=2%)した場合、獲得人数は「10,000×1%×2%=2人」CPAは「100,000円÷2=50,000円」です。

 ここで、バナーのクリエイティブを改善し、CTRを2%に上げることに成功しました。そうすると、獲得人数は「10,000×2%×2%=4人」CPAは「100,000円÷4=25,000円」と、CPAが半分まで下がります。

 普段広告で新規獲得を担当している人は、身に覚えのある話になったのではないでしょうか?

 ここで話したいのは、この具体的な数字の話ではなく、ビジネスの関係者全員が自分の普段している仕事が「顧客数×客単価=売上」のどこを担っているか、という視点を持つことがとても大切だということです。

 普段の自分たちの行動が、ここに正しくつながるものなのか。そういったことを考える習慣をつけるだけで、事業で困りごとが出てきたときや、部門や担当者でKPIが異なっても、センターピンからぶれることなく事業推進ができます。

 「売上の構造」を理解して分解して考えられること。 これが、自社ECの全体戦略を考える最初の一歩です。

次のページ
「階段図」で売上の「構造」を把握する

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この記事の著者

兒嶋 仁視(コジマ ヒトミ)

PALA株式会社 代表取締役 大手日用品メーカーにて、健康食品・化粧品のEC事業を統括。その後、クラフトチョコレートブランドにてEC責任者を務め、2025年7月にPALA株式会社を設立。 現在は、D2Cブランド、大手日用品、アパレルブランドなど、複数の企業のECやブランド立ち上げを支援中。事業戦略か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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