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【オンライン】ECzine Day 2026 February (2026.02.13)

石川森生氏と探る、これからのECとビジネススキルの磨き方

成功事例の功労者は一人じゃない 石川森生氏×RESORT河野氏が“縁の下の力持ち”の価値可視化を議論

「案件が事故らない」も立派な名誉 語られにくい“真摯な仕事”の価値

石川 EC業界でも、特にクリエイティブ領域の人は表に出づらいというか、日の目を見る瞬間が少ないのかなと漠然と感じています。その理由について自己分析したことはありますか?

河野 「表に出る機会がないから出ていない」が正直なところではないでしょうか。広告の世界には名だたる広告賞があって、作品の裏にいる人の名前や顔が見える化される機会がありますが、ウェブやECにはこうした大きな賞レースはほぼないですよね。デザイン賞の枠組みに入るかもしれませんが、こうした賞は「デザインで何をどうして、いくらの売上アップに貢献した」といった文脈で審査されるものではありません。

 あとは案件の性質上、成功までの道筋が「Aの施策によるもの」と単純に導き出せないのも、原因としてあるのではないでしょうか。売れる商品を作るにしても、マーケットリサーチをして少し意外性があるデザインに仕立てたり、販売フェーズで利益が出るように梱包のサイズに気を配ったり、バランスを見ながら一つひとつの施策を詰めていくのが僕らの仕事です。こうした試行錯誤って一言で表せるほど単純明快なものでもないので、光り輝く功績のように取り上げるのは難しいんだろうなと思います。

石川 失敗も迷いも経た上で得た成果だから、「戦略立ててやりました」「これが成果です!」とかっこつけるのが恥ずかしい、みたいな考えもありそうです。

株式会社RESORT 代表取締役CEO 石川森生氏
株式会社RESORT 代表取締役CEO 石川森生氏

河野 小さな課題解決を積み重ねるのが常な人ほど、「映えるストーリーがない」「かっこつけて語るほどのものでもない」と思っている気はします。僕もそうですから。

 だからって、見せ方(魅せ方)がうまい人を批判したいわけではないです。そういう人たちが全員出たがりなわけではなく、業界を盛り上げるためとか意識を変えたいとか、いろいろな理由があるはずですから。

石川 僕も、どちらかというと出たいタイプではないですしね(笑)。

河野 それでも出るのは、ある種の戦略じゃないですか。実際、僕らの世界でもそういう人はいると思います。ただ、自分はそっち側の人間ではないだけで。

 それでも、業界内で真摯に仕事をしていれば、口コミで仕事をいただけるようにはなります。ただ、その“真摯さ”の中には「それって企業やブランドの美学に反していませんか?」と前提条件を疑ったり、苦言を呈したりする瞬間もあったりして、アウトプット上は「マイナスがない状態」なことも多いです。

 今の時代、「事故にならない」は十分な名誉だと思うのですが、表で大きな顔をして話すことでもないですよね。いえないことも多いですし。こういった“功労者”が脚光を浴びないかぎりは、見せかけの成果によるミスマッチもなくならないと思います。もっと真面目な人がきちんと評価されたら良いのに、と思うことも正直多いです。

石川 「少ない予算の中で高パフォーマンスを記録しました」「きちんと利便性を踏まえたデザインにしました」も、文字にすると当たり前のことと思われがちですが、業界内の案件を広く見ると、それすらクリアできていないケースも多いですよね。言語化してシェアしてくれたほうが発注側にもナレッジが蓄積され、世の中に失敗そのものがなくなるのになと思います。

河野 実務に携わる人ほど、実績のアウトプットは後回しになりがちですよね。実務優先なので当然のことなのですが。ただ、施策の根幹となる部分、成功を手にする上で本当に大切な部分があまり世に出ていないことで、適切な評価を得られていない不遇なプロフェッショナルも数多くいるのだと思います。そういった人々がより活躍できる場をMAISON KAPPAでは作っていきたいと思っているのですが……。

石川 ビジネスの世界が特効薬を求めすぎているな、とも思います。「明日からできることはみんな既にやっているよ」と思うのですが、みんな忙しいからこうしたワードにつられてしまうんですよね。ここも課題だと感じています。

河野 デザインやクリエイティブは“ソリューション”になり得ますが、特効薬にはならないです。コンセプトとクリエイティブの足並みが揃っていなければ確実につまずきますし、僕はこうした案件に出くわしたら「それでは成果は出ませんよ」とお伝えします。

 でも、「こういう成功例を見たから」「みんなで話し合って決めたから」と多数決的なものの見方に固執してしまう組織も少なくないのが正直なところです。“最適解”の導き出し方に大きな勘違いがある際、どうアプローチするかは非常に悩みますね。

 本当は、プロジェクトの初期段階からクリエイティブの人間を座組に入れるべきなんだと思います。そうしたら、後出しのようにはならない。ただ、日本ではまだあまりその文化がないですね。

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「成功ストーリーの成分表」で貢献度を見える化 プロジェクト推進の理想図を語る

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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