海外動向に見る、日本市場への影響と今後の展望
TikTok Shopは、アメリカや東南アジア、ヨーロッパ、中南米など、各国でのGMV(総流通額)の成長が顕著です。特に中国や東南アジアの一部では、ライブコマースが非常に盛んであり、TikTok Shopの市場拡大の中心的な役割を果たしています。一方で、アメリカではショート動画を経由した購買が主流となっているなど、TikTok Shopの利用方法には地域ごとに異なる傾向が見られます。
また、TikTok Shopで売れる商品カテゴリにも、地域ごとの特徴が現れています。例えば、アメリカでは「美容・コスメ関連」「サプリ」「ガジェット系」「ファッション」が人気カテゴリとして挙げられます。価格帯については、グローバルの事例を踏まえると、3,000~10,000円程度の衝動買いしやすい商品が主力となっています。10,000円以上の高価格帯商品については、価格を下げたサンプル提供やCRM施策を組み合わせることで、購入ハードルを下げる工夫が必要です。
それでは、TikTok Shopは日本市場ではどうなっていくのでしょうか?
前提としてTikTokは、TikTok Shopがローンチされる以前から日本市場においてもユーザーの消費行動に大きな影響を与えてきました。2024年のTikTok経由での推定消費額は2,375億円に達しており、2025年の調査データでは、TikTokユーザーの33.9%が、TikTokのコンテンツを見て商品やサービスの購入経験があるとされています(※2)。
また、昨今TikTok上での特徴的なコンテンツとして注目を集めているショートドラマについても、Z世代の43.9%がショートドラマをきっかけに商品購入やサービス利用を行っている(※3)など、TikTokが消費者の購買意思決定に与える影響力は非常に大きいと言えます。
そして、日本市場におけるTikTok Shopの仮説としては、アメリカのようにショート動画を起点とした購買が中心となり、独自のトレンドが形成される可能性が高いと考えられます。これは、日本のTikTokクリエイターの多くが、ライブ配信よりもショート動画の制作を得意としているためです。ライブコマースよりもショート動画を通じた商品紹介が主流となり、ショート動画を中心とした販売戦略が重要になると予想されます。
そして日本においても、TikTok Shopはブランド認知や新規顧客獲得につながる強力なプラットフォームとしての地位を確立していくでしょう。
第2回では、海外での動向と国内の市場特性を踏まえ、日本におけるTikTok Shop活用に関する今後の展望について解説します。