全米小売業協会による小売向けの大規模イベント「Retail's Big Show」。そのアジア太平洋地域版「NRF 2024:Retail's Big Show APAC」が、2024年に初めて開催された。世界52ヵ国から8,600人が参加したと発表されている。
2025年は「Retail Unlimited」をテーマに、6月3日~5日にかけてシンガポールで行われる。日本からは、サントリーホールディングス、ファミリーマートといった企業が登壇する予定とのこと。
開催にあたってComexposium Japanは、2025年4月10日に記者向けの事前カンファレンスを行った。Comexposium APAC担当マネージング・ディレクター Ryf Quail氏がイベントの概要を説明。また、同席したNRF 2025 APACのアドバイザリーボードを務める株式会社IBAカンパニー 代表取締役 射場瞬氏、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社 グループ CIO 兼 CDO 執行役員 小山徹氏が特徴や見どころを語った。

Ryf Quail氏らは、APACでイベントを開催する理由として、同地域における小売市場の成長可能性を挙げている。カンファレンスの冒頭で、同氏は市場の現在地について次のように解説した。
「APAC市場は、2025年に4.3%成長する見込みです。また、同地域の小売市場規模は2023年~2028年までに24%拡大し、世界における小売市場の成長の57%を占めるとされています」(Ryf Quail氏)

射場氏は、同イベントの特徴として「多様性」に言及した。アメリカで行われるNRFなどでは、欧米地域・企業の話題が多いという。一方で、NRF 2025 APACではグローバル企業が同地域でどのように事業展開しているのかなど、他イベントとは異なる視点で事例やトレンドが紹介される。
加えて、同氏は「日本からの参加者には、小売企業だけでなくメーカーも目立つ。NRF 2024 APACでは、日本の小売・メーカーによる交流も盛んだった」と前回を振り返った。

同じAPAC内でも、国ごとに消費の傾向や商習慣は異なる。小山氏は「NRF 2025 APACは同市場をクイックに知れる場」と述べた。
「日本はAPACの中でも進んでいると思いがちですが、バックヤードの効率化など実際には遅れをとっている領域もあります。そういった状況を改善するヒントが、すぐ近くにあるのです。他国の企業とのコラボレーションの可能性もあるでしょう」(小山氏)

なお、NRF 2025 APACでは、11のキーノートが用意されている。昨年と比較するとキーノート(基調講演)の数が減り、分科会(ブレイクアウトセッション)が拡充された。加えて、エキスポでは300以上の展示が行われる。
セッション中は、日本語での同時通訳が提供される予定だ。また、アプリやウェブサイトも日本語に対応。こうした細かな点も前回からアップデートされている。
新たに招待制プログラムも開始
NRF 2025 APACでは、新たな取り組みとして、招待制の「NRF APAC Innovators Showcase」、CEOに限定したプログラム「CEO Club」が展開される。小売業界のリーダー層に向けて、情報の交換や議論を交わす機会を提供するとのこと。
NRF APAC Innovators Showcase
アドバイザリーボードによって厳選された、APACにおける注目のテクノロジー企業30社が展示される。
NRF CEO Club
エンタープライズレベルの小売企業のCEOのみが参加できる、大規模な招待制プログラム。約100名のトップエグゼクティブとビジネスリーダーを対象に、ビジネスマッチングやリテール戦略を議論するための専用プラットフォームなどを提供する。