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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

ECが変えるBtoBビジネスの未来

経験による勘・感覚頼りの業務プロセスはルール化が不可欠 初心者にこそ読んでほしいEC化の大原則

BtoBの顧客は購入目的が明確 それに応える仕組み作りの進め方

 当然ながら、自社・営業・販売代理店のうま味以上に重要なのが、顧客にとってのメリットです。自社ECサイトを利用する必要性が認知されなければ、顧客は訪問してくれません。利便性や効率性、価格など、顧客にとってのメリットの明確化が、自社ECサイトの運営を成功させる上での非常に重要なポイントです。

商品検討・選択

 ECサイトに訪れた顧客は、多様な商品ラインアップの中から購入する商品を検討します。BtoCの場合は直感的に商品を選択できる仕組みが効果的ですが、BtoBでは顧客の購入目的が明確かつ必要なスペックもはっきりしているため、形状やサイズ、材料、性能といった情報から買いたい商品を絞りこむ機能が求められます。

 一般にBtoB-ECはBtoC-ECよりも扱う商品が多く、多種多様です。そのため、スムーズに商品選択を行ってもらうための工夫が必要です。どこまで用意するかは商材や商品数によって異なるものの、基本的には比較機能、オプション選択、図面提供、互換品・代替品推奨、シミュレーションなどがBtoB-ECにおける商品選択を支援する機能となります。

発注

 顧客は商品の選定を終えると、次は購入手続きに入ります。購入画面から決済手段を選び、商品や品数・合計金額の確認をして確定すると注文完了メールが届く。この一連のプロセスが自社ECサイトのカート機能です。

 ただし、BtoBの場合は一つの価格を適用するBtoCとは異なり、顧客ごとに取引条件が異なるケースが多いです。顧客別の価格表示や数量に応じた動的な価格設定、個別契約にもとづく特別条件の反映などが欠かせません。

 決済方法もBtoCで一般的な前払いではなく、後日まとめて請求が行われる掛け売りが通常でしょう。そのため、見積・領収書、承認フローや与信・債権管理など、BtoB独特の複雑なプロセスを組み込んでおく必要があります。

受取・検収

 BtoCでは考えられない量・金額の発注があるのがBtoBです。在庫管理や生産計画、会計、販売管理などの基幹業務、そして従来からあるEDI(Electronic Data Interexchange:電子受発注システム)との連携が、スムーズな取引処理には不可欠といえます。

 つまり、BtoB-ECでは受発注データを確実に基幹システムと連携させることが求められます。リアルタイムでの在庫・納期確認、受注データの自動取り込み、自動出荷指示、請求データへの反映など、様々なデータをシームレスにやりとりさせるのです。

 ただし、一気に様々なシステムとの連携を進めるのはおすすめしません。一つの基幹システムと連携するだけでも、データの整合性確保や業務プロセスの明確化、エラー防止対策、セキュリティなど、考慮すべきポイントが山のようにあります。ましてや、複数の基幹システムとの同時連携は複雑すぎて時間や費用がかかる上、トラブルも起きやすくなります。スモールスタートで始め、徐々にシステム連携を強化していくのが望ましいでしょう。

支払

 掛け払いでの決済の場合、納品・検収終了後に、顧客が決められた支払期日に入金を行います。何も問題がなければ取引完了ですが、未払いが発生した場合は督促を行ない回収に務めます。また、必要に応じて取引条件の見直しも行います。

 取引の完了は、次の販売機会の追求が始まる瞬間でもあります。ここを起点に、CRMやMA(マーケティングの自動化システム)を通じて、メンテナンスやクロスセル、買い替え・アップセルなどの機会をうかがっていきます。

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人による臨機応変な対応力がかえって足枷に? EC化を妨げる日本企業特有の課題

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ECが変えるBtoBビジネスの未来連載記事一覧
この記事の著者

イントリックス株式会社 代表取締役社長 氣賀崇(キガ タカシ)

1971年12月山口生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン入社。ニューヨーク本社の国際株式投資部にて、日本及びアジア株のアナリストを務める。海外のインターネットビジネスへの投資に携わった後の2000年、サイエント株式会社に入社。デジタル戦略の策定やグローバルWebサイ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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