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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

10年続くブランドになる

単なるブームで終わるか、カルチャーとして根付くか 「Minimal」立ち上げ時の失敗から得た学び

 業界未経験の素人から、チョコレートの企画・製造・販売を手がける「Minimal - Bean to Bar Chocolate ‐ (ミニマル)」を立ち上げ、2024年12月で10年が経過します。私が考えるMinimalの運営形態は、製造小売型(SPA型)ブランドビジネスです。今回、ブランドビジネスという点にフォーカスし、“差別化要素”を考えてみたいと思います。それは、選ばれるブランドになるためのポイントともいい換えられるでしょう。

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多くのブランドが見落とす2階建て理論

 「Minimal - Bean to Bar Chocolate - 」を10年経営して学んだのは、ブランドの構成要素は常に2階建てで考えなければならないということです。1階部分は、ブランドを展開する領域の外してはならないベーシックな要素。2階部分が、その領域におけるブランドの差別化要素です。つまり、類似領域の他ブランドとの違いを明確にする部分を指します。

 Minimalのチョコレートでたとえると、1階部分はチョコレートとして求められる美味しさ(甘さやチョコレート感)で、2階は特別な食感やフレーバー、ブランドストーリーやコミュニケーション、世界観などです。

 この2階建て理論にもとづいてブランドを考えられるかどうかのインパクトは、非常に大きいと実感しています。いってみれば、単なるブームで終わるのか、カルチャーとして根付き広がっていくのかの明暗を分けるほど、重大なインパクトをブランドに与えるのです。

 まず重要なのは、この1階と2階の見立てです。

 1階とは土台です。差別化ポイントである2階を考える前に、この土台部分に触れます。家を考えるとわかりやすいのですが、1階がしっかりとしないと2階をどれだけ豪華に作り込んでも、全体がぐらつきます。最悪の場合は崩壊してしまいます。

 特に、マーケティングにおける差別化戦略やポジショニング論で戦略を考えるとき、PRに力を入れているときには、2階部分にばかり目が向きます。1階部分は、ベーシックな要素であるため、「消費者にPRする」という観点では、強調されることが少ないのです。しかし、ベーシックな機能である1階が土台として安定しているからこそ、2階のPR戦略が活きるわけです。

 ファッションにたとえて考えてみます。1階部分の要素は、「おしゃれ」ではないでしょうか。いかに差別化要素として「機能性」や「素材の良さ」をPRしたとしても、そもそも「おしゃれ」でない洋服は売れないのではないでしょうか。反対に、「おしゃれ」であれば機能性が少々なくても、サイズのバリエーションが少なくても、買う人は多いと思います。

 意外なほど多くの世の中のブランドが、この見えづらい1階部分の磨きこみを疎かにしています。結果的に、売れたとしても単なるブームで終わってしまうのです。ブームになれればまだ良いですが、ほとんどのブランドは、生まれては誰にも気づかれないうちになくなってしまうのが現実でしょう。

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この記事の著者

Minimal - Bean to Bar Chocolate - 代表 山下貴嗣(ヤマシタ タカツグ)

カカオ豆の選定からチョコレート製造まで一貫して手掛けるクラフトチョコレートブランド「Minimal -Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)」を設立。東京都渋谷区富ヶ谷への初出店を機に都内に4業態4店舗を出店。赤道直下のカカオ農園に自ら足を運び、100%フェアトレードでの買付と、毎...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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