ママでも学び続けられるのが今の仕事の魅力
「子育てしながらでも、成長を諦めなくていい」
忙しい現代の人々に「心の余白」をつくるきっかけを提供するため、2011年にハンモック専門店として出発した「susabi」。そのブランドマネージャーを務める中川氏は、2児の母でもある。育児のかたわら、日々ブランド運営の舵を取る。
susabiは数年前より、「余白をつくろう」というコンセプトに合致する新商品の開発へ注力してきた。2019年には韓国製のキルティング生地「イブル」を使用したベビーグッズを発売し、商品数を拡大。2023年11月に発売した30代女性向けの裏起毛タイツ「Kinu Veil」は、1ヵ月で200万円を売り上げる人気ぶりだ。今では、年商2億円規模のブランドへと成長している。
中川氏がsusabiの運営に加わったのは2020年。それ以前は、まったく異なる業界で働いていた。新卒で入社したのは老舗ホテルだ。併設されたバーで、バーテンダーとして接客していた。しかし、新型コロナウイルスの蔓延によりバーは一時的に閉店。「こうした状況でも働ける業界に挑戦したい」との想いから、EC業界へ足を踏み入れた。
「バーテンダー時代はPCを操作する機会が少なく、Excelすらほぼ触った経験がありませんでした。情報連携は口頭かメモ書きで、Slackでコミュニケーションを取る今の働き方とは、大きなギャップがありましたね。マーケティングの専門用語も、『なぜアルファベットで略すのだろう』と思いながら、覚えるまで苦労しました」
それでも、転職から1年半ほどでマネージャー職を任された中川氏。今では「ブランド運営が楽しい」と話す。
「eコマースの目的を突き詰めると、『良い商品を良い場所で売る』ということ。『飲食業と通ずるところがある』と気づき、理解が深まりました」
子育て中の中川氏は、17時半には退勤する。緊急の連絡が必要な場合でも、PCやスマートフォンがあれば対応できるため、業務負担は少ないという。一方、出社が必須だった前職では、中川氏の働き方や担当業務が限られていた。当時をこう振り返る。
「バーテンダーは土日に出勤する上、現場に出なければ仕事ができません。そのため、子育て中で出勤時間が限られている分、関われない業務領域もありました。出産の前後で業務内容を比較し、葛藤した時期もあります」
EC運営の場合、自宅でできる業務が比較的多い。日常的な買い物のついでに他社のECサイトを閲覧して研究するなど、情報収集や知識を得るための勉強も柔軟に行える。
「バーテンダーだと2~3時間、集中して練習する必要がありましたが、今は子どもがお昼寝している間にスマートフォンを使って作業できます。子育て中にまとまった時間を確保するのは難しいです。EC業界は、ママでも学び続けられる業界だと実感しています」