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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2023 Winter レポート

Web3が日本の伝統文化を新たなステップに導く 松竹がデジタルファッション販売で得た発見を共有

 老舗エンターテインメント企業の松竹株式会社が「事業のOMO」を進めている。既存事業とWeb3やファッションを融合し、どこにいても楽しめるコンテンツとして、新たな価値を創出。顧客体験のアップデートと世界へのリーチを目指す。2023年12月7日開催の「ECzine Day 2023 Winter」では、同社から京井勇樹氏、宮本英氏、飛田紗里氏の3名が登壇。リアルとデジタルの相乗効果で生まれる価値や、新時代を築く3つの事業について紹介した。

日本文化とWeb3の融合にチャレンジする松竹

 松竹は、実写およびアニメの製作・宣伝・配給などを行う映像事業、歌舞伎や一般演劇の企画・製作・興行などを手掛ける演劇事業、歌舞伎座タワーをはじめとする、関東・関西の不動産事業を主軸に展開している老舗企業だ。

 企業ミッションに「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する。時代のニーズをとらえ、あらゆる世代に豊かで多様なコンテンツをお届けする。」を掲げ、常に時流を鑑みた施策を行うことで、松竹のコンテンツは広がっていった。近年では、日本のアニメと歌舞伎のコラボレーションなどが良い例だ。

 そんな同社が2022年以降、Web3領域に進出している。同年1月にはバーチャルプロダクション対応のスタジオ「代官山メタバーススタジオ」を開設し、4月には「META歌舞伎 NFT」を販売。2023年7月には、デジタルファッションプロジェクトを立ち上げた。

ロケに行かずとも3DCGでリアルな世界を表現 代官山メタバーススタジオ

 映像制作のワークフローは、年々進化している。代官山メタバーススタジオは、技術開発やエンタメ作品の研究開発を進めるために開設された、バーチャルプロダクション専門のスタジオだ。

 バーチャルプロダクションとは、3DCGで制作した仮想空間の映像と実物の被写体を同時に撮影し、合成までリアルタイムで実現する新たなプロダクションワークフローを指す。

「従来、ゲームに活用されていた技術を用いて、3DCG映像をリアルタイムでグリーンバッグやLEDディスプレイに投影。スタジオ内に理想のロケ地を再現できるようになりました。スタッフは、リアルタイムで生成された映像を確認しながら撮影を進めることができます」(飛田氏)

(写真左から)松竹株式会社 イノベーション推進部 新事業共創室 京井勇樹氏、グローバル事業部 グローバル事業開発室 宮本英氏、イノベーション推進部 新事業共創室/松竹ベンチャーズ株式会社 執行役員 飛田紗里氏

 同スタジオは、単に新たな技術を活用する場としてだけではなく、「共創」をキーワードに掲げ、個人・法人問わず多様なクリエイターとコンテンツ開発をする場としても使われている。こうした実験の一環として制作されたのが、音楽アーティスト tofubeats氏のミュージックビデオ『自由』だ。

代官山メタバーススタジオで制作されたtofubeats『自由』のMV

 同作品は、次世代の映像制作スタッフの育成、新たな映像制作ワークフローの開発、知見の獲得を目的としたプロジェクトの一環として制作。ロケには行かず、リアルな美術セットを併用しながら、代官山メタバーススタジオで全編撮影された。宅配ドライバーに扮したtofubeats氏が、運転する車から見える高速道路、雪道、険しい山道、夕暮れの空などの景色を、バーチャルプロダクションで表現している。

「新しい技術を活用しても、ファンの方々はそれを理由にミュージックビデオを見るわけではありません。あくまで世界観を表現するために技術を使い、目を奪われる作品作りにチーム一丸となってチャレンジしました」(飛田氏)

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この記事の著者

田中なお(タナカ ナオ)

 物流ライター。青山女子短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。その後、2022年にフリーライターとして独立。企業オウンドメディアや物流ニュースメディアで発信活動をし、わかりやすく「おもしろい物流」を伝えている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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