コロナ禍以降、ひろがる「モノのサブスク」
近年、サブスクリプションビジネスが急速な成長を遂げ、EC市場でも重要な位置を占めるようになってきた。継続的に商品やサービスを提供することで、収益性の向上や顧客との長期的な関係構築が期待されている「サブスク」は、多くの業界、事業者に導入が進んでいる。
たとえば、映画や音楽のストリーミングサービス、雑誌・新聞のデジタル版、クラウドストレージ、ソフトウェアライセンスなどだ。一つは利用したことのある読者も多いだろう。
eコマースの分野でも、食品や化粧品、日用品などでサブスクを活用するストアが増えている。
そもそも、なぜサブスクはユーザーから注目を集めるのか。理由は、正しく使うと「ユーザーにとてもやさしい仕組み」となっているからだ。
「Netflix」では、月額790円から1,980円で数百・数千の映画やドラマを視聴できる(5月10日時点)。「Spotify Premium」も同様に、月額2,000円以内で多くのコンテンツにアクセスが可能(5月10日時点)。従来のように1,000円以上もの金額を払って一つの映画を見にいく、CDを買うといった体験と比較すると、サブスクからユーザーが得られるサービスは破格と言える。
加えて、今トレンドのサブスクは「ユーザーライク」なサービスとなっている。Netflixの場合、ユーザーの好みに合わせてパーソナライズされた動画の推薦が行われる。ユーザーは、自分の好みに合わせた作品をストレスなく視聴できる。Spotifyもユーザーの好みを分析してプレイリストを作成するなど、新しい音楽を発見しやすくする体験で人気を集めている。
これらのサービスは、その「お得感」と「利便性」でユーザーのニーズに応え、急速な普及に成功した。そんなブームの後押しもあり、2018年以降、日本企業は急速にサブスク参入を始めた。特にD2C領域に進出する企業は多い。
男性用のスキンケア用品で注目を集めた「BULK HOMME」や完全栄養食の「BASE FOOD」、冷凍宅配弁当の「nosh」など、目にしたことがある読者も少なくないはずだ。こうした「モノのサブスク」も、コロナ禍による在宅需要拡大のもとひろがったEC市場で大きな注目を集め、近年一定の成功を収めている。