単体での成果は限定的 SNSは情報インフラのひとつに
2022年12月、TwitterのCEOであるイーロン・マスク氏がその職を辞任すべきか、自らユーザーに対し投票を実施、過半数が辞任に投票する結果となった。結果を受け「後任が見つかり次第辞任」を表明している。2023年1月に入ってからは、有料サービスTwitter Blueの提供が日本でも始まり、従来認証バッジだった青いマークのついたアカウントが目につくようになっている。
「本腰を入れて経営に取り組む後任が見つからないということで、しばらくはマスク氏が現状のまま継続すると思われます。経営に本腰が入らない体制下では、サービスとしての足腰が弱り、媒体としての価値が下がってしまうことにならないか懸念しています」
前回の定点観測では、Twitterに加えMetaについても不安要素があると指摘していた。だがここにきて、明るい兆しが見えてきている。
「Performance Marketing Worldの『Meta cheaper than 2021 pre-Black Friday, as tech giant‘reels’ in spend with 4000% rise on short-form video』によれば、2022年のブラックフライデーについて、Metaの広告からのコンバージョン率が前年比で47%増加、アクションあたりのCPAは44%低下するという好成績が出たとのことです。AIへの投資による広告精度の向上が原因かと。同記事では、同時期のTikTokの効果は芳しくないとのことでした。2023年は、アメリカの広告主のInstagramのリールへの出稿が増加するのではないかとの予測もあります」
2022年はTikTokの盛り上がりを伝えてきたが、自社にあった使い道を見つけられていないEC事業者も少なくないだろう。商材にもよるが、それほど焦る必要はないのではと藤田さんは言う。
「高単価商材のブランディング目的の動画広告の場合、制作コストが成果に見合わないといった指摘も出てきています」
次々と新たなサービスが登場するSNS。その時々で目立つ存在はあるもののそれに固執せず、メディアの特性を理解して商材や用途によって使い分けるべきだと述べてきた。2023年以降はそこからさらに、ほかのメディアとの連携も重要になってくると藤田さんは見ている。
「SNSがテレビ、新聞、ラジオ、雑誌に並ぶ情報インフラになったのだと思います。SNSの中で今はTikTokだ、いやInstagramが盛り返しているといった議論をするのではなく、その都度最適なメディアを選び、さらにほかのアナログメディアと組み合わせることで成果が得られるでしょう」