Commerce Components by Shopify(CCS)登場
エンタープライズ・リテールのためのモダン・コンポーザブル・スタック
企業小売業者は、Shopifyが米国のeコマース市場の10%を支えているのと同じコンポーネントを使用して、世界で最もコンバージョン率の高いチェックアウトや最速のストアフロントを構築できるようになりました。
-Shopify CCS ページのコピーより、筆者訳
さて、まずCCSのざっくりとした解説から。CCSは、Shopifyのエンタープライズプランである「Shopify Plus」のさらに上位のプランのような扱いであると言えます。
ただ、まったくもって別の仕組みというわけではなく、2022年のShopify Editions、Shopify Uniteにて発表されたShopifyのアップデートはここに帰結しているとも言えます。今まで発表されたすべての機能がコンポーネント化されて自由に組み合わせて使用できること、そしてコンポーネントされているがゆえに、既存のシステムと有機的に結合できることが大きな特徴と言えます。
エンタープライズのシステムは、どうしても既存の仕組みに合わせてShopifyとアプリを組み合わせてカスタマイズせざるをえないシーンが多々ありましたが、よりShopify の良いところだけを組み込んでいくことができそうなイメージです。
中身としてはすべての機能がモジュラー化(コンポーネント化)されている感じなので、今までのノウハウはもちろん活かせそうではあります。
*コマースコンポーネント by Shopifyは、エンタープライズリテールのためのモダンでコンポーザブルなスタックで、小売業者はShopifyのコンポーネントを使用して自社のシステムと統合することができます。
*世界最大級の小売業者が、5兆円以上のグローバルな商取引を支えてきたShopifyのコンポーネントインフラに初めてアクセスできるようになり、柔軟なスケーラビリティを提供します。
-Shopify CCS ページより、筆者訳
99.99%の稼働率と40,000注文/分に対応
従来、Shopifyはこのあたりの数字を明示してきませんでした。それが今回明らかになったことによって、エンタープライズの導入は進みやすそうであると言えます。
特に日本の企業では「SLA(Service Level Agreement)」の提示が求められるシーンが多いため、今回のCCSにおける「99.99% の稼働率」という数値がSLAとして保証されるかはまだ未定ではありますが、もし保証されると大規模マーチャントやエンタープライズ向けに注力しているパートナーには嬉しい情報ですね!
Unthrottled APIs
APIの制限についてはパートナーが苦しめられきた部分でもあります。制限がなくなるのは嬉しいマーチャント、パートナーさんは多いのではないでしょうか。APIの制限によりあきらめていたカスタマイズがかなりあるとすれば、CCSによって可能性が広がると言えそうです。
Integrate your existing services
既存システムとの連携は今回のCCSの目玉のひとつのようですが、その中でもStorefrontは要注目です。Storefrontの連携先にContentsfulやAdobeのロゴもあり、デザインシステムとの連携なども考慮に入れていると思われます。
現時点でのパートナーは超大手コンサル系がメイン。ターゲットが超大手リテーラーだからでしょうか。
すでに活用されている大手ブランドも多数
先日発表されたSupremeもShopifyでリプレイスしている旨が発表されましたが、もしかするとこちらもCCSベースなのかもしれません。
価格はどうなる?Plusよりどれくらい上がるのか?
「Commerce Components by Shopify(CCS)」の価格設定は、企業向けに設計されています。わかりやすく、使用量に応じた、予測可能な価格設定となっています。
この記述から、おそらく定額ではなく、クラウド環境の使用量のような請求の形になると思われます。イメージとしてはEC・リテールコマースインフラにおける「AWS」や「GCP」のような存在でしょうか。
今回発表された「Commerce Components by Shopify(CCS)」は大規模エンタープライズ向けのプロダクトではありますが、Shopifyのここ数年のサービス設計思想から察するに、おそらくCCSの思想は徐々にPlus→Core(通常プラン)に降りてくると思われます。
大規模向けだからうちにはあんまり関係ないかも?と切り捨ててしまうのではなく、コマースの未来のひとつの方向性として、注目していただけるといろいろと見えてくるかもしれません。
現場からは以上です!