進化するShopify 事業に合わせたカスタマイズが使いこなす鍵
本セミナーは、ソーシャルPLUS 代表取締役 岡田風早氏による進行のもと、WEBLIFE 代表取締役 山岡義正氏、FRACTA 代表取締役 河野貴伸氏、Shopify Japan Senior Business Development Manager 泉貴文氏によるオープニングトークからスタート。Shopifyを使ったEC運営について意見を交わした。
「Shopify以外のプラットフォームの場合、構築に1~2年かかることも多いです。変化の流れが激しいこの時代には、構築しているうちにマーケットが別物になってしまう可能性もあります。Shopifyは、大規模でも3~4ヵ月ほどで構築できる点が大きな違いです」(山岡氏)
「エンタープライズのパッケージだと、パッケージを提供している企業の多くが要件定義などに介入しています。要件を伝えた後にお任せできる点は利点と言えるでしょう。Shopifyを導入するのであれば、どのアプリを使うのか自ら考える必要があります」(河野氏)
山岡氏と河野氏はShopifyとほかのプラットフォームとの違いについて、まず自由度をあげた。低コストで自由に構築しやすいShopifyだが、自ら必要な機能を取捨選択していくことが肝心だ。ただし、運営しながらカスタマイズできるため、小規模でのスタートも容易にできると泉氏は言う。
「スモールスタートでまずは始めて、ビジネスの成長に並走する形でアプリを付け替えることができます。そのため、Shopifyと連携させているプラットフォームの変化にも対応できるのがメリットのひとつです」(泉氏)
Shopifyでは、エンタープライズ向けにShopify Plusというプランも提供している。Shopify Plusは大規模な事業者の利用に留まらず、幅広い業種・業態や事業規模で活用が進んでいる点も特徴的だ。
「Multipass APIが利用できるのは、Shopify Plusの利点のひとつです。これにより、既存の顧客情報との連携をスムーズにするシングルサインオンやソーシャルログインの実装がしやすくなります。複数のストア構築もできるため、日本と同じモデルのストアで海外展開も可能です」(泉氏)
また、河野氏は「社内で運用に携わるスタッフが15人を超えるのであれば、Shopify Plusをおすすめする」と続けた。ひとつ下のプランであるShopify プレミアムプランでは、付与できるスタッフアカウント数が15人までと制限がある。一方、Shopify Plusでは利用人数に制限がなく、チームでEC運営をする場合に、より適している。
主にShopifyについてセッションを行ったオープニングトークだが、 ShopifyやLINEの活用に限らず伸びるECの違いも話題に上がった。近年は、EC運営の円滑化、売上向上を手助けする多くのプラットフォームやアプリが登場している。河野氏は、EC運営においてもっとも重要なのは「顧客とのコミュニケーション」だと語った。
「2020年から2021年にかけて、ECサイトは大幅に増えました。その中で売上を伸ばしている店舗や企業はしっかりと顧客とコミュニケーションをとっています。LINEひとつをとっても、一方的にお知らせを送るツールではなく、顧客とのコミュニケーションをとるツールとして活用しているかで差が出ると思います」(河野氏)
第1部~第3部では、実際にShopifyとLINEの活用で事業を成長させている企業から、両プラットフォームの具体的な事例が紹介された。
LINE配信月間500万件以上 毎日配信でもブロックされないFrancfranc
LINEの通知が増えると、ユーザーにマイナスの印象を与えると懸念する企業も多いのではないだろうか。だが、実際には、データを使って配信する情報を選別することで、ユーザーに「嫌がられない」LINE配信ができるという。セミナー第1部では、Francfranc WEB EC部 WEBプロモーション課の武本圭史氏が、「100人100色CRM」にこだわったLINE活用事例を紹介した。
「Francfrancのユーザーには、可愛らしい雰囲気が好きな方もいればエレガントな雰囲気を好まれる方もいます。そのため、1人ひとりに合わせたコミュニケーションに力を入れています。また、LINEの持つ即時性は、パーソナライズと相性が良いです。たとえば、季節の変わりめに暖かい寝具の提案をした際、通勤中に閲覧して『そういえば朝寒かったから買おうかな』と思ってもらえるのはLINEならではです」(武本氏)
数千SKUもの商品を扱っている同社では、その商品数から見ていて飽きない情報配信ができることも強みだ。豊富な商品情報を、戦略的に練られたタイミングや内容で配信している。
「去年の今頃は何を売っていたのか、この商品はなぜ売れたのか、ブレストして最終的に企画書としてまとめています。そのうえで、加湿器であれば初回購入した方へ向けて、リビングではなく寝室のベッドサイドに2台めの購入を提案するといったアクションをとります。また、在庫チームと連携し商品を確保することで、買ってもらえる体制も整えています」(武本氏)
こうした戦略の裏には、Shopify Plusを活用した成果分析がある。Shopify Plusのカスタムレポートで、どの配信から何の商品が売れたのか、誰が買ったのかを分析しているのだ。しかし、ツール任せにするのではなく、利用する側のスキルを上げることも重要だという。
「Shopifyには多くの拡張機能があります。その分、仕様の変化も速いです。そのため、利用する側がアップデートに反応して、情報をとりに行かなければなりません」(武本氏)
分析を基にLINEを有効活用するには、運営体制構築も鍵となる。ソーシャルPLUSの岡田氏は、「LINE活用する企業は多いものの、リソースが足りていないように感じる。FrancfrancはLINE活用を進める専任の担当者がアサインされている点が印象的」だと述べた。Francfrancでは複数人でLINE配信を担当し、日々の分析やLINE配信に向けた施策を打ち出している。
「今後はYahoo!天気の情報などと連携させて、天気や気温に合わせたLINE配信をしてみたいと考えています」(武本氏)
Francfrancでは、よりパーソナライズされたLINE配信でユーザーに世界観を共有していくとのこと。