ハンドメイド作品のタグとは
商品を購入する際、タグを確認する人も多いのではないでしょうか。「タグ(tag)」とは「札」「付け札」「ラベル」といった意味合いを持ち、商品に付けられている場合は、価格・原産国・品質表示などが記載されています。
アクセサリーや洋服、雑貨などのハンドメイド作品においても、タグを付けて販売されていることが少なくありません。
ハンドメイド作品にタグをつけるメリット
なぜタグを付けたハンドメイド作品があるのかと言うと、以下のようなメリットがあるためです。
ブランド認知度のアップ
ブランドのロゴやキャラクターなどをプリントしたタグを付けることで、そのタグを見た人の記憶に残りやすいというメリットがあります。そのため、ブランドの認知度を向上させるために、タグは非常に大きな意味を持っているでしょう。
再購入につながる
タグにSNSのアカウントやWebサイトのQRコードをプリントしておくと、その商品を購入した人をSNSやWebサイトに誘導しやすくなります。別の商品や新商品などの情報を随時アップしていると再購入を促すことができ、リピーター獲得につながるでしょう。
商品の材質などの情報を伝える
タグには、商品の素材や材料、材質などを伝える役割もあります。たとえばアクセサリーを購入する際、アレルギーを持っている人や、お手入れ方法を知りたい人は、材質を気にするということも珍しくありません。タグで品質を伝えることは、安心・安全なお買い物につながります。
ハンドメイド作品のタグは作る?買う?入手方法
ハンドメイド作品にタグを付けることは多くのメリットがありますが、どのように入手したら良いのか気になる人も多いのではないでしょうか。
ハンドメイド作品のタグは、自作する方法と会社に注文する方法の2種類があります。いずれの場合も、洋服の場合は「できあがったタグを縫いつける/貼りつける」など、簡単に取れないようにする工夫が必要です。
自分でつくる場合
自分でつくる場合は、インクジェット対応の布製シートや布シールなどを使って作成すると良いでしょう。使いたい布が決まっている場合は、シルクスクリーンなどを利用して作る方法もあります。
品質表示が必要なく、ブランドのロゴやキャラクターのみを付けたタグをつくりたい場合は、手軽にできるハンコタイプや、細かい糸で文字を織る織ネームもおすすめです。
※シルクスクリーンとは…版画の一種。メッシュ状の版を作り、孔の部分にだけインクを通すことで印刷する技法。
購入する場合
アパレル系のラベル・ネームを作成する印刷会社、タグ製作を専門としている会社に注文することもできます。小ロットからでも取り扱いできる会社もありますので、必要な枚数を注文しましょう。

ハンドメイド作品でも品質表示は必要?
個人が作製するハンドメイド作品であっても、品質表示の必要な場合があります。ただし、作製した製品によって品質表示の必要/不必要が異なるため、自身の作品は該当するのかチェックしましょう。
品質表示が必要な製品は?
品質表示を必要とするのは、次の4つの製品です。「家庭用品品質表示法」で定められた情報を品質表示として明記しなくてはなりません。
繊維製品
洋服やタオルなどが該当します。品質表示には素材とその割合、洗濯などの取り扱い方法、はっ水性の記載が必要です。ハンドメイド作品の中でも取り扱うケースが多いため、よく確認しましょう。タグの表示方法は、縫い付けや貼り付け、もしくは下げ札となりますが、製品によって異なるため「家庭用品品質表示法ガイドブック」を確認しましょう。
雑貨工業品
石鹸、入浴剤のほか、革製のバッグやサングラスなども該当します。繊維製品に次いでハンドメイドで取り扱うことが多いので、該当する人は必ず確認してください。表示義務の内容は製品ごとに異なりますので、この点にも注意しましょう。

合成樹脂加工品
主にペットボトルや容器といったプラスチック製品のことを指し、ハンドメイド作品としては取り扱いが少ないジャンルです。製品によって素材の種類、耐熱・耐冷温度、容量・サイズ、取り扱い方法などを記載します。
電気機械器具
洗濯機、冷蔵庫、エアコンなど電化製品のことを指します。ハンドメイドで取り扱うケースは少ないですが、該当する場合はしっかり品質表示を行いましょう。
表示者名は必須?
いずれの場合も表示者名と連絡先を記載しなくてはならないことに注意が必要です。品質表示の「表示者名」や「連絡先」には、法人でない限りは個人名を表記し、連絡先には固定電話を表記しなくてはならない、と規定されています。フリーダイヤルは認められていますが、携帯電話は認められていません。
購入者が連絡しやすいようにメールアドレスやWebサイトURLなどを追記することはできますが、住所や電話番号の代わりにはできないことを覚えておきましょう。

品質表示しなくても良い製品はある?
ハンドメイド作品の中でも、上記に当てはまらない製品は、品質表示に法的な規定はありません。たとえば、枕やベルト、アロマ製品などは家庭用品品質表示法の対象となりませんので、法律上は品質表示をしなくても販売して良いことになります。

ハンドメイドの洋服に品質表示する内容(項目)
では、実際にハンドメイドの洋服に品質表示をする場合に必要な項目を説明します。
必須の項目
洋服の品質表示タグには以下の項目が必要です。
- 繊維の組成
- 家庭洗濯等取扱方法
- 表示者名
繊維の組成
使っている繊維の種類と、その割合を%で表記します。各繊維の名称は国ごとに定められており、日本では消費者庁が「繊維の名称を示す用語」で示しています。割合の多いものから順に、以下のように記載しましょう。
- 表地 綿 70%, ポリエステル 30%
- 裏地 綿 100%
家庭洗濯等取扱方法
繊維製品の適切なお手入れ方法を表すため、品質表示の中でも非常に重要な項目です。JIS L0001が規定する記号を用いて表示するよう定められています。組み合わせの順序は、以下の番号順に左から右に並べることが決まっています。
- 洗濯処理記号
- 漂白処理記号
- タンブル乾燥処理記号
- 自然乾燥処理記号
- アイロン仕上げ処理記号
- ドライクリーニング処理記号
- ウエットクリーニング処理記号
これら7つの記号のうち、省略されたものがあればそれは「該当の処理が可能」という意味になります。
表示者名
表示者の「氏名または名称」と「住所または電話番号」を記載します。ハンドメイド作家の場合は個人名を指し、原則として俗称やニックネームは認められません。
連絡先
住所または電話番号に関しては、次の通り規定されています。
住所
都道府県名から部屋番号まで省略せず、すべてを表記する
電話番号
市外局番からすべてを表記する。フリーダイヤルは可能だが、FAX・PHS・携帯電話などは不可
任意の項目
上記の必須項目に加え、任意の項目を付け足して表示することも可能です。一例として、以下のような項目があります。
品番・サイズ
品番やサイズの表記があると、商品が管理しやすくなります。また、購入者にもサイズが一目でわかりますので、親切でしょう。
取扱いに関する文章
主に洗濯絵表示では伝えきれない内容を表示する場所です。「陰干ししてください」「色移りに注意してください」など一言表記があると、洗濯トラブルの防止になります。
ロゴ
独自のロゴがあれば、ぜひ使いましょう。作家名や屋号を覚えてもらいやすくなります。
原産国
「MADE IN JAPAN」などの表記のことを指します。これも義務ではありませんが、あえて表記しておくのも良いでしょう。

品質表示義務を守りハンドメイド作品のタグを有効に活用しよう
ハンドメイド作品のタグには、ブランド認知度のアップや再購入の促進のほか、商品の材質などの情報を伝える役割もあります。
ハンドメイド作品であっても、作品によっては家庭用品品質表示法で定められた内容をきちんと表記する必要があります。自身の作品が該当するかを確認し、もし品質表示をする必要があれば必須項目を網羅して表示しましょう。
品質表示義務は、購入者に作品を末長く快適に使ってもらうためのものでもあります。ぜひ、正しい品質表示でハンドメイド作品を愛用してもらいましょう。