矢野経済研究所は、国内の健康食品受託製造(OEM)市場を調査し、市場概況や参入企業の動向、将来展望などを明らかにした。
健康食品受託製造(OEM)市場規模は2019年度1,554億円(前年度比3.2%減)、2020年度は1,566億円(同0.8%増)を見込む。 2019年度に縮小に転じたものの、2020年度は再び拡大に転じる見込みで、長期トレンドでは拡大基調をたどる見通し。
2019年度は、前年度に見られた中国からの特需的な受注の反動が見られたほか、2020年に入り、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるインバウンド(訪日外国人客)需要の激減、健康食品販社における新商品開発・既存商品のリニューアルの延期などの影響が出始め、2020年3月から6月にかけて一部企業の業績に影響が及び、市場規模が縮小に転じた。
2020年度は、インバウンド需要の激減や外出自粛、在宅勤務の拡大による都市部店舗を中心とした販売不振の影響などが見られた一方、健康意識の高まりの中で、通信販売を中心に、ビタミンや乳酸菌などの基礎栄養素・免疫関連商材や、コロナ太り対策としてのダイエット商材、脂肪関連対策の機能性表示食品などが好調に推移した。
また、中国や東南アジアを中心とした海外からの受注や越境ECでの販売が好調であり、これらに関連する取引を有する、健康食品受託製造(OEM)企業の売上が大きく伸長した。海外からの受注増で売上を大きく伸ばした企業が散見され、市場規模は拡大に転じた。
国内の健康食品市場の成長性が鈍化する中で、次の成長を海外に求める動きが見られ、特に中国、東南アジア各国からの受注拡大や、海外企業の日本法人や仲介人を経由した輸出拡大、日本の健康食品販社における越境ECの拡大を期待する健康食品OEM企業の声が多数聞かれるなど、今後の健康食品受託製造市場の成長は海外が大きな鍵を握ると見られる。
調査概要
- 調査期間: 2021年4月~6月
- 調査対象: 健康食品受託製造(OEM)企業等
- 調査方法: 同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話による取材併用