e-Marketerの調査によれば、日用消費財(FMCG)の全世界の小売売上高全体の伸び率は現在年間4%程度だが、Eコマースでの総売上高は、2020年までに20%の成長(2.1兆ドルの増加)が見込まれている。
ニールセンでは、FMCGをオンラインで消費する流れが世界的に強まっていることを指摘。これまで日用消費財は、電子機器、モバイルグッズ、旅行をはじめとする他部門の後を追うポジションにあったが、オンライン購入によって、今後そうした傾向が変わっていくと分析している。
こうした状況について、ニールセンのグロース・マーケット Eコマース部門代表 プラシャント・シン氏は次のように述べている
「FMCG部門はこれまで世界的に低成長もしくはゼロ成長でしたが、現在は力強い成長の兆しが見えています。これはもっぱらEコマースによるものです。また、FMCG部門の成長要因がオンラインチャネルに移行していく中、小売店やブランドにとっては、根本的なドライバーやインフルエンサーを把握し、それらをもとに適切な包括的デジタル戦略を開発していくことがますます重要になっていくでしょう」
なお、シン氏はEコマースの世界的な成長トレンドに大きな影響を与えている4大インフルエンサーを以下のように提示。
1.Eコマースは急速に成長しているが、その要因は1つではない
より手軽な情報へのアクセスや端末のつながりやすさが消費者行動の転換に重要な役割を果たしており、全体として、スマートフォンの普及がEコマースの潜在的成長の先行指標に。しかし、スマートフォンの広範な普及のみがEコマースの浸透をもたらしたとは言えない。文化的側面と市場の機微もまた、消費者のオンライン行動とオフライン行動に影響を及ぼしていると考えられる。
2.1つの例外を除き、ドライバーとバリアーは表裏一体:
ほとんどの国で、Eコマース購入の動機は便利さが、例外的に米国では損得が動機に。逆に言うと、Eコマースに対する障壁を精査する際の3つの主な検討事項は次の通り。
1つ目は、食料品でもアパレルでも、購入前に現物を吟味したいという欲求。2つ目は、小売店が新鮮なものを提供するだろうかという点での信頼性の欠如。 3つ目は、店頭購入する品物に対し、オンライン購入する品物に品質レベルでの懸念があること。
小売店が消費者にEコマースでお金を使ってもらうためには、これらの障壁を取り除く必要がある。
3.小売Eコマースでは、入手しにくい食料品を揃えられるかどうかが成功へのカギ
小売店にとって食料品を扱うことは究極の目標だが、Eコマース販売ではまだまだ普及していない。オンラインFMCG部門の成功には、食料品の品揃えが決め手となる。
4.オムニチャネルの消費者にアピールする:
小売Eコマースで消費者にオンライン購入を決断させる条件は、便利さ、価格・価値、品揃え、カスタマーエクスペリエンス。魅力ある Eコマース戦略を立てるためには、小売店は、これら4つの各ドライバーで期待を上回ることを目指す必要がある。
シン氏は次のようにまとめている。
「小売部門は、転機となるタイミングを繰り返し迎えています。利益率の高いリアル店舗と、まだ利益率の低いオンライン店舗のバランスを変えるには、思い切りと確信と洞察が必要です。これから利益を得ていくのは、計算されたリスクを積極的にとる者です。成長株は、オンラインチャネルに傾いていくでしょう」