オンライン・マーケットプレイス「eBay」への出店を通じ、日本セラーの越境ECを支援するイーベイ・ジャパンは、日本とヨーロッパのEC市場に関する調査と、2024年の日本セラー(販売者)の販売動向を発表した。

調査によると、越境EC取引(クロスボーダートレーディング/以下、CBT)における日本への購買に対する期待度は、ヨーロッパと同等に高いことがわかっている。しかし、アジア市場に対する信頼度の偏りが影響し、日本の出品には「真贋保証」の付加価値が特に重視されているとのこと。

高級ファッションアイテムの購入者の62%がCBTを利用し、eBayやAmazonなどのプラットフォームでEU・英国・日本の商品を購入する傾向がある。CBTの利点として「価格」が挙げられる一方、品質や信頼性も重要視されており、偽造品の懸念や返品ポリシーへの不安が購入の障壁となっている。
市場ごとの選択基準を見ると、ヨーロッパは「信頼」、アジアは「価格」を重視する傾向があり、日本は厳格な偽造品対策で一定の信頼を得ている。しかし、日本市場は中国などの影響を受け、ヨーロッパ市場と比べると依然として慎重な選択をされやすいといえる。今後の市場拡大には、真贋保証の強化や購入者の不安を解消する施策が求められる。
なお、eBayが2025年に注力および注目している販売カテゴリーは次のとおり。
ハンドバッグ、腕時計、ジュエリー(真贋鑑定対象アイテム)
2025年3月より、eBayは日本のセラー向けに真贋鑑定付き配送サービスを提供する。対象アイテムはハンドバッグ、腕時計、ジュエリー。国内の指定センターで鑑定後、アメリカのバイヤーへ国際発送される仕組みとなっている。返品時も真贋センターで登録時の条件と相違がないか確認が行われる。
鑑定トレーディングカード
日本のトレーディングカードは世界的に需要が高いとのこと。2024年のeBayにおける日本からの販売数は、前年比98%増加している。鑑定済みカードと未鑑定カードでは販売単価に5倍以上の差があり、今後も市場拡大が見込まれる。
リファービッシュ製品(整備済み品):電化製品、楽器、ゴルフ用品
2025年3月を目途に、eBayは日本のセラー向けに「eBay Refurbished Program」を開始する。特定の条件を満たしたセラーは「Refurbished(整備済み品)」として出品することが可能になる。プログラム参加商品の販売ページにはRefurbishedマークのバッジが表示される。また、商品到着後30日以降の返品は、eBayが提携する保証会社が対応する。
2024年 Q1~4 越境ECレポートハイライト
Q1(1月~3月):円安と配送サービスの影響
- 円安により日本製品が海外バイヤーにとって割安となり、競争力が向上
- 高速配送サービス(DHLやFedEx)導入により、アメリカなどへの配送が迅速化
- 日本独自のカスタマーサービスが国際的に高評価され、ブランド力が向上
- 中古市場の需要増加により、日本のリユース商品が注目
- eBay公式サービスや多国展開ツール普及で、新たなセラーが多数参入し、市場が拡大
Q2(4月~6月):インバウンド需要の増加とその影響
- 訪日外国人が過去最高を記録し、帰国後も日本製品のEC購入が増加
- リピート購買や言語の壁を越えたEC利用が加速し、eBayでの日本製品の販売が拡大
Q3(7月~9月):米国経済の回復と円高の影響
- 米国経済の堅調な推移により、日本からの輸出が好調を維持
- 米国大統領選の影響もあり、今後の米国市場動向に注目が集まる
- 日本製品への関税増加の懸念はあるが、中古品やコレクティブルズ商材に対する需要は維持予想
Q4(10月~12月):真贋保証への需要の増加、新たなカテゴリーへの注目
- 高級品購入者にとって、越境ECが一般的な選択肢に
- 日本製品への期待度はヨーロッパ市場と同等に高い
- アジア市場に対する信頼度への偏見が影響し、日本の出品には真贋保証を重視
- エコの観点からも、Refurbished(整備済み品)への注目が高まる

